第98回 中小企業こそ世界を狙え

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第98回 中小企業こそ世界を狙え

安田

万代さんでは海外進出に向けて動いていらっしゃるということでしたが、つまり倉橋さんにとっては、日本で商売をするより海外の方がやりやすいと考えたってことなんですかね。実際人口減が続く日本と比べ、東南アジアなどは活気も将来性もありますし。


倉橋

端的に言えば、日本でビジネスをやろうと思うと、まずライバルが多いんですよ。マーケットの規模はどんどん縮小しているのに、類似商品が多くて、ビジネスモデルも真似されやすい。それに新しいことを始めようとしても、規制が多かったり手続きも複雑だったりして。

安田

確かに。でも逆に言えば、そうした規制があるからこそ、海外からの強烈なライバルが入りにくいとも言えるんじゃないでしょうか。これから成長が期待される東南アジアなんて、それこそ世界中からライバルが集まってくる気もしますけど。


倉橋

それは一理あると思います。でも日本でしっかり磨き上げたサービスや技術を持って海外に行けば、ライバルは10分の1くらいに減ると思います。「マーケットの規模は東京並みで、ライバルは3社だけ」という状況も十分にあり得ます。

安田

なるほど。「勝ちやすさ」が全然違うってことですね。


倉橋

そういうことです。課題があるとしたら、コミュニケーションぐらいでしょうね。そういう意味では。その国の言葉と文化に精通している人を採用するのが鍵になると思います。

安田

なるほどなぁ。ちなみにいまの話って東南アジア以外、例えばアメリカで出店する際も似たような感じなんですかね。


倉橋

そう思いますね。実際、ロサンゼルスとかで大成功している飲食店がけっこうありますもんね。

安田

ああ、確かに確かに。高級寿司店とかよく聞きますよね。海外出店したことで一気に大金持ちになっちゃったみたいな。


倉橋

僕がロサンゼルスで見た女性経営者は、25ドルの海鮮丼で年商4000万円稼いでましたよ。まだ若い方でしたけど。

安田

えっ、4000万!? それはすごいですね。日本でその売上を出そうと思ったらよほどの工夫をしないと無理だろうなぁ。


倉橋

回転寿司の1店舗でも、4000万は簡単に出せないですから。でも向こうにはライバルが少ない。だから通用するんですよ。

安田

なるほどなぁ。逆に言えば、日本の中小企業ってそういう厳しい中でしのぎを削っているってことですね。むしろ「日本でぬるま湯に浸かってた企業が海外で生き残れるんだろうか」なんて思ってましたけど。

倉橋

いやぁ、真逆ですね。海外は大変だぞ、という声ってよく聞くと思うんです。でも実際は同じ商品でも圧倒的に勝てるし、経済的な恩恵も大きい。

安田

ふ〜む、なるほど。そういえば、知り合いの庭師さんも言ってました。日本と同じ仕事をしてるのに、報酬が全然違うって。しかも職人の技術がすごく評価されている。日本ほど細かい注文をされることも少ないそうですし。

倉橋

そうなんですよね。ただそこへ踏み出すには、強い意志決定が必要なんです。その難しさがライバルが少ない要因なのかもしれません。

安田

でもそこは社長が決断するしかないですよね。日本で大手の下請けをやっている企業でも、海外のメーカーと仕事した方が利益は出やすそうだし。

倉橋

ええ、本当にそうだと思いますよ。同じクオリティで同じものを納品しても、金額が全然違ってくると思うので。

安田

日本ほど納期を守って、正確に納品する会社はなかなかありませんからね。しかも海外に比べればまだ人件費は安いし。

倉橋

そうですよ。実際に海外進出している企業は成功してますね。スモールビジネスほど、向こうで恩恵を受けやすいです。

安田

日本はこれまで人口増加で内需がずっと拡大してきたから、国内ビジネスだけでやっていけた。でももう時代が変わっているんですね。今は世界に目を向けた方が圧倒的に戦いやすいと。

倉橋

それこそ語学ができるパートナーさえいれば、どんなことでも十分始められるので。特に店舗ビジネスで日本で黒字を出せる会社なら、100%成功すると思いますよ。人件費は高いですけど、家賃や水道光熱費は日本の半分以下ですから。

安田

なるほどなぁ。倉橋さんのおすすめはやっぱり東南アジアですか?

倉橋

東南アジアもいいですが、先日行ったロサンゼルスも、十分に可能性を感じましたね。

安田

コストは高くても、今の円安を考えると収益性はむしろ高くなりますよね。為替も加味すると、利益はさらに膨らむと。やっぱりスモールビジネスほど世界を見据えるべきですね。

倉橋

ええ。海外進出に挑戦するだけでも、全然違う未来が見えてくると思いますよ。

 


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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