役割こそが人の本質なのだと思う。人は役割なくして生きていくことができない。家族の中での役割、友人の中での役割、会社の中での役割、そして社会の中での役割。役割は私のアイデンティティーであり、生きていく手段であり、生きていることの証明でもあり、人として生まれた喜びそのものである。
だから断言してもいい。どんなにAIが進化しても、ベーシックインカムがばら撒かれても、人は新たな仕事を作り出すだろう。これまでずっとそうであったように。なぜなら仕事とは役割そのものだからである。仕事とはお金になる作業のことではない。仕事とは自分の存在価値・存在証明なのだ。
だがここに大きな問題が起きようとしている。それは会社が人を雇用しなくなるという現実だ。AIがどんなに便利であろうと人は必ず役割を見つけ出す。しかし会社はそうではない。会社は人に役割を与えるために存在しているのではない。利益を得ることがその最大の目的なのだ。
利益を得るには人間が必要だった。従業員に最適な仕事を与えることで利益は拡大し続けてきた。だがそのルールをAIは書き換えようとしている。新たに出現するのは人を増やさず利益だけを拡大するシステムだ。人の数と利益とが反比例する時代に移っていくのである。ではそのとき人は何をするのか。
これは単に飯が食えるかどうかという問題ではない。アイデンティティーの問題なのだ。会社は人を雇わない。それでも人は役割を見つけ働き続ける。私が私であるために。生きていることの証に。そしてもちろん食っていくために。これから人は会社を離れて自分の役割を探し続けるようになるだろう。
会社という組織に属することなく人は生きていく。それは孤独なことだろうか。私はそうは思わない。そもそも人はひとりでは生きていけない生物だ。会社を離れても人は人と繋がっていくほかない。ただし、それは会社から与えられた上司部下のようなつながりではない。
互いに相手を「必要な存在」と認めるもの同士の繋がり。それは「人と人」「役割と役割」「信頼と信頼」が生み出す有機的な繋がりだ。会社を離れて「強く・心地よく・軽やかに」生きていくために。決して忘れてはならない。役割とは稼ぐための手段ではなく誰かの役に立つための手段であるということを。
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