最近、アーティストさんのツイッターアカウントをフォローしてまして。

ミュージシャンとかですか？

いえ、もっとマニアックな人。たとえばガラスでアリをつくる人とか、鉄でカブトムシをつくる人とか。

虫好きですね（笑）

アートって、昔は画廊に置いてもらうしかなかったんですよ。

売る術がなかったと。

はい。でも今は、自分の作品とか制作過程とかをツイートすることで、直接ファンの人に売ることができる。

そういう時代ですよね。

何十万人もフォロワーがいるわけじゃないんですけど。1万人とか、下手したら数千人。でも十分成り立ってるんですよ。

生活できてると。

はい。ただ、そのためには、私生活もひっくるめて、露出が必要だと感じます。

まあ、その方が親近感も湧きますからね。

そうなんですよ。作者を身近に感じることで、より作品を好きになっていく感じ。

分かります。

でも個人情報を出すのって、危険でもあるじゃないですか。

危険性はあるんでしょうけれども、それがいちばん近道なんじゃないですかね。

じゃあ、アーティストさんとかは、個人情報も発信した方がいいと。

ツイッターとかFacebookが出てきたことによって、ものすごくコアなファンを集めやすくなったので。

ですよね。売ることのハードルがすごく下がりました。

ホームページがなくても、全国の誰にでも、海外の人にも、商売ができるようになりました。

マニアックなものでも売れちゃうじゃないですか。

デパートに置いといても売れないようなものでも、結構な値段で買う人がいます。

いますよね。

はい。「マニアにアプローチできる」という意味では、SNSは凄い機能です。

特に、アーティスト系の人は、Twitterが向いてると思いますね。不特定多数と繋がれるので。

そうでしょうね。ただ、交流は避けたほうがいいかもしれません。

ファンとの交流ってことですか？

はい。ファンの思いって、商品からつくった人に流れていくので。一定数のストーカーが現れる可能性は高い

人間性が見えるってことが、商品の魅力でもありますからね。

そうなんですよ。だから自分を出さないわけには、いかないないでしょうね。

バンクシーみたいなのは、特別ですよね。本名隠して写真も情報も出さず、ファンができるかと言ったら疑問です。

僕は名前も全部出していいと思います。「自分はこんな人で、こんなものづくりで、こんな革にこだわってます」って。その人が言うから意味がある。

ですよね。でも交流はしない方がいいと？

最低限、自宅は出さないとか。「商品が好き」って人が、だんだん「あなたが好き」に変わってくるので。そこの危険性はある。

展示会とかはどうですか？直接会うことになりますけど。

人がたくさんいるところであれば。

握手会で切りつけてくる人とかも、いますけどね。

あそこまでお客さんが多い場合は、警備をつけないといけないです。

どのぐらいの人数からですか？

たとえば100人に商品気に入ってもらったら、「つくった人に会いたい」って人が２〜３人。

会った人全員がストーカーにはならないですよね。

会った100人のうち２〜３人が、家に行ったりとか、電話したりとか、待ちぶせしたりとかっていうのは、想定できます。

じゃあ、1000人ファンがいる人は、気をつけたほうがいいと。

はい。それはあり得ることなので。会う時には気をつけたほうがいいです。

Web上でのやり取りはどうなんですか？親切に答えてあげたりしても大丈夫ですか。

Web上はいいと思います。それをやらないとファンが増えませんし。

ですよね。

はい。

でも、変な人に返信したがために、どんどん変なのが集まってきて炎上していくってこともありますよ。

それは安田さんの経験談ですか？

はい。親切で返信してたのに、いつの間にかボロクソに言われてるみたいな。

そこは難しいところなんですよね。

「この手の人は無視しといたほうがいい」みたいな基準って、あるんですか？

う〜ん。線引きは難しいですね。

ややこしそうな人が、いい顧客になってくれることもあると。

うちの技術者で、とんでもなくIQが高い人がいるんですけど。

はい。

彼は、ツイッターのフォロワーも結構多いんですけど。ある時、すごく絡んでくる人がいて。

危なそうな人に絡まれたと。

数学理論とかの話になって、どこまでもついてくるんで「何なんだこいつ」となって、会ってみたそうです。

え！会ったんですか？

はい。そしたら女の人だった。で、いま、その人奥さんなんですよ。

なんと！

会ってみたら、東大の大学院行ってる数学の専門家だった。で、意気投合してしまったと。

そういうこともあるんですね。

はい。ネットじゃなきゃ絶対にあり得ない出会いもあるんですよ。だから線引きが難しい。

本当にややこしい人もいれば、究極の出会いもあると。

はい。それがネット。

確かにそうですよね。お店探しもそうですけど、仕事探しもスマホに流れてます。

すごくピンポイントに、自分の希望する仕事を探せますからね。

ネットの出会いって、なんか怪しいイメージでしたけど、それも変わっていくかもしれませんね。

数がまったく違いますからね。価値観の合う人と出会える確率も高いです。

「あなたには、もしかしたらこの人が合うんじゃないか」っていうのは、技術的にはできるんですか？

すでに、そういう会社がありますね。「AIがマッチングします」とか。

ソルナさんはやらないんですか？

ウチは「ネットの履歴書」に集中したいです。

SNSのイメージって、劇的に変わるかもしれないですね。

リスクを考えると保守的になる人が多いんですけど。もはや避けて通れないですね。

ですよね。やらないわけにはいかない。

GACKTが言ってたのでうまいなと思ったのが、馬から車に変わる時期だと。

馬から車？

馬に乗ってた人は「車が壊れたらどうするんだ」とか「事故にあったときのダメージが大きい」とか、いろんなリスクを考えて乗らない。

なるほど。でもいずれは、みんなが乗るようになると。

GACKTは仮想通貨のことを言ってたんですけど。SNSも含めて、この流れは誰にも止められないでしょうね。

電子マネーも、SNSも、絶対使わないって人いますよね。

もはや、そういう選択肢はないですね。使うリスクよりも、使わないデメリットの方が、はるかに大きいので。