第35回 人間の都合に合わせて作られた食べ物

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第35回 人間の都合に合わせて作られた食べ物

安田
以前、大食いタレントさんって、実は人類の進化の最先端にいるんじゃないかというお話をしました。

久保
そうでした。「どれだけ食べても体内に吸収しないよう進化しているのではないか」と盛り上がりましたね(笑)。
安田
で、実は私、今後は「毛が生えない」という進化を遂げる人も出てくるんじゃないかと思っているんです。

久保
え、どういうことですか?(笑)
安田
今、脱毛ブームがすごいんですよ。女性ばかりじゃない、男子でも中学生くらいになると永久脱毛するんですって。髭剃りや散髪と同じような感覚で。

久保
ほぉ〜。脱毛が当たり前のことになってきているんですね。
安田
そうなんです。毛は大事なところを守るためにあると言われていますが、今の時代もう守る必要もなくなってきているじゃないですか。昔なら寒い地域で身を護るために体毛が濃かったのかもしれませんが、今はコートを着ればいいし、家に帰れば暖房がある。頭だって、帽子やヘルメットがあれば充分守れます。

久保
確かにそうですね(笑)。
安田
だからもう現代人には毛髪も体毛もいらないんじゃないかと。「食べても太らない人」が現れ始めているのだから、今後は「生まれたときからほとんど毛が生えない人」も出てくると思うんですよ。

久保
なるほどなぁ。さすがに5年10年でそういうことは起こらないとは思いますが、長い期間で見ていくと起こり得るかもしれないですね。
安田
ええ。そしてその期間というのも、それほど長くはかからない気がしていて。

久保
え、どういうことでしょう。
安田
昔は環境が変化するのにものすごく時間がかかっていたから、人類の進化も何万年という時間がかかっていた。でもこの2000年ほどで人類の生活環境は劇的に変化しているので、もしかすると100年200年の単位で、人体の構造がガラッと変わっても不思議じゃないと思うんです。

久保
ああ、なるほど。進化のスピードが速まるんじゃないかというわけですね。
安田
ええ。もちろんそれは「良い進化」ばかりではないかもしれない。たとえば最近は若者の性欲が低下しているという話もあります。欧米人は実際に精子の数が減っていたりするみたいですし。

久保
ははぁ、なるほど。それに関連するかもしれない話として私が気になっているのは、最近農業で重宝されている「子孫を残さない食物」についてです。
安田
子孫を残さない食物って、たとえば種無しスイカとかのことですか?

久保
そういったものもそうですし、雄性不稔(花粉が作れない)の種を使った野菜はもっと深刻です。消費者が種がないから食べやすいとか、農家さんが品種を安定させるのに便利ということで人気なんですが、要するに子孫を残せない野菜なんですよ。そんな不自然なものを私たちは日々何の疑いもなく食べている。それが人体のカラダにどんな影響を及ぼすのか、まだ誰も証明していないのにも関わらず、です。
安田
ふ〜む、確かに。つまり壮大な実験中ということですよね。

久保
まさにそうです。50年とか100年先の人類にどういった変化が出てくるのか、今はまだわかりません。でももしかすると、先ほど安田さんが紹介された「精子の数が減少している」という話も、こういった食べ物の影響を受けてのことかもしれないわけです。
安田
なるほどなぁ。それで思い出しましたが、「遺伝子組み換え食品もカラダに良くない」と言われますよね?

久保
そうですね。世界各国で様々な議論が起きています。
安田
でも私としてはちょっと不思議なんですよ。そもそも自然界では昔から自然に交配が進んで、いろんな植物が生まれているわけじゃないですか。虫が媒介するのはいいけど、人間が交配させるのはダメ、というのがイマイチ納得いかないんです。

久保
ああ、なるほど。それでいうと、人間がやる交配にも2種類あって、一つは「品種改良」ですね。これは安田さんが仰るように、自然界でも交配が起こり得る近しい種同士をかけ合わせたものです。でももう一つの「遺伝子組み換え」は、全然違う種の遺伝子を組み合わせるんです。
安田
つまり、自然界では起こり得ない掛け合わせということですね。

久保
仰る通りです。例えば、サソリの遺伝子と植物の遺伝子の一部を入れ替えて、虫に食べられにくい植物を作る、みたいなことが行われている。昆虫と植物が交配するなんて、自然界では絶対に起こらない掛け合わせですよね。
安田
確かに。つまり人間が科学的に介入し、不自然な交配を行ってしまっていると。確かにそれは倫理的にどうなんだ、という問題点はあるかもしれません。しかし、そういう人工的な交配をしたものがすべてカラダに悪いとは言えないんじゃないですか?

久保
そうですね。それもやはり現時点では「壮大な実験中」だとしか言いようがありません。
安田
何十年も経たないと、どんな影響が出るかはわからない、と。

久保
ええ。ただ前提として、遺伝子組み換えの農作物はすべて人間の都合で生み出されている、というのは理解しておく必要があります。「雑草や害虫を取るのが面倒だから、除草剤をかけても枯れなくて、虫にも食べられないような農作物を作ってしまおう」というのは、完全に人間側の主張です。
安田
確かにそうですね。つまり、自然な成り行きではないと。

久保
ええ。たとえば遺伝子組み換えをしたトウモロコシなんかは、その葉っぱを食べた虫は内臓が溶けて死んでしまうんですよ。だから殺虫剤を撒かなくても大丈夫というわけなんです。確かに便利ではあるでしょう。でも、そんなトウモロコシ、食べたいと思われますか?
安田
いやぁ、勘弁してほしいですね(笑)。

久保
同感です(笑)。そういうこともあって、欧州なんかでは「遺伝子組み換えされた食物は危ないから食べない」という人が大勢いるんです。もちろん「それでもいいじゃん」と食べるのも1つの選択肢ですけれど。
安田
ふ〜む、そう考えると、家畜も似たような状況ですよね。たとえば鶏って、人間にとって都合の良いように品種改良されたことで、今は1羽の成長スピードが昔と比べて3倍くらい速くなっているらしいです。

久保
ええ。同じ期間で、同じ量の餌を与えているのに、3〜40年前と比較して4倍も重い鶏が育つと聞いたことがあります。昔なら最大でも1キロくらいだった個体が、今は4キロにまでブクブクと成長する。肉がたくさん採れるという意味ではよいことかもしれないけど、4キロもある鶏は自力で立てず、潰れたようにしゃがんだまま一生を終えるような個体もいるわけですよ。
安田
そんな鶏を私たちは食べているわけですか……。早く育つから早く・安定的に出荷できるわけですよね。そうすると確かに値段は下がる。でもその安さの代わりに、何かしらの危険を私たちは引き受けているのかもしれない、ということですね。

久保
仰る通りです。ですから私たちも、ただただ「安いもの」ではなく、「安心して食べれるもの」にお金を払うことが重要なんだと思います。
安田
なるほど。このまま人間の都合に合わせて作られた食べ物ばかり口にしていたら、もしかしたら大変なことになるかもしれないよ、ということなんですね。

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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