人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第132回 「言われたことをやる仕事」の賞味期限

今日はこの対談のタイトルでもある「定着と報酬の関係」についてお話ししてみたいんです。

雇用関係の中での報酬とフリーランスのチームの中での報酬では、定着との関係も変わってくるんじゃないかと思っていて。社員を雇用している私と、「雇わない経営」を推奨している安田さんとで、違いを考えてみたら面白そうだなと。

それで言うと、藤原さんがいつも仰っている「労働と美の一致」というテーマに私はすごく共感していまして。自分の得意なことで人の役に立って、存在意義を実感できるというのは、人生のかなり重要な部分を占めていると思うんです。

ええ。藤原さんと私の違いでいうと、その方法論の部分なのかなと。会社という仕組みの中で、やる仕事と給料が決まっていて「この時間内にこれをやってください」という働き方をしている限り、労働と美は一致しないんじゃないかという気がして。

なるほど。そこに関しては、組織にいながら労働と美の一致を目指せる働き方もあっていいと思うんです。フリーランスの方が自分らしくあれる人もいれば、組織に守られて淡々と働く方が向いている人もいるわけで。いろんな選択肢があっていいんじゃないかと。

そうなんですよ。人件費って一人雇うだけでものすごいコストなわけで。そうなると会社は人をどんどん人を雇わなくなっていく。「従業員のやりがいや生きがいのために」なんて言っても、結局は利益のためであって、99.9%の会社は本気でそれを目的にはしていない。

悲しいことにそうなんですよね。私はずっと従業員満足度は手段ではなく目的だと言い続けていますけど、手段だと考えている経営者がほとんどだとしたら、ヒューマノイドの方が合理的だということになってしまう。

サービス業は残ると言う人もいますけど、やる気のないバイトにやってもらうより、気の利いたヒューマノイドの方がよっぽど気持ちいいですよ。職人さんが心を込めて作る料理なら人間がいいですけど、バイトが作る牛丼ならロボットでいい。

人間は新しい仕事を作り出す生き物ですから。でも、人間社会全体ではそうだとしても、会社の中で仕事が増えるかどうかは別問題で。人間がいない方が儲かるなら、あえて人間のための仕事なんて作り出しませんよ。

ある超大手企業の事業部長さんが「言われたことを淡々とやるだけでも給料がもらえて生活できる会社は一つの発明だ」と仰っていて、確かにそうだなと。クリエイティビティがなくても生活できる仕組みは、本当にすごい発明だったんです。

確かになぁ。でもその発明品にも賞味期限がありますよね。会社って永遠だと思われがちですけど、すべてのものには終わりがある。藤原さんが目指すような会社がこれから増えるとは思いますが、日本人全員がそこで働けるかというと厳しいわけで。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

















