第63回 「信頼関係」があれば、リモートワーク中に寝ていてもOK

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第63回 「信頼関係」があれば、リモートワーク中に寝ていてもOK

安田

コロナ禍を通じて、世の中に「リモートワーク」という働き方が一気に増えましたよね。マメノキカンパニーさんにもこの制度はあるんですか?


中辻

はい、あります。コロナ禍はほとんどの社員がリモートワークをしていましたし、私は今もよくリモートワークしていますね。

安田

そうなんですね。でもリモートワークをよしとしない風潮もあるじゃないですか。


中辻

らしいですね。コロナも落ち着いたんだから、また全員週5出社に戻そうっていう企業さんも多いって聞きます。

安田

そうなんですよ。「リモートワークだと組織としてマネジメントしにくい」っていう経営者さんが少なくないみたいですね。社員1人ひとりがちゃんと仕事をしているかチェックできないからって。


中辻

確かに、その問題はよく耳にしますよね。うーん、でもいいところもいっぱいあると思いますけど。

安田

ええ。たとえば子育て中のご夫婦なんかは、お子さんのお迎え時間とか、家事の分担とかもスムーズに対応できそうですよね。


中辻

そうそう。そういう状況でうまく家庭を回していた方たちにとっては、急に「週5出社してくれ」って言われても困りますよね、絶対。

安田

そりゃそうだ(笑)。実際、「週5出社に変わるなら転職します」っていう人も少なくないみたいですよ。中辻さん自身も、リモートワークがないと困りそうですね。


中辻

そうですね。とはいえ直接顔を合わせて打ち合わせしたい時もあるので、うまく使い分けていければいいかなと思ってます。

安田

ちなみに「週2在宅・週3出社」っていうのが、人材が定着するかどうかの境目らしくて。要は、夫婦それぞれ週2回のリモートワーク日があれば、さっきみたいな家庭の回し方ができるみたいで。


中辻

ああ、確かにイメージつきます。というか、接客業や製造業のように物理的に家ではできない仕事以外は、もう基本リモートワークでいい気もするんですけどね。

安田

まぁそうですよね。今は会議だってZoomでいいわけで。


中辻

そうそう。作業自体も、パソコンさえあればどこでもできてしまうし。むしろ在宅でやった方が効率が上がるケースもあるわけで、無理に出社にこだわる必要もないのかなって思います。

安田

でも家で仕事するとサボっちゃいませんか? 企業が「出社しろ」と言っているのも、結局そのあたりが理由な気がしますけど。


中辻

サボる人は、自宅だろうと会社だろうと、どこにいてもサボるんじゃないですか?(笑)

安田

そうかもしれませんけど(笑)。でも会社でサボっていたら「お前、サボるな!」って注意できるじゃないですか。


中辻

笑。そもそも私は社員たちがサボるとは思ってないんです。元から私が社内にいない時間も多いわけで、そこを信用できない人は雇っていないので。

安田

確かに、信用できない人がいたら、監視カメラを付けたりしてチェックしないといけなくなっちゃいますもんね。


中辻

それは嫌だなぁ(笑)。というか、お話していて気付きましたが、私はそもそも「常にサボらず頑張ってほしい」とは思ってないんですよね。納期さえ守れているのであれば、正直なところ、途中でサボっていても、寝ていても別に気にしないというか。

安田

え、寝ていても大丈夫なんですか?(笑)


中辻

だってデスクワークって必ず眠たくなっちゃう瞬間がありませんか?(笑)

安田

ありますね〜。お昼ご飯を食べた後なんかは特に(笑)。


中辻

ですよね(笑)。そういう時に30分仮眠をとることを「サボっている時間」ととるのか、「その後の仕事の効率をアップさせるための休憩」ととるのかの違いじゃないですかね。

安田

ああ、なるほど。でもそれで4時間くらい起きない人とかいたら、どうします?


中辻

4時間はさすがにいないかな。…私以外(笑)。

安田

あはは、中辻さんは4時間寝ちゃうんですか(笑)。


中辻

そうなんです(笑)。例えば、前日に夜遅くまで家で仕事していた時、次の日朝から出社したけどどうしても眠いから、ちょっとだけ仮眠するわーってこともあって。で、事情を知っている社員の子たちが気を遣ってアラーム止めてくれちゃうんです(笑)。

安田

ははぁ、優しい部下ですね(笑)。


中辻

そうなんですけど、「なんで起こしてくれへんのー?!」っていうことは、たまにあります(笑)。

安田

笑。ちなみに最近は、リモートワークの社員の働きぶりを評価するようなシステムを導入する企業も増えているってご存知でした?


中辻

ええ、聞いたことあります。パソコンが起動しているのかとか、各ソフトの使用状況とかが、全部チェックできるみたいですね。

安田

そうそう。でもあれって結局、社員のことを信頼していないから「見張るため」に導入しているわけで。中辻さん的には「なし」ですよね、それは。


中辻

そうですねぇ。「サボり」の抑止力にはなるかもしれないですけど、それだけのためにシステム費用を払うのはもったいないかな(笑)。というか、リモートワークの賛否については、明確な答えは出せないと思っているんですよね。

安田

ほう、それはどうしてですか?


中辻

結局それは、経営者と社員の間の信頼関係によると思うからです。例えば「家庭の事情でリモートワークに切り替えたい」という要望が出てきたとき、その人の事情に寄り添いたいと思うか、それくらい大切に思っている社員なのか、というのが根本な気がして。

安田

確かに仰るとおりですね。実際マメノキカンパニーさんでは、社員の方々との間にそういう信頼関係が築き上げられているんだろうなと思います。でもそれって簡単じゃないですよ。どうやったらそんな関係が築けるものなんでしょうか?


中辻

「あなたのことをちゃんと考えているよ」「あなたが働きやすいような環境を作りたいと思っているんだよ」という姿勢や気持ちを見せてあげることじゃないですかね。

安田

ほう。それは言葉で伝えるんですか?


中辻

いや、敢えて言わないようにしています。なんか言葉にしちゃうと「こんなことやってあげているんだよ」って恩着せがましくなりそうで(笑)。

安田

確かにそれはあるかもしれない(笑)。でもそうやって、わざわざ口に出して言わなくても、中辻さんの想いがしっかりと伝わっているんでしょうね。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

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1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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