第32回 買い取られたジュエリーの行く先

この対談について

母から受け継いだ指輪をネックレスに、片方なくしたピアスをペンダントに、思い出の詰まった2つのリングを溶かして1つに――。魔法のようにジュエリーを生まれ変わらせるジュエリー修理・リフォーム専門店「Refine」(リファイン)。代表の望月信吾さんに、お客様に感動を届けるジュエリーリフォームの魅力、そして波乱万丈な人生についてお聞きする対談企画です。

第32回 買い取られたジュエリーの行く先

安田

日本は中古ジュエリーが各家庭に山のように眠っている、なんて話もありましたが、望月さんが宝石や金を買い取ることもあるわけですよね。


望月

ええ。リフォームの過程で余った部分を買い取ることもありますし、そもそも買い取り目的で来店されるお客様も多いです。

安田

ふーむ。ビジネスとしては「宝の山」とも言えるわけですけど、とはいえいざ買い取るとなると、それなりの資金も必要になりますよね。


望月

確かにそうなんですが、地金や金は極論、その日のうちに換金できてしまうんです。だからあまりまとまった金額を用意する必要はなくて。

安田

へぇ〜、そんなにすぐに換金できるんですか。


望月

そうなんです。そういう意味ではビジネスはしやすいんですが、この換金性の高さが仇になることもあります。以前大手デパートで金のお皿が盗まれる事件がありましたよね。それも金の塊だからあっという間に換金されてしまって。

安田

ああ、ありましたね。骨董品屋に売られたことがわかったけど、その時点ではもう売り払われていたと。


望月

買ってすぐに換金できるので、そういう意味では現金と大差ないんですよね。だからある意味、自転車操業でもなんとかなるというか(笑)。

安田

なるほどなぁ。資金に余裕があれば持っていてもいいし、いざとなったら即日換金できると。ちなみに「金の買取専門店」ってテレビCMでもよく見かけますけど、買取価格はどこも同じなんですか?


望月

いえ、違いますね。例えば最大手の田中貴金属は数パーセントの手数料で買い取っていますが、これは業界的にはかなり低いんです。小さい店ではもう少し高くしないとペイできない。

安田

なるほど。大量に買い取りをしているからこそ低い手数料でも成り立つと。


望月

そうです。小さな店では、大手と同じ値段で買い取るのは難しいですね。利幅が少ないと、相場の変動に対応するのも大変なので。

安田

そうか、相場の変動も踏まえつつ、利益を確保しなければならないわけですね。それって結構なリスクですよね。


望月

そうですね。最近は特に金の値動きが激しくて、急にバーッと上がることもありますから、相場を読むのは本当に難しいです。

安田

戦争などで急に動くこともありますもんねぇ。ちなみに望月さんのところで買い取りした金はどう換金してるんですか?


望月

地金を精錬する専門の業者さんがいるので、そこに売るんです。1グラムから買い取ってもらえるんですが、当然相場によって金額が変わるので、どのタイミングで売るのかが重要で。

安田

なるほど~。ホワイトゴールドなんかもかなり高騰していたと仰ってましたもんね。ちなみに石の場合はどうなんですか? 買い取ってから販売するまでに時間がかかりますよね。


望月

石の場合は、傷がついているものはリカットして表面をきれいにして、それをお店で中古品として販売していますね。

安田

ああ、自分たちで販売するんですね。石と金属を分けずにそのまま換金するのかと思ってました。

望月

金を売っている精錬所で石も扱ってはいるんですけど、二束三文にしかならないんです。それよりもきちんと商品にして小売りした方が利益が出るので。

安田

そうか。お店に来るお客さんが買ってくれる可能性があるわけですもんね。品揃えが多い方がお客さんも見ていて楽しいだろうし。

望月

そうそう。とはいえきれいな石でないと売り物にはならないので、中古品として出せるのはほんの一部ではありますけどね。それ以外は年に1回お店で開催するお祭りのガチャガチャの景品にしたり。

安田

えっ、ガチャガチャですか? Refineさんでそんなおもしろそうなこともやってたんですね(笑)。

望月

そうですね(笑)。ちゃんと簡単な鑑定書も付けて、300円~1,000円くらいで「宝石ガチャ」として出してるんですが、けっこう好評で。

安田

へぇ。石だけが入ってるわけですか。そこからリフォームを依頼したりするんですか? 

望月

そういう方もいらっしゃいますが、ほとんどは石だけ集めている方が多いです。小さいですけどきちんとした色石やメレダイヤなので、老若男女皆様喜んでいただいてます。

安田

やっぱり皆ガチャガチャ好きなんですねぇ(笑)。ちなみに先ほどのお話では、買い取ったジュエリーをリカットしてから店頭に並べるということでしたけど、そのまま売ることもあるんですか?

望月

デザインがいいものは、軽く磨いたり石を留め直して「リサイクルジュエリー」として販売することもあります。そういうリサイクル品を目当てに来店されるお客様もいらっしゃるくらいで。

安田

へぇ、ファンがいるわけですね。

望月

そういうことです。新品に比べると3割以上は安いので、けっこう人気がありますよ。

安田

なるほど。ふと思ったんですが、「リサイクルジュエリー」って響きがちょっと地味じゃないですか? せっかくのいい商品なんですから、もう少しおしゃれな名前でもいいような気がします。

望月

ああ、言われてみるとそうかもしれませんね。どういう名前がいいんでしょう……?

安田

例えば「リファインジュエリー」とかはどうですか? Refineさんのもとで再び輝きを取り戻したジュエリーですから、ピッタリだと思いますけど。

望月

確かに! いいですね。

安田

リサイクル品とはいえ、見た目は新品同様なわけですもんね。

望月

仰るとおりです。最近は中古品に抵抗がないお客さんも増えてきましたし、もっと増やしていきたいですね。

安田

そうですよね。ご自宅に眠っているジュエリーがある方は、一度Refineのアドバイザーさんに相談してみていただけるといいかもしれませんね。


対談している二人

望月 信吾(もちづき しんご)
ジュエリー工房リファイン 代表

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25歳で証券会社を退社後、父親の経営する宝石の卸会社に入るが3年後に倒産。その後独立するもすぐに700万円の不渡り手形を受け路頭に迷う。一念発起して2009年に大塚にジュエリー工房リファインをオープンして現在3店舗を運営。<お客様の「大切価値」を尊重し、地元に密着したプロのサービスを提供したい>がモットー。この素晴らしい仕事に共感してくれる人とつながり仕事の輪を広げていきたいと現在パートナー募集中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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