第78回 四季を感じる庭と果実のある暮らし

この対談について

庭師でもない。外構屋でもない。京都の老舗での修業を経て、現在は「家に着せる衣服の仕立屋さん(ガーメントデザイナー)」として活動する中島さん。そんな中島さんに「造園とガーメントの違い」「劣化する庭と成長する庭」「庭づくりにおすすめの石材・花・木」「そもそもなぜ庭が必要なのか」といった幅広い話をお聞きしていきます。

第78回 四季を感じる庭と果実のある暮らし

安田

「四季を感じるお庭を作るためにはどんな木を植えたらいいか」というお話を何度かしてきましたよね。それでちょっと思ったんですが、果実など実のなる木がいいんじゃないかと思ったんですよ。季節によってわかりやすい変化があるので。


中島

仰る通りだと思います。実際僕らも6軒分のお庭を作らせていただいた時には植えさえていただきました。

安田

ああ、そうでしたね。ただね、一方でなんとなく敬遠されている気もするんですよ。以前、「ベトナムではお庭には収穫できるものを植えるのが一般的」だと仰ってましたけど、日本はあまり果実の木を庭に植えたがらない印象があって。


中島

確かにそういう傾向はありますね。季節の変化は感じやすいですが、落ちた実の処理をどうするかとか、そういった手間を気にする方が多いというか。毛虫もつきやすかったりするので。

安田

ははぁ、なるほど。手間がかからず、毛虫もつかなくて、ちょっとした季節のプレゼントみたいに美味しい実がなるような木があれば人気が出る気がするんですけど。そんな都合のいい木はないですかね(笑)。


中島

笑。それでしたら、ブルーベリーがおすすめですね。木になっているイメージはあまりないかもしれませんけど、大きくなると2メートルを超えるものもあるんです。虫もつきづらいし、実の収穫もしやすいので、比較的手間はかかりづらいと思いますよ。

安田

おお、それはいいですね。まさに理想的な「実のなる木」じゃないですか。


中島

そうですね。ただ虫はつかずとも鳥はついばみに来るので、しっかり収穫したい場合はネットを張った方がいいと思います。

安田

なるほど。虫は来なくても鳥には狙われるわけですね。ウグイスのような可愛らしい鳥が来てくれればいいですけど、カラスばかりが来たらちょっと嫌だなぁ(笑)。ちなみに柑橘系の木はどうですか? 


中島

柑橘系は梅雨時期にハダニすす病といった病気になりやすいんです。ですからこまめな消毒が必要になりますね。

安田

ははぁ、なるほど。夏ミカンなんかが自宅の庭になっていると素敵ですけど、相応の手入れが必要なわけですね。そういえば子どもの頃、ユスラウメという木が近所に植えられていたんですが、サクランボみたいな実がなってかわいらしかったんです。そういったものはどうですか?


中島

ああ、いいと思いますよ。あまり手間がかからないのもあって、6軒分のお庭にも植えさせていただいています。あと最近はフェイジョアという木が人気ですね。オリーブのような見た目で、赤い花が咲きます。秋になると5~6センチくらいの実もなりますよ。

安田

ほ〜、そこそこの大きさですね。ちなみにどんな味なんですか?


中島

パイナップルをさっぱりさせたような味というか。熟してから食べると結構美味しいですよ。コロナ禍で果樹を植えるのがブームになって、増えたようです。

安田

なるほど。ブームになるくらいだから、初心者でも育てやすいんですかね。


中島

実がなるのも早いですし、比較的育てやすいと思いますね。成長が早いので剪定は必要になりますけど。

安田

それなりの手間はかかってくると。というか、先ほど中島さんが仰っていたように、実がなる木は「落ちた実の処理」という手間はどうしたって必要なわけですよね。


中島

そうですね。たくさん実がなりすぎると、食べきれなかったりする場合もあるかもしれませんし。

安田

ああ、そうか。農家さんだったら嬉しいかもしれないけど、一般家庭でそんなにたくさん採れても、という。

中島

そうなんです。そういう意味では、果樹を育てたいという方でなければ、僕らの方から積極的におすすめすることはあまりないかもしれません。ほぼ唯一の例外が先ほどオススメしたブルーベリーで。

安田

ん? ブルーベリーの実は落ちても掃除しなくていいんですか?

中島

先に鳥が食べちゃうんです。だから落ちることがほとんどなくて。

安田

なるほどなるほど。掃除の手間が嫌だったら、鳥にあげればいいと。そこに来るのがウグイスなんかだと、風情もあってすごく良さそうです。

 

 


対談している二人

中島 秀章(なかしま ひであき)
direct nagomi 株式会社 代表取締役

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高校卒業後、庭師を目指し庭の歴史の深い京都(株)植芳造園に入社(1996年)。3年後茨城支店へ転勤。2002・2003年、「茨城社長TVチャンピオン」にガーデニング王2連覇のアシスタントとして出場。2003年会社下請けとして独立。2011年に岐阜に戻り2022年direct nagomi(株)設立。現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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