第157回 商品が急に売れ出す「爆発地点」の見極め方

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第157回 商品が急に売れ出す「爆発地点」の見極め方

安田

お客さんにとっての選択肢って、少なすぎると選べなくて面白くないけど、多すぎても何を選んでいいかわからない。そのバランス設計が商売のコツだとXで仰ってましたよね。


倉橋

ええ、これはもう僕にとって永遠のテーマですね。小売業をやっていると、ある一定の量を超えた瞬間に爆発的に商品が売れるポイントがあるんです。社内では「爆発地点」と呼んでいるんですけど。

安田

面白い呼び方ですね。リンゴを1個置いても2個置いてもあまり売れないけど、ある量を超えた瞬間にお客さんが急に反応し始めるということですか。


倉橋

そうですそうです。リンゴを1個から2個、4個、8個と増やしても大して売れないんですけど、ピラミッドのように山積みにした瞬間に、お客さんの気持ちが上がって欲しくなってしまう。

安田

わかります。スーパーで見たことない新しいイチゴが売っていて美味しそうだったんですけど、1パック2パックだけポツンと置いてあっても買おうという気にならないんですよね。でも棚をバーッと作ってくれているとつい手に取ってしまうんです。


倉橋

ええ、まさにそれが爆発地点です。その山の体積をどう編集するかを、商品ごとにずっと探り続けています。

安田

なるほどなぁ。でもあれって、多すぎると今度は「売れ残っているんじゃないか」「セールにかけているんじゃないか」とも感じてしまいますよね。


倉橋

仰るとおりで。少なすぎれば売れ残りに見えるし、多すぎても売れていない感が出る。このバランスは本当に終わらない戦いです(笑)。

安田

笑。そういえば、ECショップのコンサルティングで有名な方が、リアル店舗を手がけたらうまくいかなかったと聞いたことがあります。ネットでは効率を追求すれば売れるけど、リアルだとそうはいかないと。


倉橋

そういうケースよく聞きますね。商品がものすごく少なくて、棚にポツンと置かれているだけ。それだとキラキラして見えないんですよ。店舗販売って人の気持ちが上がらない限り購買意欲は起きないので、あれじゃ売れないだろうなと。

安田

なるほどなぁ。ネットだったら1枚の写真と説明文で気持ちを上げられますけど、リアル店舗は雰囲気とか量感とか、五感に訴えないといけないですもんね。屋台のたこ焼きだって、あの雰囲気があるから買ってしまうわけで。


倉橋

ええ。商品を手に取って裏を見たり、隣の商品と比べたり、その一連の中で気持ちが上がるか下がるかで棚に戻すか買うかが決まる。購買って本当に気持ち一つなんですよ。

安田

気持ちが動くポイントでいうと、1つの商品の量だけじゃなく、種類の数も大事ですよね。例えばスーパーの醤油でも、いろんな醤油が並んでいると心が弾むけど、あまりに多すぎると見るだけで疲れてしまう。適正な種類の数はどうやって見極めるんですか?

倉橋

数字の組み立て方は一応あるんです。例えば10段の棚なら、上から3段目は人間がこのぐらい手に取るというデータがある。

安田

なるほど。それに基づいて発注するわけですね。

倉橋

ええ。ただ、それ以外にも週末は多めにするとか、大きなイベントがある日は少なめにしておくとか、日々調整は必要です。

安田

ああ、そうか。昔、出版の仕事をしたことがあるんですけど、書店で平積みされているとワクワクして手に取りたくなるけど、平積みするにはたくさん刷らないといけない。でも売れなかったら大量の在庫を抱えるリスクがあるわけで、判断が難しいところですよね。出版社の社長にも聞いたんですけど、何冊刷るかはほとんどギャンブルだと。

倉橋

そうでしょうね。ただ、一番避けたいのは「売れる時に商品がないこと」で。小売業者として最も恥ずかしいことだと思っています。

安田

なるほど。欠品はどうしても避けなければいけないと。出版でも、広告を打って売れ始めてから増刷しても間に合わない。書店に在庫がなかったら、もうお客さんの気持ちは冷めてしまうらしいですからね。

倉橋

ええ、まさに。その瞬間に合わせて在庫を持っておかないといけない。欠品はユニクロさんもニトリさんもスーパーも八百屋さんも、商売をやっている人全員が一番嫌がることですよ。月曜朝の会議でも必ず議題に上がります。

安田

でもラーメン屋さんがよく「本日の麺は終了しました」って言うじゃないですか。あれは倉橋さんからしたらどう見えるんですか? 

倉橋

いやあ、僕は耐えられないですね。ラーメン屋が麺なくなりましたなんて、商売人として一番あってはいけないことだと思うんですけどね。まあ、戦略としてやっているお店もあるのかもしれませんけど(笑)。


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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