【vol.275】航空業界のトレンドや近未来(自動化)

GlobalPicks 〜海外の情報を読み解いて、ビジネスに付加価値を投薬する方法〜 著者:小出 紘道


今週からは「航空業界のトレンドや近未来」についての記事を読んでみたいと思います。
個人的にも飛行機はよく利用しますし、航空業界のマーケティングの仕事にも頻繁に携わるので、自身の仕事上検索してたら見つけたサイトです。
サイトの名前は「Future Travel Experience(未来の旅行体験)」という名前なので、勉強には良さそうかなと(笑)

今回の記事はコレ

10 technology trends that can enhance airline and airport operations in 2023
(2023年、航空会社と空港のオペレーションを強化する10のテクノロジートレンド)
(https://www.futuretravelexperience.com/2023/01/10-tech-trends-that-will-shape-passenger-experiences-and-business-performance-in-2023/)

10個のテクノロジートレンドは下記の通りです。

1.Automation and robotics
2.Artificial Intelligence and Machine Learning
3.Metaverse, digital twin and NFT
4.Personalisation
5.New approaches to retailing
6.Urban Air Mobility
7.Biometrics and digital identity
8.Private Networks
9.Return to collaboration with startups
10.Sustainability

 

まずは「1.Automation and robotics」を見ていきたいと思います。

1.Automation and robotics
(自動化とロボット工学)

Perhaps an overriding trend this year and beyond will be increasing automation, using technology to streamline operations and offset rising labour costs. As this report in Forbes indicates: “Labour has typically represented about 25% of an airline’s cost. Over the next few years, many have forecasted that this will move to north of 40%.” With this in mind, investment in tech and automation is definitely paramount across the industry.

おそらく今年以降のトレンドの最たるものは、テクノロジーを駆使してオペレーションを合理化し、人件費の上昇を相殺する自動化の進展だろう。フォーブス誌のこのレポートが示すように 、人件費は通常、航空会社のコストの約25%を占めている。今後数年間で、人件費は40%以上になると多くの人が予測している。このことを念頭に置くと、ハイテクと自動化への投資は、業界全体で間違いなく最重要である。

「テクノロジーを駆使したオペレーションの合理化」が進んでいるのは、実際に飛行機を使っていて実感するところです。
元々、人件費の抑制と感染症対策の両輪でこうした導入が進んでいるものと理解していました。
ただ「今後数年間で、人件費は40%以上になる」という予測はかなり驚きました。さすがに日本ではこうならないと思いますが、欧米諸国における「インフレ」と「人件費増」はこれほどなのですね。

This is already being realised in innovative ways, such as using autonomous technology to future-proof airside operations. At FTE APEX Asia Expo in November 2022, Carolijn Schoofs, Head of Innovation, Royal Schiphol Group, explained Schiphol’s plans to achieve a fully autonomous airside operation by 2050. Automation will again be a key focus at this year’s FTE APEX Asia Expo, taking place in Singapore on 8-9 November 2023.

航空産業のオペレーションを将来にわたって維持するための自律的技術の使用など、革新的な方法はすでに実現されている。2022年11月に開催されたFTE APEXアジア・エキスポでは、ロイヤル・スキポール・グループのイノベーション責任者が、2050年までに完全に自律化されたオペレーションを実現するというスキポールの計画について説明した。2023年11月8~9日にシンガポールで開催される今年のFTE APEXアジア・エキスポでも、自動化が重要な焦点となる。

オランダのスキポール空港は、実際行ってみるとわかりますが、世界最大級のバカでかい空港です。広すぎてトランジットでかなり焦るのが、あるあるです。
このスキポール空港が2050年までにオペレーションの自律・自動化を完了するということなので、他の空港(これより狭い)が「同じことを出来ない理由はない」ように見えます。
早晩あらゆる空港でオペレーションが自動化されるのだと思います。

とはいえ、2023年現在においても、日本の国内線はほぼ「人的サービス」を受けなくても飛行機に乗って目的地に到着できる運用になっているので、今後完全自動化となっても、ユーザーサイドの追加的な便益は少ないのかもしれません。
どちらかというと航空会社や空港側の人件費削減が主たる命題なのかもしれないですね。

 

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「本コラムと、本業ビジネスとの関係」(著者・小出紘道より)

本業ビジネスでは「マーケティング&戦略コンサル」の仕事と、「高付加価値情報提供サービス」の仕事をしています。本コラムは後者の「高付加価値情報提供サービス」の初級編としての入り口となればいいな、と思ってます。世界の誰かが”既にかなり研究したり、結論を出している”にも関わらず”日本では流通していない数値情報や文字情報”がたくさんあります。それらの情報を、日本のマーケットにフィットするように編集・分析すれば「競合他社」や「競合他者」を出し抜ける可能性が高まります。法人向けのサービスとなっていますので、詳細はFace to Faceでお伝えしますね。

著者情報


小出紘道 (HIROMICHI KOIDE)
◆株式会社シタシオン ストラテジックパートナーズ 代表取締役社長 http://citation-sp.co.jp
◆株式会社シタシオンジャパン 取締役会長 http://www.citation.co.jp
◆株式会社 イー・ファルコン 取締役 http://www.e-falcon.co.jp
<いわゆる経歴>
・2000年 株式会社東京個別指導学院に新卒で入社して、11ヶ月だけ働いてみた(→早めに飽きた) ・2001年 イギリスに行って、University of Londonで経済と国際関係を学んだり、Heriot-Watt Universityで経営学(MBA)をやってみた(→めちゃくちゃ勉強した)。この間に、イギリス人の友人とロンドンで会社を作ってみた(→イマイチだった) ・2003年 シタシオンジャパン社でマーケティングをやり始めてみた(→ろくにエクセルも使えなかった) ・2007年 シタシオンジャパン社の代表取締役社長になって経営をやってみた(→やってみてよかった) ・2018年 シタシオンジャパン社の社長を仲間に託し、引き続き会長としてコミットしつつも、シタシオンストラテジックパートナーズ社を設立してみた(→今ここ)
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