第119回 絶好調のコビトベニエ、次なる一手は?

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第119回 絶好調のコビトベニエ、次なる一手は?

安田

昨年12月にオープンしたベニエ屋さん『コビトベニエ』、かなり繁盛しているそうですね!


中辻

そうですね、ありがたいことに忙しくさせてもらっています。口コミなんかもすごく高評価をいただけていて。ただどうしてもご提供する商品にこだわればこだわるほど、人件費や利益に課題が出てくるわけですけど。

安田

そこはなかなか難しい問題ですよね。そういえば決算はどうだったんです? かつては税理士さんから「飲食店は止めておけ」と言われていましたけど…(笑)。


中辻

「機会損失になるから止めておけ」って言われてましたね(笑)。でも今期も無事に黒字で決算できました!

安田

おぉ〜素晴らしい!


中辻

ただ去年の夏頃からお店のオープンに向けて、私自身はポスティングの仕事をセーブしていたので、『マメノキカンパニー』としての売上は前期に比べて減収になりましたけどね。

安田

無理もないですよ。まったく違う新規事業を始められたわけですから。…あ、でも税理士さんからはいろいろ言われちゃったわけですか?


中辻

いえ、実は減収だったんですが、増益だったんですよ。利益率は増えていたので、ギリギリ怒られずにすみました(笑)。

安田

減収なのに利益が増えたんですか! それはまたどうして?


中辻

ちょっと説明が難しいんですが、ポスティングは忙しいほうが経費がかかるんです。スケジュール的にスタッフに無理をしてもらうことになるので、報酬を上げる必要があって。

安田

あぁ、なるほど。その分、利益率としては下がってしまうと。


中辻

そうなんです。でも去年1年件数をセーブしたことで、結果的にはちょうど無理なく働いてもらえる量になって、利益率が上がったわけです。

安田

「プラスアルファの費用」がかからなかったことで、結果的に利益率が改善したというわけですね。なるほどおもしろい現象ですね。


中辻

ええ、すごくいい気付きになりましたね。ウチももう7年目になりましたけど、これまではずっと「増収すること」ばかり考えていたんですよ。売上3億、5億、10億目指すぞ、みたいな。でも「そうか、利益を残すってのも大事だよな」と。

安田

なるほど。スタッフさんとしても、無理のない働き方ができるという意味ではメリットですしね。あまり忙しすぎるとストレスも溜まっちゃうし。


中辻

まさにそうなんですよ。さらに言えば税理士さんからも「銀行が喜ぶ決算書になったね」と言っていただけて、結果的には三方よしというか、関係者みんなが喜んでくれました。

安田

おぉ、よかった。じゃあ税理士さんもいいかげん飲食事業を認めてくれたわけですね。


中辻

…ただ「ベニエ屋はまだまだ利益が薄いから、しっかりやれよ」と発破はかけられましたけどね(笑)。

安田

笑。ちなみに店舗ビジネス…特に飲食系って人手不足で困っているところばかりなんですけど、コビトベニエさんはそのあたりどうですか?


中辻

そこは大丈夫ですね。求人を出したらすぐに応募が集まるので、なんの問題もないです。ただ一方で「店舗の質」を落としたくないと考えると、どうしても人件費はかさんでいきますね。

安田

ふ〜む。例えば3人でお店を回しているとして、極端な話それをワンオペにしてしまえば人件費も3分の1になるわけです。でもそういう方向には進みたくないと。


中辻

仰るとおりです。せっかくお客様がいらっしゃっても、品切れの商品ばっかりだったり、提供までにすごい時間がかかったりしたら、きっとガッカリされるじゃないですか。だから人員を削ることはしたくない。じゃあどうするかといったら、増収するしかないんですよね。

安田

売上をアップさせていくしかないわけですね。何か秘策は考えられているんですか?


中辻

ええ、もちろん。今って30代〜50代が客層のメインなんですけど、もっと若い子向けの新メニューを出すことで今までとは別の客層にもアプローチしようかなと考えています。

安田

一般的に増収を考えた時に、まずは店舗数を増やそうと考えると思うんですが、そこは違うんですね。


中辻

もちろんゆくゆくは2号店、3号店の展開も考えていますが、まずは客数を増やしたり、客単価を上げることが先かなと。1店舗目がちゃんと地に足ついて営業できるようになって初めて、店舗を増やしたいなと思っています。

安田

なるほどなるほど。ちなみにどういう商品を増やそうとしているのか、聞いてもいいですか?


中辻

もちろんです。季節的にも、まずはソフトクリームを始めています。しかもそれはただのソフトクリームじゃなくて、「トッピングビュッフェ」ができるんです。

安田

トッピングビュッフェ? なんだか楽しそうなメニューですね(笑)。もう少し詳しく教えて下さい。


中辻

店頭にトッピングバーを置いていて、アイスにプラス100円で、19種の可愛いトッピングが、トッピングし放題なんです!そこで若い子たちにソフトクリームをめっちゃ可愛くデコってもらおうかなと。

安田

ははぁ、なるほど。若者だったらきっと、可愛くデコったソフトクリームの写真を撮ってInstagramにアップしてくれるでしょうね。


中辻

まさにそうなんです。そうしたら0円で広告できますから。そのためにも若い子が好きそうな可愛いトッピングもたくさん用意しているので。

安田

なるほどなるほど。ちなみに2店舗目を出すとしたら、1店舗目がどれくらいの利益を出した時だと考えていますか?


中辻

年間で600〜700万くらいは利益として残したいですね。

安田
ということは月平均50万円くらい?

中辻

そうですね。それくらいはコンスタントに残したいなと。今でもそれくらい残る月もあるんですが、正直言って赤字の月もあるんですよね。仕入れをすると一気に何十万円とかかってしまうので。まだ始めたばかりで利益のプールもほとんどない今、すぐにマイナスになってしまう。

安田
なるほどなぁ。仕入れをしても毎月グロスで50万円ぐらいが残るようになったら、ようやく2店舗目に気持ちを向けていけると。今後もますますコビトベニエの躍進から目が離せないですね!

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

Twitter

1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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