第101回 夫婦で描く理想の庭づくり

この対談について

庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。

第101回 夫婦で描く理想の庭づくり

安田

今日は「庭づくりにおける夫婦の関わり方」についてお聞きしたくて。家の中ならね、キッチンは奥さん、書斎は旦那さん、とある意味担当がわかりやすいでしょう? でも庭はどうなんだろうと。奥さんの意見と旦那さんの意見を、どう取り入れていくのか興味があって。


中島

なるほど。実際ご夫婦で一緒に相談に来られる方がほとんどですね。お二人と我々で「どんなお庭にしたいか」をじっくり話し合いながら、理想の形を少しずつ見つけていく。そんな感じですかね。

安田

なるほど。でもその話し合いの中で、意見が割れることもあるんじゃないですか? 例えば旦那さんが「趣味のバイクを置きたいから、絶対このスペースだけは確保したい!」と。でも奥さんが「そんなの絶対ダメ!」みたいな(笑)。


中島

笑。正直なところ、ご夫婦のパワーバランスが影響することはありますね(笑)。あるいは庭への思い入れというか、熱意の差があったりすることも多いです。そういう場合は、自然と想いの強い方のご意見が採用されることが多くなりますよね。

安田

なるほどなるほど。ちなみにね、例えばキッチンだと「カウンターから家族の顔が見えるようにしてほしい」とか、具体的な希望を出したりするじゃないですか。庭だとどういう希望が出てきます?


中島

そうですね、女性だとガーデニングやお花を植えたい、というご希望が多いですね。一方男性は機能性を重視する傾向があるかもしれません。「バーベキューがしやすい方がいい」とか「趣味の道具を置くための物置が欲しい」とか。

安田

ああ、確かにそんなイメージです。でもそういう異なる要望をひとつの庭で両立できるんですか? すごく難しそうですけど。


中島

それが意外とそうでもないというか。私たちの提案する「雑木の庭」は、自然な雰囲気でどちらの好みにも寄り添うことができるんです。

安田

ははぁ、なるほど。確かに雑木の庭って、特定のスタイルに偏っているわけじゃないですもんね。ともあれ庭は作って終わりではなく、その後のメンテナンスも重要ですよね。それを夫婦のどちらがやるかで揉めたりしないんですか?(笑)


中島

笑。そこは皆さんうまく役割分担されていらっしゃいますね。旦那様が芝生の管理をされて、奥様が落ち葉を拾うとかね。

安田

はは〜、素晴らしいですね。そもそも中島さんに庭づくりをお願いしようという人は、ある程度の手間は織り込み済みなんでしょうしね。私の周りにも、最近家を建てて「週末は夫婦で雑草むしりをするのが楽しい」という知人がいます。そんなふうに「庭を育てていく」ことを楽しめたらいいですよね。


中島

そうなってくれたら本当に嬉しいですね。実際本当に芝生が好きな旦那さんがいらっしゃって、驚くほどこまめに手入れしてくれたりしますし。いわゆる「庭いじり」の世界というか、ご本人にとってはすごく楽しい時間みたいです。

安田

そういう旦那さんがいたら奥様もラクでしょうね(笑)。でもそう考えると、どういう庭にするかというのは、単にデザインを決めるだけじゃないんですね。夫婦が「これからどんな時間を過ごしたいか」を一緒に考える、大切なプロセスなんでしょう。


中島

仰るとおりです。その時間こそが、最高の庭づくりのスタートラインになると思います。ぜひお気軽にご相談いただければ嬉しいですね。

 


対談している二人

中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役

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高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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