庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。
第62回 自然に学ぶ、お庭のデザインの極意

そうですねぇ。それに実際に見た方がおもしろいんです。雑木林の中では木々はどう育つのかとか、やっぱり現物を見たほうがよくわかる。例えば川沿いなんかだと、水面から反射する光に向かって川を覆うように木が伸びていくんです。そういうことは、実際に見てみないと気付けないので。

なるほどなぁ。そうやって実際に見てきたものが、今のdirect nagomiさんの庭づくりに集約されているわけですね。ちなみに自然から学んだ知識が、実際のデザインに影響したこともありました?

無造作に転がっているものもあれば、ほとんど埋まっているものもあります。つまり「自然には埋まり方のセオリーなんてないんだ」とわかった。それ以降は業界の慣習にとらわれず、石の形や庭の雰囲気に合わせて埋め方も変えるようになりましたね。

ああ、まさにそうかもしれない。実際、自然に近ければ近いほど安らげるお庭になると思うんです。もちろん日本庭園の枯山水などもアートとしては素晴らしいんですが、生活を共にする庭としてはちょっと人工的な感じがしてしまうので。

それはそうですね(笑)。山の中でも険しいところとそうでないところがあるので、優しい部分を取り入れるようにしています。そういう意味では庭作りって、自然に少しだけ手を加えて、美しく整える作業なのかもしれません。

いや〜本当に奥が深いですね。私も植木をいくつか育ててるんですけど、中島さんと対談するうちにどんどん細かいところが気になってきて(笑)。「この枝はいらないんじゃないか」なんて試行錯誤しながら切るんですけど、全然うまくいかないんです(笑)。

慣れていないとどうしても細かい枝から切りたくなるんですよね。僕も最初は1本1本でしか見れませんでしたが、それこそ実際の山を見に行くようになったことで、全体的なバランスで捉えられるようになりました。

それはそれでわかります(笑)。ただ、自然な樹形を保つためには、大きい枝から間引いた方が柔らかくきれいに広がるんです。細かい枝から切ると、大きい枝や幹ばかりが目立つ固い樹形になってしまうことが多くて。

仰るとおりです。自然の中では枝の隙間から光が透けて見えるんですが、その効果を残す感じですね。「透かし」という剪定手法が自然な樹形を保つのにいいと思います。
対談している二人
中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役
高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。