第9回 医者は風邪薬を飲まない?

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第9回 医者は風邪薬を飲まない?

安田
今回は「自分で自分を治す力」についてお聞きしたいと思います。久保さんは、そもそも人間には「自分の力で病気を治す力」が備わっているとお考えですか?

久保
そうですね。動物と同じように、人間も自分で自分を治す力はあると思います。
安田
とはいえ、人間は病気になるとすぐ病院に行ったり薬を飲んだりして治そうとしますよね。

久保
そうなんですよ。本来であれば必要ない場合でも、人間はすぐに病院や薬を頼ってしまう。
安田
そもそもなぜ熱が上がるかといえば、体内の白血球を活性化させて菌と戦えるようにするためですよね? 薬を飲んで熱を下げてしまったら、せっかく自分で治療しようとしているのに、邪魔することになってしまいませんか。

久保
ええ、まさに仰る通りです。咳や鼻水を薬で止めてしまうことで、治りが遅くなったり、場合によっては悪化させてしまうこともありますから。ちなみに人間の「免疫機能」にはいくつかの関門があること、ご存知でしたか?
安田
免疫機能の関門?

久保
ええ。たとえば喉の粘膜も免疫の1つで、ウイルスや菌の体内部への侵入を防ぐバリアとして機能している。
安田
ああ、「関門」というのはそういうことですね。つまり鼻毛や耳毛も関門ということですか?

久保
そうです。様々なものが関門として機能し、外からの異物侵入を防いでいる。逆に言えば、異物に第1関門、第2関門……と突破されてしまえば、だんだん「病気」に近づいていくってことですね。
安田
そうか、要するに異物侵入を防ぐためのバリア機能が「免疫」だと言えるんですね。だからこそ、鼻水や咳を無理やり薬で止めてしまうというのは、自らバリアを解いてしまっていることになる。

久保
そういうことです。ところで先ほど「人間は体内の白血球を活性化させるために熱を出す」という話がありましたが、免疫力が一番活性化するのって何度くらいだと思われますか?
安田
うーん、どうなんでしょう。あまりにも高熱だと脳なんかにダメージが出そうですし、「ちょっと熱っぽいな」と感じる37~8℃くらいじゃないでしょうか?

久保
その通りです!人間の体内では数千種類もの酵素が働いていると言われていますが、そのほとんどが37~8℃の時に一番活性化するんですよ。
安田
ははぁ、そうなんですね。

久保
ちなみに安田さんの平熱は何℃くらいですか?
安田
36℃くらいですかね。

久保
私もそれくらいなんですが、脇の下が36.5℃でも、腸内温度はだいたい37~8℃あるんだそうです。
安田
なるほど。酵素が一番活性化する温度を保っていると。

久保
そうなんです。酵素はタンパク質なので48℃を超えると壊れてしまいますが、40℃くらいまでは急激に活性化するんですね。だから体が高熱を出しているときというのは、体外から侵入したウイルスや菌と戦うために酵素を活性化させているということなんです。いわば戦士の士気を高めている状態なわけで。
安田
せっかく士気を上げて戦おうとしているのに、解熱剤で「皆さんお茶でも飲んで落ち着きましょう」とやってしまうと。体からしたら「何やってくれてるんだ!」って感じですね(笑)。

久保
本当ですね(笑)。体の意図とは真逆のことをしていますから。
安田
ちなみに私、とある噂で「医者は風邪薬を飲まない」と聞いたことがあるのですが。

久保
私も、噂では聞いたことがありますね(笑)。
安田
あれって実際本当なんですかね。だって、お医者さんだろうが38℃も熱があるとしんどいはずじゃないですか。まあ、お医者さんはさておき、そもそも平熱の状態で酵素がしっかり働けるようにしといてくれればいいのに。

久保
確かにそうとも言えますが、緊急時以外はそこまで活性化させる必要がないのかもしれません。緊急時にガンガン働いてもらうために普段は余裕を持たせていると言うか。
安田
ああ、そうかもしれませんね。常にフルパワーでいたら酵素も疲れちゃいますし。

久保
ええ。そう考えると、酵素にとって一番活性化する38℃が、人間にとっては苦しい状態っていうのも別の意味が見えてきます。だって、せっかく酵素の力を使って免疫力がフルパワーで治療しようとしているのに、人間が元気いっぱいに動き回ってたら困りますから。
安田
それはそうですね(笑)。安静にしてくれないと困る。

久保
ですよね。全力でウイルスや菌と戦うために、余計なことに体力を使わせないようにしているのではないかなと私は思います。
安田
なるほど。つまり不調を感じたらじっとして動くな、横になっておけ。そういう体からのメッセージなのかもしれませんね。

久保
野生動物もそうですよね。怪我をしたら何も食べずじっとしている。それは自分が今持っている体力のすべてを、傷の治癒や回復のために使おうとしているからだと思います。
安田
納得感あります。だからこそ尚更、「なぜ人間は薬を飲んで治そうとしてしまうのか」が不思議ですね。

久保
うーん、国によっても違いますけどね。特に日本人はその傾向が強いように思います。理由の1つとして考えられるのは、責任感ですね。日本人って、多少熱があるくらいじゃ会社休まないじゃないですか。
安田
ああ、確かに。さすがにここ数年のコロナ禍では、熱が出たら休むのが常識になりつつありますが、少し前までは「熱くらいで休むの?」という風潮はありましたよね。

久保
ええ。ところが海外では風邪で病院に行っても、簡単にお薬はもらえないそうです。「風邪に薬は出しません。会社なんて行かず、家で寝てください」と言われて終わり(笑)。
安田
笑。そうか、日本人が飲む「風邪薬」は、風邪を治すためじゃなくて、会社や学校に行くための薬なんですね、きっと。

久保
そういうことになりますね(笑)。発熱・頭痛・食欲不振・体力低下などの症状は、「具合が悪いから安静にしてなさいね」という体からのサインだと思っています。
安田
そうですねえ。逆に言えば、そのサインにきちんと従ってさえいれば、基本的には自然に治癒していくようになっていると。

久保
ええ。そのサインを無視して、薬で無理に熱を下げたり痛みを取ろうとしたりするから、それが大病に繋がってしまうのだと思います。
安田
なるほど。自分には自分の体を治す力が備わっているんだということ、私たち人間ももっと自覚的になるべきなのかもしれませんね。

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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