第22回 自分の弟を役員にした理由

この対談について

「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。

第22回 自分の弟を役員にした理由

安田

西崎さんって弟さんも役員をやられているじゃないですか。なぜそういうことになったのかすごく興味があって。というのも、私には兄がいるんですが、兄弟でビジネスをやろうなんて一度も考えたことがないんですよ。


西崎

ああ、僕もある時期まではまったく考えてなくて。起業しようと決めた頃はもちろん、実際に起業してからも一緒にやろうとは思ってなかったです。

安田

へぇ、そうなんですね。別に仲が悪かったからとかではなくて?


西崎

いえ、むしろ仲はすごく良くて。お互い社会人になってからも、実家に帰った時とかは2人で飲んだりしてました。

安田

ん、ということは弟さんは福岡におられたんですか?


西崎

そうなんです。弟は世界で一番デカい外資系不動産会社に就職したんですが、その会社の日本支部の福岡支店勤務で。

安田

へぇ~、そうだったんですね。


西崎

それであるとき福岡で飲んでいたら、「兄貴、実は転職を考えてるんだ」と相談されましてね。

安田

ほう、外資系不動産会社なら、給与も充分もらえてそうですけどね。


西崎

実際もらってましたよ。当時彼はまだ30歳くらいですけど、年収1500万円はあったんじゃないかな。

安田

30歳で1500万! すごいじゃないですか。一体何が不満だったんですか(笑)。


西崎

そうですよね(笑)。まぁでも話を聞いてみると、要は「自分が望むようなキャリアステップがないんだ」と。不動産会社で、しかも外資なんで、常にプレイヤーとして扱われるらしくて。

安田

ああ、なるほど。給与もじゃあ、インセンティブでもらっていたわけだ。


西崎

そうなんです。そういう意味で弟はものすごく売れる営業マンだったわけですが、だからといって管理職には上がっていけないんですよ。というのも、管理職はヘッドハンティングで別のところから連れてくるんですって。

安田

ああ~。「キャリアステップがない」というのはそういう意味なんですね。どれだけ頑張ってもマネージャーとか役員にはなれないと。


西崎

そういうことです。それに仕事内容的にも何ていうか「情報を右から左に流すだけ」という感覚があったらしくて。それで「もっと子どもに誇れるような仕事がしたい」と思ったみたいです。

安田

なるほど。いいですね。


西崎

ですよね。僕もいいじゃんいいじゃん、って感じだったんですけど、じゃあどこに転職するの? って聞いたら、保険会社に入ると言うんです。なんかすごく大きな会社からスカウトが来てたらしく。

安田

うーん、それは売るものが違うだけで、あんまり変わらない気が


西崎

まさに僕もそう言いまして(笑)。それじゃ多分何も変わらないよと。そこで初めて、ウチに呼ぼうかなぁと思ったんです。

安田

なるほどなぁ。でも、そんなに優秀な弟さんなら、もっと早いタイミングで声をかけていてもおかしくない気がしますけど。


西崎

確かに能力はめちゃくちゃ高いんです。コミュニケーション能力も僕よりよっぽど高いですし、面白いし、細かいこともちゃんとできるし。ただ0→1のタイプではなくて、そういう意味で僕のフィルターにかかってなかったのかもしれませんね。

安田

なるほどなるほど。とはいえ、その転職のタイミングで「ウチに合ってるかも」となった。ちなみにそれはいつ頃の話なんですか?


西崎

2015年か2016年じゃないですかね。社員が10人くらいの時だったと思います。

安田

その時はどういうポジションで入ってこられたんですか?


西崎

ああ、最初は一兵卒ですよ。普通の社員として迎えました。

安田

あ、そうなんですか。いきなりNo.2だったわけじゃなく。


西崎

それは本人が嫌がったんですよね。「社長の弟っていう目で見られる」ことををすごく心配していて。「間違ってもいきなりマネージャーとか役員とかで入れてくれるな」と。

安田

へぇ、なるほど。本人の希望だったわけですね。ちなみに報酬はどれくらい?


西崎

一般の社員と同じなので、年収400万円くらいですかね。

安田

つまり1500万から400万になってまで来てくれたと。すごいな。ちなみに不動産業界からブランディングの世界に移ってきたわけですが、彼の営業スキルは通用したんですか?


西崎

いやもう完璧でしたね、最初から。極端に言ったら、5分やり方教えたらもうあとは全部自分でできちゃうような。

安田

へぇ~、すごい。じゃあ売上もどんどん上げて。


西崎

すごかったですよ。会社全体の売上が15000万くらいだった頃に、30004000万円は彼が作ったんじゃないかな。しかも新規でそれだけ上げてきたので。

安田

はぁ~優秀なんですねぇ。つまり、今のNo.2のポジションも、弟だからということじゃなく、そういう実績によって自ら勝ち取ったものだと。


西崎

仰る通りです。弟だからと甘くしたところはまったくないですね。

安田

ということは、給与もどんどん上がっていって、どこかのタイミングで前職の1500万を越えた感じですか。


西崎

そうですね。400万から600万、900万、1200万と上がっていって、4年目にはもう越えてましたね。

安田

なるほど、すごいなぁ。弟さんにもちょっとお話を聞きたくなってきました!

 

 


対談している二人

西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社
代表取締役 最高経営責任者

Twitter

1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数18万人とSNSでの発信も積極的に展開している。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

Twitter  Facebook

1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

感想・著者への質問はこちらから