第63回 ブラックな社長が考える「人材採用の未来」とは?

この対談について

「オモシロイを追求するブランディング会社」トゥモローゲート株式会社代表の西崎康平と、株式会社ワイキューブの代表として一世を風靡し、現在は株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表および境目研究家として活動する安田佳生の連載対談。個性派の2人が「めちゃくちゃに見える戦略の裏側」を語ります。

第63回 ブラックな社長が考える「人材採用」の未来とは?

安田

今回はズバリ「人材採用の未来」についてお聞きしたくて。西崎さんも長く採用コンサル事業に関わられてきましたよね。


西崎

そうですね。以前はそれがメイン事業でしたし、現在もブランディングを通じて企業の人材採用を支援することは多々あります。

安田

そうですよね。つまりその道のプロなわけで、そういう西崎さんから見て、未来の人材採用ってどうなっていると思います? 現在はなんだかんだ求人プラットフォームを通じての募集がメインだと思うんですが。


西崎

そうですねぇ。あくまで個人的な感覚なんですが、最終的には求人広告とか人材紹介ってなくなるんじゃないかと思っていて。

安田

ほう! それはまたどうして?


西崎

一言で言えば、今後はさらに情報を得るのが簡単になると思うからです。誰かに教えてもらったり紹介してもらわなくても、自分でいい会社を見つけられるようになっていくというか。

安田

ああ、なるほど。確かにそういう流れになりそうですよね。


西崎

ええ。個人の情報リテラシーもどんどん上がっているし、今後はそこにAIのサポートも加わるわけで。今までのように何かを介してじゃなく、直接的に応募や採用が行われるようになるんじゃないかなと。

安田

なるほどなぁ。確かに今でもいい会社や人気のある会社なら、Indeedみたいな無料媒体に出しておくだけで優秀な人材が採れちゃったりもしますしね。逆にそういうことができない会社が、莫大な広告費や紹介料を払っている。


西崎

でも今って前提として人が足りてないわけで、お金をかけたからといって必ず採用できるわけでもないじゃないですか。そう考えると「まずいい会社になること」が重要な気がします。

安田

ああ、それ、私が採用の事業やっていた頃にすごく引っかかっていた部分なんですよ。


西崎

というと?

安田

つまりね、100点の会社と100点の人材、ここをマッチングしたらお互いにハッピーなんです。双方からすごく喜んでもらえる。でもここって、採用事業をやっている側からするとお金にならないわけですよ(笑)。


西崎

ああ、なるほど(笑)。100点の会社には黙っていてもいい人材が応募してくるから。

安田

そういうことです。50点の会社が100点の人材を入れようと思うからお金がかかる。大きな広告を出したり、上位表示のオプションを付けたりしてね。でもそれって、社会的に正しいことなんだろうか、なんて思ったりして。


西崎

そうですねぇ。まぁいずれにせよ、「求人情報をまとめて整理して見せる」ということの価値は徐々に薄くなっていくんだと思います。先ほども話したように、「お金をかけたら採用できる」という世界ではなくなっていくわけで。

安田

確かにリクルート創業者の江副さんが「リクルートブック」を作った頃は、どこの会社がどんな募集しているかなんて知りようがなかったですもんね。教授の推薦とかでしか就職できなかった状況だったから、求人情報をまとめるということ自体に大きな価値があった。


西崎

その頃から考えると既に時代は大きく変わっていますよね。実際トゥモローゲートでも、求人広告や人材紹介経由の採用は全体の1割くらいしかないですし。

安田

へえ! そんなに少ないんですね。たった1割しかないなら、もう求人広告なんて出さなくていい気もしますけど。


西崎

それで言うと、大手ナビなどへの掲載は「多くの学生さんにトゥモローゲートという企業を認知してもらう」ことがメインの目的なんです。そのためのメディアとしてはまだまだ有効だと思っているので。

安田

ははぁ、なるほど。さすが考えてらっしゃいますね(笑)。ちなみに求人広告や人材紹介が1割だとしたら、メインは何経由なんですか? やっぱりリファラルですか。


西崎

ウチの場合は、広告と紹介で1割、リファラルが4割、残りの5割がSNSって感じですね。

安田

なるほど、お金がかかるものほどあまり採れなくなっていると(笑)。そういう現実的な体感もあって、求人広告や人材紹介はやがてなくなるんじゃないかと感じるんでしょうね。


西崎

そうですね。でもそれは現在の求人プラットフォームが全部消えちゃうということではなくて、形態が変わっていくんじゃないかと思っていて。今は求人情報を掲載するサービスですけど、だんだんと「格付け」をするサービスになっていくんじゃないかなと。

安田

ほう。帝国データバンクの採用バージョンみたいなことですか。


西崎

まさにまさに。そこで「いい会社」だと認められた会社に人が集まるようになる。逆に言えば、企業側は広告費を払うことより、「どうやって格付けを上げていくか」を考えなければならなくなるわけです。

安田

なるほど面白い。西崎さんの思想にも似てますね。


西崎

そうですね(笑)。いい人を採用したいなら、何かにコストを払うんじゃなくて、いい人が「この会社で働きたい!」と思うような会社作りをしていく。そういう形になっていくべきだと思うんです。

安田

確かにその通りですね。お金とか小手先の裏技とかで採用成功させようという発想自体が間違っているのかもしれません。ある意味「正しい採用」が実現するのかもしれませんね。

 

 


対談している二人

西崎康平(にしざき こうへい)
トゥモローゲート株式会社
代表取締役 最高経営責任者

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1982年4月2日生まれ 福岡県出身。2005年 新卒で人材コンサルティング会社に入社し関西圏約500社の採用戦略を携わる。入社2年目25歳で大阪支社長、入社3年目26歳で執行役員に就任。その後2010年にトゥモローゲート株式会社を設立。企業理念を再設計しビジョンに向かう組織づくりをコンサルティングとデザインで提案する企業ブランディングにより、外見だけではなく中身からオモシロイ会社づくりを支援。2024年現在、X(Twitter)フォロワー数11万人・YouTubeチャンネル登録者数19万人とSNSでの発信も積極的に展開している。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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