第118回 サインで会話する生き物

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/サインで会話する生き物

全国から20数名の管理職が参加する、某大手さんの「マネジャー会議」に同席しました。

・経営目標達成に向けた進捗共有
・組織の連携強化
・部下育成
・評価制度
・新規事業開発

などのテーマで、3時間ほど、あれやこれやと共有、質疑、フィードバックが行われていましたが、「部下との関わり」について、K課長が発したメッセージが興味深く、強く印象に残りました。

・積極的に相談してくる部下が少ない
・部下が顔色ばかりうかがってくる
・イエスマンばかりでイヤになる
・会議中、意見やアイデアがなかなか出てこない

などの部長陣からの声に対して、K課長が、「そんな不機嫌そうで怖い顔しながら話をされたら、なかなか意見は出せませんよ。私も今、おっかなびっくり話しているんですから」と笑顔で答えるのです。。

「いやいや、不機嫌だなんて、そんなことないし、ましてや怖いってどういうことや」そう返す部長陣に、

「部長たちは、周りにそう映っているんですよ」

「ご本人にその気がなくても、そう見える。悪気もなければ気にもしない、だから、ずっとそんなご表情なんですよ」

「表情変えるのタダですし、やってみてくださいよ。みんなの反応が変わるかはわかりませんけど、少なくとも私は少し気持ちが落ち着きますw」 

大手さんとのお付き合いの中で、しかも上司や先輩が多く集まる場所で、なかなか、こんな光景を見たことがなく、ご発言には共感しましたが、正直驚きました。

後に、人事部の方から「Kさんは、先日、取引先から中途入社してくれた期待のマネジャーなんです」「顧客時代も、ウチのことを、『サインの出し方が上手じゃない方々が多いですよね』って話していたんですよ」

「サインの出し方??」と訊ねる高松に、

「Kさん曰く、『人間はサインで会話する生き物』なんですって。表情や声色や態度で周りに自分の感情や状況を伝えてしまう生き物なんだそうですよ」と。

なるほど、確かに。

元気なさそうな人が「元気です」って答えても、「何かあった?大丈夫?」って言いたくなりますもんね。

自分の出すサインには気をつけたいものですね。

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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