株式会社というのはとても良くできた仕組みである。たくさんの人から資本を集め、社会に必要な事業やインフラを生み出し、多くの人を雇って事業を運営し、得た利益を株主に還元していく。お金を出した人も、事業を生み出した人も、そこで働く人も、お客さんも、社会も、豊かになっていくシステムだ。
ただし、どんな物事もそうであるように株式会社にもマイナス要素はある。たとえば格差を再生産し続けるループ。資本家はどんどん豊かになり、事業家もその次に豊かになるが、従業員はほどほどにしか豊かにならない。さらには勤める会社の違い、組織での役割の違いによって格差はさらに広がっていく。
格差以外にも問題がある。いや、格差以上の問題だと言っていい。それは自立心と当事者意識の欠如である。会社というシステムに長く取り込まれれば取り込まれるほどそれは失われていく。これは致し方のないことだと思う。そもそも会社とはそのように作られたシステムだからである。
目的に沿った事業を生み出し、それを小さな役割に分け、それぞれの役割に条件を付けて人を募集する。採用された人は会社からの指示をできる限り忠実にこなし、決められた日に決められた額の報酬を受け取る。従業員それぞれがきちんと自分の役割をこなしてくれればシステムは正常に運営される。
この状態を長く続けながら自立心を持てと言う方が無理である。会社というシステムは従業員(特に組織下部に所属する大多数)から自立心を奪う。これは紛れもない事実である。そして自立心を奪われた従業員は自ら考えることも自らリスクを負うことも拒否する。これで格差が生まれない方がおかしい。
最大のリスクを負っている投資家が最大の利益を得る。その次に大きなリスクを負っている経営陣がその次に大きな利益を得る。限りなくリスクがない最下層の従業員は最低限の報酬しか得ることができない。冷静に全体像を眺めてみれば当然の結果なのである。この先も格差がなくなることは絶対にない。
社員に自立心を持たせたい。自分ごととして仕事に取り組ませたい。そう願う経営者は多い。だがそれは不可能だ。なぜなら会社というシステム自体が自立心の放棄によって成り立っているから。今こそ中小企業経営者は真剣に考えなくてはならない。自立なき従業員をこのまま抱え続けるのかということを。
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