第25回 大食い芸人は、進化の最先端?

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第25回 大食い芸人は、進化の最先端?

安田
「大食いなのに痩せている人」っているじゃないですか。大食いタレントさんにもよくいますよね。ああいう方たちって、あんなに食べてるのになぜ太らないんでしょう。

久保
私も不思議に思って調べてみたことがあります。結論、彼らはだいたい「特異体質」みたいですね。
安田
ほう。普通の人とはそもそも体質が違う、と。

久保
ええ。実は特異体質の人って、世の中にすごくたくさんいるんですよね。アレルギーで特定の何かが食べれないという人もいますし、逆にフルーツ以外は全く口にしない人や、青汁だけで生きている人もいます。
安田
そういえばインドには「水だけで生き続けている人」もいるって聞いたことがあります(笑)。

久保
そこまでいくとオカルトの世界のような気もしますが(笑)。ただ、フルーツにしろ青汁にしろ、十数年以上もそういう生活を続けていながら、ちゃんと生きているわけで。つまり逆に言えば「それでも健康に生きられる特異体質だった」ということですよね。
安田
ふーむ。フルーツや青汁だけで、十分な栄養が摂取できているということですもんね。

久保
仰る通りです。たとえば「食物繊維」というものがありますが、あれは腸内を掃除する機能しかありません。つまり本来、栄養なんてないんです。でも特殊な腸内環境を持っている人は、それすら栄養にしてしまう。
安田
なるほどなぁ。その観点で言うと「食べても太らない人」はどんな特異体質なんでしょう。

久保
まず、腸内の善玉菌の数が非常に多いらしいです。そして「褐色脂肪細胞」も普通の人より多い。
安田
褐色脂肪細胞? それはどんなものなんですか。

久保
脂肪を燃焼させて、活発に消費させるために必要な細胞なんです。これがたくさんあることで、普通の人よりもエネルギーをたくさん消費することができるんですね。
安田
なるほど。普通よりたくさん消費するから、普通よりたくさん食べられるわけか。

久保
ええ、そう考えられます。食べても食べても消費してしまうから、結果太ることもないと。
安田
とはいえ一方で、テレビなどに出るような大食いタレントさんたちは、胃袋を大きくする訓練なんかもすると聞きます。普通だと握りこぶしくらいの大きさなのに、訓練して一升瓶ほどの大きさまで広げるんだとか。

久保
そうらしいですね(笑)。「たくさん食べられる」という点に関しては、後天的にカラダを対応させていっている部分も大きいかもしれません。ただ「食べても太らない」というのは、もしかしたら「きちんと消化ができていないだけ」という可能性もあるなぁと。
安田
ああ、確かに。代謝が良いから太らないのか、単に糖を吸収できないから太らないのか、ということですよね。私はどちらかというと後者のイメージですが…。

久保
私も正直、そう思うんです。たくさん食べても、ほとんど消化・吸収せずにただ排出しているだけなんじゃないかと。でもそれってカラダには大きな負担になるので、あまり長生きはしないんじゃないかなと。
安田
うーん、実は私はそこにちょっと懐疑的でして。というのも以前久保さんが「人間は飢餓状態の時代が長かったから栄養を蓄える=太るようにできている」と仰っていましたよね。

久保
ええ、そうお話ししましたね。
安田
でも人間が飢餓状態だったのは、相当昔の話じゃないですか。今は逆に「飽食の時代」。いつでもなんでも食べられる、だから無理にカラダの中に貯め込む必要はない、とカラダが「進化」し始めている可能性はありませんか。

久保
え、進化ですか?
安田
はい。カラダが必要としているよりも多く食べてしまった分については「吸収しない」という風に進化しているんじゃないかと思っていて。

久保
つまり、大食いタレントたちは人類の進化の最先端にいるんじゃないかということですか? それはずいぶん前向きな考え方ですね(笑)。
安田
ええ(笑)。でもそうとしか考えられないなぁと思うんですよ。大食いタレントの方々は、たくさん食べても太らない=カラダに蓄積することはない。一見するととても燃費が悪いカラダに思えますが、それこそが一段進化した人類の姿なんじゃないかと。

久保
うーん。糖が正常に吸収できない=細胞に取り込むことができない、というのは、つまりインスリンが正常に働いていないわけです。つまりインスリンという「ブレーキ」が壊れている状態。それは健康とは言えないと思うんですが。
安田
普通の人であればそれは不健康な状態でしょう。でも大食いタレントの方たちって、見る限り健康的に生きているじゃないですか。ということは、やはりなにかが「進化」しているんだろうと。

久保
なるほどなぁ。確かに血液中から細胞に取り込まれた糖分は、使われなければ脂肪に蓄えられるんですよ。要は「肥満化」するんです。でも実際、大食いタレントの方々の多くは痩せていますものね。
安田
ええ。「カラダに必要な分は吸収する、だけどそれ以上はカラダの中に取り込まずにスルーしてしまおう」というのが、人類の進化の最先端なのではないかと。

久保
要は、一定の量を超えた糖については、いったん取り入れてから尿などで体外に排出するのではなく、腸で吸収をブロックしてしまうことで、血液中に糖が入ることを防ぐ、と。
安田
そうですそうです。そうすれば血糖値も上がりませんし。これ、もしかするとインスリンに次ぐ「第2のブレーキ」になるんじゃないかとも思っているんですよ!

久保
なるほど。もしも本当に大食いタレントの方々のカラダの中でこういった仕組みが出来ているのであれば、それはもう世紀の大発見ですね! ぜひ検証していただきたいなぁ(笑)。
安田
ですよね? ぜひどなたかに「大食いタレント研究会」を立ち上げてもらいましょう(笑)。

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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