ムダな人生

常識的な社会人はムダなことを嫌う。
ムダな予算、ムダな作業、
ムダな残業は減らしたほうがいい。
ムダをなくし、ムダではないものにお金と時間を使う。
それが“収益を最大化する基本だ”という理屈に、
正面から逆らえる人はなかなかいない。

だが実はこの理屈はスカスカなのである。
なぜなら実際にムダなものが売れているから。
タピオカドリンクも、鬼滅の刃も、GoToトラベルも、
考えれてみればムダである。

余計なドリンクなど飲まず、余計な映画など観ず、
余計な旅行などしなければ、個人のお金は最大化される。
個人の時間も最大化される。
では最大化したお金と時間は何に使えばいいのか。

ムダなものには一切使わず、収益や成長につながる
研修や投資のみに使えばいいのだろうか。
ムダなことを一切排除した人生。
考えてみればこれほどムダなものはない。
面白くもない人生を一体なんのために
生きる必要があるのだ。

ムダなオシャレをし、ムダなパンケーキを食べ、
ムダな世間話をして、ムダな日常を過ごす。
これはおバカな人の行動パターンではない。
至って普通の人間の行動パターンである。

考えてみれば当たり前の話なのだが、
ムダこそが人生の本質なのである。
傷つかないために異性とは付き合わない。
事故に合わないために家から出ない。
騙されないために他人とは関わらない。

そんなことをしていたら
生きている意味がなくなってしまう。
傷つき、騙され、ムダな買い物をし、
ムダなおしゃべりをすることが、
生きることの本質なのだ。

なぜムダなものが売れるのか。
なぜムダを排除すると儲からなくなるのか。
それは人生のほとんどがムダな時間だからである。
絶対にムダなことをしない人生。
絶対にムダな買い物をしない人生。
もしも自由に選べるとして、
いったい何人がそんな人生を選ぶだろう。

ジェットコースターに乗るというムダ。
海外まで遊びに行くというムダ。
結婚することで妻や子供に自由を奪われるというムダ。
日本シリーズで贔屓のチームを応援するというムダ。
ムダな時間とムダな行動とそれに伴うムダな出費。
それこそが経済の中枢なのである。

もしも人間がムダなことをやめたら、
世界経済は何百分の1以下に
シュリンクしてしまうことだろう。
いかな新たなムダを編み出すか。
いかに楽しいムダを演出するか。
それを考えることがビジネスなのだ。
ムダな人生は決してムダではない。

 


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