第146回 異論!反論!OBJECTION

 このコラムについて 

「担当者は売り上げや組織の変革より、社内での自分の評価を最も気にしている」「夜の世界では、配慮と遠慮の絶妙なバランスが必要」「本音でぶつかる義理と人情の営業スタイルだけでは絶対に通用しない」
設立5年にして大手企業向け研修を多数手がけるたかまり株式会社。中小企業出身者をはじめフリーランスのネットワークで構成される同社は、いかにして大手のフトコロに飛び込み、ココロをつかんでいったのか。代表の高松秀樹が、大手企業とつきあう作法を具体的なエピソードを通して伝授します。

本日のお作法/異論!反論!OBJECTION

某大手さんでは、「多様な価値観」「自由闊達な風土」「組織に浸透」できるようにするため、「ユニークな定例mtg」を行っています。

旬なテーマを設定し、それについて、ただただ「意見交換・雑談を進める」というもの。

先日、参加した時のテーマは、「パタゴニア創業者の株式譲渡」について。

米・大手アウトドア・アパレル・メーカーの「パタゴニア」創業者のシュイナード氏は、会社を売却したり、株式を公開したりするのではなく、約30億ドル(約4300億円)と評価されている所有権を、特別に設計された非営利団体に譲渡した。これらは、パタゴニアの独立性を維持し、年間約1億ドルの利益が「気候変動対策」と世界中の未開発の土地の保護に指標されることを保証するために設立されたもの

 

以下、実際に上がった意見です。

(それぞれの意見・感想は、個人の価値観に基づくものですので、不快な印象を受ける可能性もあります。それは、ごめんなさい!!)

・素敵な考えを持った経営者。今の資本主義は限界に近い

・脱・成長思考では世の中がよくならない。成長は必要。「死んだ地球からは利益は生まれない」の言葉が印象的

・環境に配慮していて素晴らしい取組み!

・地球を破壊してまで、ビジネスを続けることに「会社としての存在意義はない」と読んだ。実践している姿勢に尊敬

・某ショップで、耳の不自由なスタッフの方がいらっしゃり、筆談で接客を受けた。働き方が進んでいる、と感じた

・海洋汚染の1/4は中国と聞いている。パタゴニアの工場の1/3は中国。偽善にも感じる

・日本の捕鯨を目の敵にしていた印象が強い。ネガティブなイメージのブランド

・他の富豪もこれにならえ。というムードになりそうで怖い。寄付は個人の意志で行うもの。他者からの圧力で行うものではない

・今後は、ロゴマークを無くした商品を販売するようだが、世間の反応を見てみたい。ロゴに金を払っている人たちが多いと感じる

・経営権は維持しつつ、多額の税負担を逃れる仕組み。なんだかスッキリとはしない

いかがでしょうか?

様々な価値観を持った人たちが、自由に自らの考えを共有していて、なかなかに刺激的でした。

「みなさんから、いろいろな考えが上がりましたが、いずれにせよ、資本主義の新しいカタチに一石を投じた出来事ですよね」

「今後も、このような形式で、様々なテーマについての意見交換を続けていきたいですね」

「意見を集約する、結論へと導く」などすることもなく、進行役の方が次回日程をアナウンスしていました。

上記には、記載しませんでしたが、「個人的に笑ってしまった」ご意見を、最後に。

「今後の地球のため!人類の未来のため!とか崇高な考え、指針を表に出して、裏では、高級別荘に、超高級車。いく人もの愛人を抱え、欲に溺れまくっているのが、日本の経営者だと感じる。ウチはどうか知らんけど。。」

パタゴニアや、いかに!!

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高松 秀樹(たかまつ ひでき)

たかまり株式会社 代表取締役
株式会社BFI 取締役委託副社長

1973年生まれ。川崎育ち。
1997年より、小さな会社にて中小・ベンチャー企業様の採用・育成支援事業に従事。
2002年よりスポーツバー、スイーツショップを営むも5年で終える。。
2007年以降、大手の作法を嗜み、業界・規模を問わず人材育成、組織開発、教育研修事業に携わり、多くの企業や団体、研修講師のサポートに勤しむ。

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