第127回 タブーだった「チラシで求人」が成功した理由

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第127回 タブーだった「チラシで求人」が成功した理由

安田

中辻さんは以前から「ポスティングチラシは求人に向かない」ということを仰っていました。でも最近、中辻さんのXで「チラシで求人をしている」って見かけたんですけど…。


中辻

あ〜、【求人チラシの時代は終わっていなかった!?】という投稿のことですね! ぶっちゃけた話、今でもチラシで求人は難しいでしょとは思っているんですが(笑)、あの案件はいろいろなことがマッチして、たまたまうまくいきまして。

安田

そもそも何の求人だったんですか?


中辻

小学校に隣接している学童保育ルームのスタッフ募集でした。チラシ2万枚を約19万円で配布したんですが、15件の問い合わせがあったそうです。

安田

ということは、1件1万円ちょっとで応募が作れたと。いや〜すごいな。中辻さんとしては、この求人に関してはなぜチラシでうまくいったんだと思います?


中辻

求人のターゲットが女性、特にお子さん好きな主婦の方だったからだろうと思います。実際私も、マメノキカンパニーの仕事をしていなかったら自分が働きたいって思ったくらいなので(笑)。

安田

笑。ちなみに求人募集のためだけにチラシを打ったんですか? それともなにか別の宣伝と合わせてチラシを作成した?


中辻

今回はクライアント様持ち込みのチラシだったんですが、完全に求人だけに特化していましたね。求人って仕事内容や給与だけでなく、「この職場で働くメリット」をしっかり伝えられないと応募は来ないと考えているので、すごくいいなと思いました。

安田

なるほど。新店舗オープンのチラシに「スタッフ募集」とだけ書いていても、効果はないというわけですね。ちなみに今回は何を売りにした求人だったんですか?


中辻

「お子さんと触れ合いながら仕事ができること」を一番の強みとして打ち出してましたね。あとは、夏休み期間のスタッフ募集だったこともあり「短期でも大丈夫」という点についても明記されていて。

安田

ふむふむ。先ほど仰っていたとおり、求人のターゲットも主婦層に絞ってあったと。


中辻

はい。お子さんとの触れ合いに慣れている主婦層がメインターゲットで、それがしっかり伝わる内容になっていました。結果、短期の募集だったのに、長期希望の方からも複数応募があって。クライアントさんにはすごく喜んでいただきましたね。

安田

なるほどなぁ。ちなみに中辻さんとしては、最初からチラシでの求人を勧めたわけではないですよね?


中辻

全然勧めてないです(笑)。3回くらい断りましたもん(笑)。「求人でチラシはやめた方がいいですよ」「Indeedの方がいいと思いますよ」って。ただ引き受けた以上は絶対結果を出したいと思ったので、配布エリアについてはかなり緻密に考えました。

安田

じゃあ今回成功したことで、中辻さん的にはIndeedに代わる新しい採用手法を見出すことができた?


中辻

「募集する職種やターゲットによってはアリ」くらいには変わりましたね。今回の求人については「家から近い」「短期間で働ける」「子どもと触れ合える」という3つのポイントが、ターゲットである主婦層にマッチしたのが功を奏したのかなと思います。

安田

なるほど。確かにタクシー運転手や警備員の求人だったら、ここまでうまくいかなかったでしょうしね。そういえば昔って、いろんな企業の求人が一覧でたくさん載っているチラシがよくポスティングされていましたよね? 中辻さん、ああいうのはやらないんですか?


中辻

私はそういうチラシには否定的なんですよね。というのも1社あたりの枠がめちゃくちゃ小さいじゃないですか。だから給与・勤務時間・勤務先といった必要最低限のことしか載せられなくて。そうなると会社の色とか強みが全くアピールできないから、結局は給与面でしか選ばれなくなってしまうんだろうなと。

安田

なるほどぁ。そういった意味でも、今回は「求人」に特化して、ターゲットに響く内容をしっかり伝えられたからこそ、チラシでも求人が成功したということなんですね。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

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1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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