第94回 理想的な上司と部下の関係性とは?

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第94回 理想的な上司と部下の関係性とは?

安田

今回は、中辻さんが思う「上司と部下の理想的な関係」をお聞きしたくて。というのも、中辻さんって対談の中でいつも「部下の子」という言い方をされているじゃないですか。これは意識してそういう言葉を使われているんですか?


中辻

ああ、確かに言ってますね。「部下の子」とか、あと「下の子」とか。

安田

下の子?


中辻

そうそう。自分の妹のような感覚で(笑)。

安田

そうなんですね(笑)。あえて「部下」と呼んでいるところに、ケジメというか線引きのようなものをしているのかなと思っていたんですが、そういうわけでもないんですか?


中辻

うーん、そうだなぁ…。わざわざ「部下」と言っているのは、どちらかというと自分に対しての「戒め」かもしれません。

安田

ほう、戒めですか。


中辻

はい。私は今まで、会社でもお店でもなにかトラブルがあった場合、基本的には「一番上に立つ人間が全部悪い」というスタンスで生きてきたんです。だから「今は自分がみんなよりも立場が上。全責任は自分にかかってくるし、自分がしっかりせなあかんな」っていう意味を込めて、「部下」と言っているところはあるかもしれないですね。

安田

なるほどなぁ。「部下」と呼ぶことで、自分が責任者だということを明確にしていると。ちなみに「この仕事はあの社員にやってもらいたいな」と思った時って、どうしてますか? 自分の方が立場が上なんだから有無を言わさずやらせるのか、それとも無理にはやらせないのか。


中辻

それはもう絶対に後者ですね。いいか悪いかは別として、私としては本人がやりたくないことは無理強いしたくないので。

安田

そうなんですね。それはどんな意図で?


中辻

うーん、仕事に対して一番熱意を持って対応できるのって、その仕事が好きだったり興味があったりするからだと思うんです。好きだからこそ「成果を出したい」と思ってもらえるというか。

安田

なるほどなるほど。たとえ能力的にはやれるレベルにあったとしても、その仕事自体が嫌いなら、なかなか身が入らないでしょうしね。


中辻

そうなんですよ。結局仕事って、自ら進んでやってくれる人が適任だと思うんです。だから部下の子が「その仕事は嫌です」って言ったら、それを強要することはしないですね。

安田

…イヤとは言わせない雰囲気を漂わせてるってことはないです?(笑)


中辻

それはたぶんないと思います…(笑)。結構平気で「イヤです〜」って言われますから(笑)。

安田

そうですか(笑)。でも今の人って、ちょっとでも嫌だと思うとすぐ会社を辞めちゃうでしょう? だから上司も、腫れ物に触るようなマネジメントをしている。ただ、やっぱり甘やかすだけでは成果は出ないんですよね。


中辻

かといって「上司の命令は絶対!」なんていうのも通用しないですし(笑)。難しいところですよね。

安田

ええ、本当に。ちなみに中辻さんは部下に仕事を振る時に、その仕事に興味を持ってもらえるような努力や、やりたくなってもらうような努力をしているんですか?


中辻

そういう意味では、私の中で「この子だったらやってくれるはず」と思える子に相談していますね。「この仕事、アナタにやってもらいたいと思っているんだけど、どう?」って言えば、「任せてください」って言ってくれそうな子。

安田

ははぁ、なるほど。部下をよく見ているからこそ、それぞれの適性に合わせた仕事が振れるのかもしれないですね。


中辻

そうなんですかねぇ。というかね、ウチの部下ってみんな自発的にフォローし合ってくれる子ばかりなんですよ。仕事の内容で「やりたい・やりたくない」を判断するというより、周りを見ながら動いてくれているといいますか。

安田

へぇ〜、なんだか昭和のような社風ですね(笑)。昔って自分の仕事が終わっても、終わってない人がいれば一緒に終わらせてから帰る、っていうのが当たり前だったので。


中辻

そうだったんですね(笑)。そういう意味ではウチは「昭和的」なのかもしれません(笑)。

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

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1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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