日本人は中東を「イスラム教の国々」と一括りにしてしまいがち。でも中国・北朝鮮・日本がまったく違う価値観で成り立っているように、中東の国だって様々です。このコンテンツではアラブ首長国連邦(ドバイ)・サウジアラビア・パキスタンという、似て非なる中東の3国でビジネスを行ってきた大西啓介が、ここにしかない「小さなブルーオーシャン」を紹介します。
質問:ドバイに憧れる日本人は多いですが、日本人でも住みやすいのでしょうか?
私は住んだことがないため実際のところはわかりませんが、出張で行った経験からお答えします。
個人的には、普通の生活をする分にはそれほど住みにくさを感じることはないと思います。
ドバイの特徴でよく話題になるものの中から、3点ほど例を挙げてみましょう。
●物価
ドバイというと物価が高いイメージがあると思います。
全体的に金のニオイが立ちのぼる街なので、もちろん富裕層向けの贅沢品がたくさんあるのですが、90%は出稼ぎ外国人労働者ですから、普通の品物は常識的な価格です。
かといって、けっして安いわけではありませんが。
●イスラム教
当然ですが、イスラム教徒の人がほとんどです。
しかし一口にイスラム教と言っても結構いろいろなスタイルの人がいます。
礼拝時間についてもサウジアラビアのように強制的に店が閉められたりすることもなく、カフェでもゆっくりできます。
また世界中からの観光客も多く、日本人もよく見かけますので、それほどアウェイ感はありません。
ドバイ空港はヨーロッパへの接続も多いので、旅行中にトランジットで訪れているのでしょう。
●気候
暑いです。
ドバイは砂漠に囲まれており、夏の外気温は毎年例外なく50度を超えます。
「でも砂漠はカラッとしてるから、日本の蒸し暑い夏よりもむしろ過ごしやすいのでは?」
と考える人もいるかもしれません。
実はドバイは海沿いに位置しているので、湿気が結構あるのです。
一度8月に行ったことがありますが、ビル街を歩いていたら蒸し暑過ぎて吐きそうになりました。
まあ、そんな季節に外を出歩いている方が悪いのですが。
インナーはユニクロのエアリズムだったのですが、汗が常時噴き出していていたため、一度もエアー感を感じることなく旅が終わりました。
エアリズムは全く悪くなくて、外にいるのが悪いのですが。
またホテルのバルコニーで昼からビールを飲んでみたところ、吹き出る汗とアルコールによる利尿作用で、また吐きそうになりました。
もちろんビールは全く悪くなくて、外で飲む私が悪いのですが。
個人的ベストシーズンは2月です。
春のような心地よさと、海沿いに行けば爽やかな風を感じることができるでしょう。
ということで、過度な贅沢をせず、宗教的配慮を怠らず、暑さの対策ができていれば特に問題なく住めるのではないか、というのが私の印象です。
現地に出張で行く場合と実際に住む場合では、見えてくるものに違いがあるかと思いますので、現地に住むことで見えてくるビジネスチャンスがあるかも知れません。
この記事を書いた人
大西 啓介(おおにし けいすけ)
大阪外国語大学(現・大阪大学)卒業。在学中はスペイン語専攻。
サウジアラビアやパキスタンといった、どちらかと言えばイスラム感の濃い地域への出張が多い。
ビビりながらイスラム圏ビジネスの世界に足を踏み入れるも、現地の人間と文化の面白さにすっかりやられてしまった。
海外進出を考える企業へは、現地コネクションを用いた一次情報の獲得・提供、および市場参入のアドバイスを行っている。
現在はおもに日本製品の輸出販売を行っているが、そろそろ輸入も本格的に始めたい。大阪在住。
写真はサウジアラビアのカフェにて。