第132回 「植えてはいけない」果樹とハーブの真実

この対談について

庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。

第132回 「植えてはいけない」果樹とハーブの真実

安田

庭に木を植えるなら、せっかくだから実がなる木や、料理に使えるハーブを植えたいという人は多いですよね。「収穫の楽しみ」って、やっぱり魅力的ですから。


中島

そうですね。ご要望としては非常に多いです。ただ、プロの視点から言うと、安易に果樹を庭に植えるのはおすすめしません。

安田

えっ、そうなんですか? ミカンやリンゴの木が庭にある風景って素敵だと思いますけど、何がダメなんでしょうか。


中島

一言で言うと「管理が大変すぎる」からです。特に果実は虫がつきやすいんです。ミカンなどの柑橘系はアゲハ蝶の幼虫がつきますし、カイガラムシも発生しやすい。それらが原因で「すす病」という病気になり、木全体が真っ黒になってしまうこともあります。

安田

それは嫌だなぁ。昔は近所のお庭に夏みかんがなっていて、お裾分けをもらったりしましたけど、あれも裏では大変な苦労があったんでしょうか。


中島

きれいな実を収穫しようと思ったら、梅雨前から秋まで、2週間に1回くらいのペースで消毒をしないといけません。それを怠ると、虫食いだらけだったり、表面がボコボコの実になってしまって、とても食べる気にはなれないものができてしまいます。

安田

2週間に1回消毒! それは専業農家さんのレベルですね。一般家庭でそれを続けるのはかなりハードルが高そうです。


中島

そうなんです。それに果樹は放っておくとかなり大きくなります。実がなって地面に落ちると腐って汚れますし、強烈な匂いも発してしまう。掃除も大変なんですよ。

安田

なるほど。夢見ていた「庭でフルーツ狩り」の現実は、消毒と掃除に追われる日々だったと(笑)。それでも何か、家庭でも比較的育てやすいおすすめの果樹ってないんですか?


中島

それなら「ブルーベリー」が一番のおすすめです。虫もつきにくいですし、大きくならないので管理が楽です。あとは「フェイジョア」という木もいいですね。

安田

フェイジョア? あまり聞き馴染みがないですが。


中島

オリーブに似た常緑樹なんですが、春にエキゾチックな花が咲いて、秋に5センチくらいの実がなります。味はパイナップルとバナナを混ぜたような、トロピカルな味がして美味しいですよ。これも比較的病害虫に強くて育てやすいです。

安田

へぇ、それは面白そうですね! オリーブはどうですか? おしゃれな庭の代名詞みたいになってますけど。


中島

オリーブも人気ですが、成長が比較的早いので注意が必要です。それに、実を収穫してオイルを絞る目的だとかなりの量が必要になりますし、加工の手間も相当なものです。

安田

なるほど。オリーブはちょっと覚悟が必要な木なんですね。ではハーブはどうでしょう?


中島

ハーブでおすすめなのは「クリーピングタイム」ですね。地面を這うように広がるグランドカバーになるんですが、春には一面にピンク色の花が咲いてとてもきれいです。

安田

タイムなら料理にも使えますよね。

中島

ええ。しかもクリーピングタイムは踏まれることにも強いんです。踏むとほのかにいい香りが立ち上ります。香りも強すぎず、上品なハーブの香りなので、不快になることはないと思います。

安田

「踏んでもいいハーブ」ってすごいですね。庭の動線に植えておけば、歩くたびにふわっと香る。それなら管理も楽そうです。

中島

そうですね。基本的に実用を兼ねた植物は、畑やプランターで育てるのが一番です。庭木として地植えにするなら、観賞用と割り切って、手のかからない美しい木を選ぶ。それが長く庭を楽しむコツだと思います。

安田

なるほどなぁ。いずれにしても、プロのアドバイスを素直に聞いた方がよさそうです。夢の果樹園生活のはずが害虫駆除に追われるなんてことになったら大変ですからね。

 


対談している二人

中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役

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高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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