第16回 No.2でいることの意味

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第16回 No.2でいることの意味

安田

今日は「会社のNo.2という立場」についてお話を聞いていこうかなと。中辻さんは現在、株式会社MAMENOKI COMPANYの経営を全て任されているわけですが、ポジション的には専務、つまり「No.2」ですよね。


中辻

はい、そうです。

安田

「No.2」であるがゆえに特別に意識されていることはあるんでしょうか? 自分は専務だから余計なことはしない、ここまでしか口を出さない、とか。


中辻

あんまり意識してないですね(笑)。

安田

やっぱりそうですか(笑)。


中辻

社長の久保さんに対しても遠慮せず意見しますし、違うなと思ったら反論もします。そのせいでちょっと険悪な雰囲気になることもあれば、無視しちゃうこともあったり(笑)。

安田

笑。そんなことしてクビになったらどうしよう、と心配にはなりませんか?


中辻

ないですね(笑)。

安田

それだけ自分は会社に貢献できている、ということですね。


中辻

そう思うようにしています(笑)。私に無いものを久保さんは持っていらっしゃいますし、逆に私は久保さんに足りない部分を補っているので。バランスがいいんだと思いますね。

安田

つまり、「自分はNo.2だから遠慮してNo.1を立てておこう」という考えはないと。


中辻

ええ、そういう考えは全くないです。

安田

たとえばどうしても意見が合わない時だってありますよね。そういう時はどうするんですか?


中辻

確かに反論したり意見を言うこともありますけど、最終的な決断はもちろん社長の久保さんが行います。

安田

最終的にはトップの意見を受け入れているんですね。それは遠慮とは違うわけですか。


中辻

久保さんがトップだから、という思いが半分。残り半分は、私たちお互い頑固なので、どちらかが折れない限り、話がずっと平行線なんです(笑)。だからまあ、No.2の私が折れなきゃなと。

安田

笑。ちなみにそういう意見の食い違いって、どういう時に起こるんですか? MAMENOKI COMPANYの経営方針を巡って、とか?


中辻

あ、それはないです。久保さんは社長ですが、MAMENOKI COMPANYのことに関しては一切何も口出しはされませんね。私の自由にやらせてくれています。

安田

へえ! それはすごいですね。


中辻

どちらかというと、久保さんのもう1つの会社『ペイント王』でのチラシの打ち出し方とか戦略とかですね。そういうことに私が意見をしてちょっと揉める…ということが度々ある感じです(笑)。

安田

なるほど、そういうことでしたか(笑)。ところで最近は、「あえてNo.2になりたい」という人も多いそうなんです。


中辻

へえ。トップを影で支えることに憧れる、みたいなことですか?

安田

そうです。でも中辻さんのお話を聞いていると、No.2ってわざわざ目指してなるものじゃないという気もしてきましたね。


中辻

確かに私は「組織のNo.2という役割に徹するんだ」なんて考えてはいないです。

安田

そうですよね。やっぱりそういう人が、本当に活躍できるNo.2になれるんでしょうね。


中辻

「No.2だから」と思ってしまった時点で、No.1=社長と同じ立ち位置で会社全体を見たり、サポートしたり、っていうことができない気がするんです。

安田

ああ、なるほど。実質的に自分が社長のつもりで動いている、というわけですか。


中辻

はい。そういう責任感を持って会社を切り盛りしています。「No.2だから」っていうのはあまり考えず、社長と同じ方向をむいて進んでいくのがいい気がします。

安田

ということは、いつでもトップと交代ができるような人こそがNo.2であるべきなんでしょうね。


中辻

そうかもしれないですね。細かい指示をもらわなくても主体的に動ける人材でいようと常に意識しています。事前に先回りして整えておけば、社長は「じゃあそれでお願い」の一言で仕事が終わりになりますから(笑)。

安田

じゃあたとえば、「来期から中辻さんが社長やって」と言われたら、やりますか?


中辻

えーっと…やってと言われたらやるかもしれないですけど。うーん、どうかなあ(笑)

安田

社長になりたくない理由というのが、なにかあるんですか?


中辻

ええ。以前にもお話しましたが、今はまだいろんなことを吸収したり挑戦したりする時期なのかなと自分では思っていて。

安田

それは社長になるとできないことなんでしょうか?


中辻

そうですねえ、逆に足が重くなる気がします。今の「No.2」という立場だからこそ、フットワーク軽く動けて、新しいことにも挑戦できていると思っているので。

安田

なるほど。久保さんが社長としてどっしり構えてくれているからこそ、その下で中辻さんがのびのびと活躍できているということなんでしょう。やっぱりバランスがいい2人なんですね。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

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1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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