第41回 トゥモローゲートが貫く「ささる×あがる=ひらく」の考え方

この対談について

「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。

第41回 トゥモローゲートが貫く「ささる×あがる=ひらく」の考え方

安田

この対談でも西崎さんはよく「オモシロイ会社」って言うじゃないですか。とにかくオモシロイ会社、オモシロイ生き方、そういうことにこだわってるんだろうなと。


西崎

そうですね。そこにはかなりこだわってますね(笑)。

安田

とはいえ面白さってけっこう定義が広いじゃないですか。ということで、西崎さんやトゥモローゲートの皆さんの定義をあらためて聞きたいなと思って。


西崎

そこについは弊社内ではっきり言語化してまして。まず「ささる×あがる=ひらく」という方程式があるんです。この「ひらく」というのが「オモシロイ」だと定義していて、我々はここに当てはまることしかやりません。

安田

ほう。もう少し説明してもらえますか?


西崎

まず「ささる」ですが、これはそのまま「心に刺さる」ということです。「今までにない」とか、「感動する」とか、「憧れられる」とか。それを8項目設定していて。

安田

8項目も!すごいですね。


西崎

そうなんです。その8項目のうち3つ以上当てはまらないと「ささる」ものとはみなしません。

安田

なるほどなるほど。2つでは「ささる」とは言えないから、トゥモローゲートさんはやらないわけですね。


西崎

そういうことです。次に「あがる」ですが、これは成果が出るということです。「ささる」がどちらかというと定性の話だったのに対し、こっちは定量の話ですね。

安田

つまり売上が上がるとか、利益が上がるとか。


西崎

もちろんそれもそうですし、Xだったらいいねの数が「あがる」とか、YouTubeなら再生数が「あがる」とか。これも全部で8項目、「クオリティがあがる」とか「パフォーマンスがあがる」などに分けてます。

安田

なるほど~。この「あがる」も8個中3個満たしていないとダメということですか?


西崎

仰るとおりです。つまり「ささる」で3つ以上、「あがる」でも3つ以上を満たしたもので、関わる人のキッカケの扉を「ひら」いてもらおう、ということなんです。扉というのは、トゥモローゲートという社名にもかかっているんですけれど。

安田

ははぁ、確かにそうですね。つまりトゥモローゲートさんはその「ひらく仕事を実行する会社」ということですね。


西崎

そうですそうです。もちろんまだまだ完璧ではないんですけどね。でも、そういう基準で仕事を実行し続けていく会社=オモシロイ会社だと考えています。

安田

いやぁ、さすがこだわっているだけあって明確な答えですねぇ(笑)。でも例えば、やれば必ず儲かるビジネスが見つかったら、仮に「ささる」がゼロでもやっちゃうんじゃないですか?


西崎

いや、やらないですね。そこがブレることはないです。

安田

なるほど、そこは覚悟を持って臨んでいると。ただ、「ささる」と「あがる」を両方満たすのってなかなか難しいじゃないですか。実際、一般的な経営者さんなら「ささらなくても、あがるならいいや」と考えると思うんですよ。


西崎

確かにそう考える人は多いかもしれませんね。

安田

逆にアーティストさんとかは、ささるけどあがらないことをやるから儲からない、みたいなイメージです。でも西崎さんやトゥモローゲートさんはそのどちらでもなくて、「ささる」かつ「あがる」ものを見極めてやっていくと。


西崎

仰るとおりです。でもそういう意味では、安田さんがやっていたワイキューブ社の活動も近しい部分があったように思いますけどね。

安田

ああ、でも確かに私自身、いまの西崎さんの話にすごく共感しますね。経営者として儲けることは重要なんだけど、かといって儲かるだけだとつまらない。


西崎

まさにそういう感じです。結局、どこか天邪鬼なんでしょうね(笑)。

安田

確かにそうかもしれませんね、お互いに(笑)。ちなみに西崎さんから見て、自社以外に「オモシロイ会社だなぁ」と感じる企業ってあったりするんですか?


西崎

特定の社名を挙げることは控えますけど、もちろんありますよ。ただなんというか、「オモシロイ会社であり続ける」ってやっぱり難しいんだろうなとも思います。

安田

ああ、なるほどね。一時期はすごく面白かったけど、それがずっと続いている企業は少ないと。


西崎

もちろんケースバイケースですけどね。でも単純に、例えば上場をしたりするといろいろと制約が出てきちゃうじゃないですか。株主の顔色を伺いながら、かつ自分たちの想いを貫き続けるって、やっぱり簡単なことじゃないでしょうし。

安田

そうですねぇ。上場もそうですし、会社規模の問題もありますよね。100人くらいまでなら尖った考えを貫けるかもしれないけど、これが1000人、10000人とかになってきたら難しい気がします。


西崎

そうでしょうね。だから僕らは上場にも興味ないですし、組織規模を極端に大きくしようとも思わないんです。

安田

「ささる×あがる=ひらく」を貫いていきたいから。


西崎

仰るとおりです(笑)。そこにこだわって「オモシロイ会社」であり続けたいと思っています。

 


対談している二人

西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社
代表取締役 最高経営責任者

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1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数19万人とSNSでの発信も積極的に展開している。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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