第81回 年末年始フル出勤でも社員さんが辞めない理由

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第81回 年末年始フル出勤でも社員さんが辞めない理由

安田

今日は万代さんの年末商戦についていろいろお聞きしたくて。倉橋さんのXからも気迫が伝わってきましたけど(笑)、それくらい重要な時期なんでしょうね。


倉橋

そうですね。年末商戦の結果が年間利益を大きく左右することは間違いありません。

安田

ちなみにいつからいつまでを年末商戦と考えていらっしゃるんですか?


倉橋

うちはクリスマス前の土日から成人式までです。2024年〜2025年でいうと24日間ですね。

安田

なるほどなるほど。年が明けてからも結構続くわけですね。で、成人式が終わるとやっと普通モードに戻ると。でも、それに向けての準備期間もあるわけでしょう? クリスマスから急に動くわけではないというか。


倉橋

仰るとおりです。2〜3か月前から準備してますね。そういう意味では年末商戦にかけている時間は24日どころじゃないです(笑)。

安田

さすがです(笑)。ただね、社員さん目線で考えるとどうなんだろうと思ってしまうんですよ。年末年始なんて誰しもが休みたい時期なのに、そこで一番頑張らなきゃいけない。普通に考えてこれ、なかなかハードル高い状態だと思うんですけど。


倉橋

確かにそういう見方もあると思うんですけど。でも、例えば今回の24日間は累計79万人ものお客様にご来店いただいたんです。社員たちからしても、頑張った成果がありありとわかるわけですよ。

安田

なるほど、それは達成感ありそうです。…いやでも、そう思っているのは経営者である倉橋さんだけじゃないんですか?(笑) 本音では皆「ああ休みたい」と思っていたりして。


倉橋

うーん、だとしたらちょっと悲しいですけど(笑)。でも、小売業のそういった特性は採用時にキチンと伝えるようにしていて。「年末年始も普通にOPENするよ、それでも大丈夫?」っていう。

安田

そうかそうか。皆さんそれを理解した上で入社してるんですもんね。でもほら、最近は「働き方改革」のあおりをうけて、元旦から2日いっぱいくらいまでは休む店も増えてきたじゃないですか。スーパーとか。


倉橋

確かにそういう風潮ですよね。でも万代は年末年始はフル稼働です(笑)。社員たちも慣れたもので、「成人式が終わってから自分たちのお正月が始まる」くらいの感覚でいてくれますよ。実際そこから長期休みを取る社員もいますし。

安田

成人式が終わったら長く休んでもいいから、その代わり年末年始は全力で頑張ってね、と(笑)。でもお互いに納得いっていれば何の問題もないですもんね。年末年始を外したほうが観光地なんかも空いてそうだし。


倉橋

そうそう。それに勤務についても前向きに取り組んでもらえるよう、各店で来店客数や売上を競ったり、昨年の数字と比較したりと、いい意味でのゲーム性を取り入れていて。「頑張ろう!」というより「楽しもう!」という感じなんですよ。ちょっとしたお祭り感覚ですよね、お客さんもスタッフもひっくるめた。

安田

ははぁ、なるほど。お祭りってお客さんだけじゃなくお店側も楽しいですもんね。そういえばSNSで打ち上げのお写真も拝見しましたが、かなり盛り上がってましたね。

倉橋

そうなんですよ。年末商戦が終わったら、各店それぞれで開催してまして。僕自身も幹部40人ほどで集まって食事をしたんですが、美味しかったなぁ(笑)。

安田

ほう、何か特別なお店にでも行かれたんですか?

倉橋

ええ。毎年、仙台の「肉山」さんを貸し切って打ち上げするのが恒例で。店名にあやかってコース料理を食べることを「登山する」って言うんですけど(笑)。

安田

いいですねぇ(笑)。ちなみにそういった打ち上げの予算は会社から出るんですか?

倉橋

もちろん。年末年始に頑張ってくれたことを労う意味で、各店の打ち上げも含め全部会社から出してます。実際、それぞれが24日間を走り切った達成感があるから、報われるんですよね。結果、すごく盛り上がる(笑)。

安田

なるほどなぁ。社員さんたちも「頑張ってよかったな」と思えるってことですね。でもどうなんですか、上司が酔っ払って「全部俺の手柄だ!」みたいになっちゃうことはないんですか(笑)。

倉橋

ないない(笑)。むしろ上の人間の方が社員一人ひとりにお酒を注ぎにいって、「今年もありがとうな。君のおかげだ」と感謝して回るのが恒例です。それは僕自身が幹部たちにしていることでもあるんですけど。

安田

ははぁ、なんとも気持ちがいい世界ですね。そんな風に言われたら社員も「よし、次回もまた頑張るぞ」って思えそうです。

倉橋

まさにそうなんです。そういう好循環が生まれていて僕としても嬉しく思ってます。僕らからすると年末商戦成功=箱根駅伝を完走、みたいなものなので(笑)。

安田

ははぁ、素晴らしいですね。その達成感・一体感は格別なんだろうなぁ。むしろ年末商戦が楽しみで入ってくる社員さんもいるかもしれませんね(笑)。

倉橋

いいですね(笑)。ぜひお待ちしています!

 

 


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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