第116回 文字量が少ないチラシほど、反響が高くなる理由

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第116回 文字量が少ないチラシほど、反響が高くなる理由

安田

中辻さんはたくさんのチラシを見たり作成したりしてこられましたよね。その中で「このチラシはお客さん目線に立っていないな」と感じるチラシって、どんなものでしょうか?


中辻

それはズバリ、「いっぱい書きすぎなチラシ」ですね。

安田

ほう…。たくさん情報がある方が、チラシを見る人にとってはプラスのような気がするんですが、違うんですか?


中辻

そうですね。そもそもチラシって「スペースが限られている」じゃないですか。その中にこれでもかと文字を詰め込んでも、ただゴチャゴチャとしたよくわからないチラシになってしまうんですよね。

安田

なるほどなるほど。でもそういうチラシ、よく見かけますよ?(笑)


中辻

そうなんですよ(笑)。特に見出しもなく、会社の強みや商品の情報についてつらつらつらつら綴られているチラシって結構多くて。でもね、チラシを受け取った側はまずキャッチコピーくらいしか見てくれないんですよ。

安田

確かにそうですね。私も全然読んでませんでした(笑)。


中辻

でしょ?(笑) 読み手側はまずはキャッチコピーとか写真とかをザッと見て、そこで初めて「読むか読まないか」を判断する。だから実は「絶対に伝えたいことだけを書く」というのが、ポスティングチラシの一番のセオリーなんです。

安田

パッと見て読む気がしない文字量だったら、もうその時点でポスティングチラシとしてはアウトだと。


中辻

そう、アウトです。だって裏も表も字で埋め尽くされたチラシ、読みたいですか?(笑) だから「誰に何をどういう風に伝えたいか」を、できるだけ短く簡潔にまとめる。そして読者の方に「どうしてもらいたいか」ということが、チラシを見て1秒くらいでわかるように作らないといけないんですよね。

安田

たった1秒ですか?!


中辻

そうです。例えばあるチラシを見て、1秒で「これは整骨院のチラシで、新規オープンのキャンペーンをやっているんだ」というのが伝わらないといけない。逆に言えばそれで十分なんです。

安田

へぇ〜そんな程度の情報量でいいんですね。


中辻

ええ。私たちがチラシを作る時は、基本的に表面はキャッチコピーと、チラシにつける特典とかイベントといったことしか書かないですね。あ、ただ申し込みの電話番号やQRは必ず表面に置きます。

安田

ほう。じゃあ会社の詳細な情報とか、商品の強みとかこだわりといったことは、どこに書くんです?


中辻

そういった詳細情報はほぼ裏面ですね。そうやって表面と裏面の使い分けをしています。

安田

なるほど〜。じゃあどうしても言いたいことがたくさんある場合は、裏面にびっしり書けばいいと。


中辻

そうですね。ただそこはプロのデザイナーに任せるほうがいいかもしれないですね。というのも、デザイナーが作る方が、たとえ文字数が多くても圧倒的に読みやすさが変わってくるので。

安田

そうなんですか!


中辻

ええ。面白いことに、素人がWordとかExcelを駆使して作ったものと、デザイナーがうまくレイアウトして作ったものとでは、同じ情報量・文字量でも全然変わってくるんですよ。

安田

確かに「読みやすい字体」とか「行間」とかってありますもんね。じゃあ裏面に入れたい情報がたくさんあるんだったら、プロに任せるべきだと。


中辻

そういうことです。そもそもチラシの作成費用って、基本的に高いのは初回だけなんですよ。最初にしっかりとデザインを作り込んでおけば、あとはそれを印刷して配布していくだけなので、追加の制作費用はほとんどかからない。

安田

言われてみればそうですね。でも「チラシなんて自分で作れる」って考えている人も多そうですが…(笑)。


中辻

まさに仰るとおりなんです。「デザイナーに作ってもらう費用がもったいない」ってご自身で作ったチラシを持ち込まれる方もいらっしゃいますけど、それはすごくもったいない話で。長くポスティングで集客する予定があるのであれば尚更、最初にお金を出してプロに作ってもらった方がいいです。

安田

ふむふむ。でも「社員が頑張って作りました」みたいなケースもあると思うんです。手書き風の文字だったり、社長の似顔絵とかが入っているような、その会社にとって思い入れの強いチラシというか。


中辻

そうですね、「これは一体どこから見ていけばいいのかな…」というようなデザインのチラシ、ありますね(笑)。

安田

そういうチラシを持ち込んできて、「すごく思い入れのあるチラシなんで、なんとかこのテイストを活かしてくれませんか?」って言われたら、どうするんですか?


中辻

「内容は活かす方向で、デザインは刷新しましょう」と提案します。反響が取れなさそうだなと思っているのに、何も言わずポスティングする方が失礼だと思うので。そこは「どんなに思い入れがあってもダメです」ってハッキリ言っちゃいます(笑)。

安田
そこはプロのアドバイスに従った方がいいですよ、ということですね(笑)。

中辻

そうですね(笑)。逆に、どのエリアからの集客が多いとか、お客様じゃないとわからない情報も多いので、そのあたりはもちろん重視しますけどね。そういった「お客様から聞きたい情報」と「こちらから伝えたい情報」のキャッチボールがうまくいった会社さんは、ポスティングの効果も高い傾向にある気がします。

安田
なるほどなぁ。ちなみにマメノキカンパニーさんチラシの作成をお願いすると、どれくらいの金額なんですか?

中辻

チラシ作成とポスティングの同時利用であれば、チラシ作成は8万8000円でお受けしています。

安田
え、めっちゃ安いじゃないですか!

中辻

そうなんですよ(笑)。というのも私たち、ポスティングの方で利益をいただいているからなんです。チラシはあくまでも「反響を取るために自分たちで作っている」というスタンス。だからめちゃくちゃ安く設定しています。

安田
じゃあポスティングと一緒じゃない場合は、いくらなんですか?

中辻

チラシの作成のみですと約15万円です。

安田
…それでも十分安いですね。全然「日本一高く」ないじゃないですか(笑)。チラシ作成だけの場合は、50万円くらい取ってもいいんじゃないですか?

中辻

え〜…そんなに高くしても大丈夫ですかね?(笑)

安田
だって中辻さんがこれまでに培ってきたいろいろなノウハウが詰まっているチラシですよ? それで反響が上がったら、50万円でも安いくらいですよ。もうこの際、ポスティングだけじゃなくて、チラシ制作費も日本一高くしましょう(笑)。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

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1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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