この記事について
自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。
『ただ 灯りを掲げ 響きを高らかに(2010)』|なぜ、子供が緑の太陽を描いたら否定しない方がいいのか?
「子供の頃、太陽を緑色で塗っていたら、『緑の太陽はありません。赤でしょ』と先生にいわれてショックだった」
そう打ち明けられたことがあります。
衝撃でなぜ緑で描いたのかを忘れ‥‥、みんなと同じような色かたちで描くようになったそうです。そして、何十年も経った大人になって、画家に打ち明けるほど、重大な記憶になったのです。
緑の太陽。
いいじゃん。描こうよ!
画家で、【黒い太陽】を描いた香月泰男もいます。黒は、第二次世界大戦後に、捕虜になった言いようもない辛い体験から使われました。色は言葉で表現できないものを伝える手段になります。緑の太陽は何かを表現していたはずです。「ショックを受けた」という言葉からわかります。意味なく色を塗っていたらショックは受けません。「先生が言うならそうしよう」と変えるでしょう。感動や気持ちがこもっているから、自己表現として選んでいるから「自分が否定された。自分は間違っていると言われた」衝撃を受けるのです。
【太陽は赤い】のは日本文化での表現です。欧米では【太陽は黄色い】と色彩学のデータがあります。太陽をシンボルとして表現する色が、日本では赤であり欧米では黄色なのです。中国では太陽の慣用句として紅(ホンと読み、日本の赤と同じ)使用することもあるようなので、中国から赤の表現が伝わってきたのかもしれません。
心の衝動から色を選んでいるときに、こういった文化の視点で批判するのは見当ちがい。チグハグなのです。子供にそって「〇〇ちゃんのはすごいね」キャッチボールをするのです。心を受け取ってもらうとホッとします。
「緑の太陽は素敵だねと言ってあげたかったです」心の傷を打ち明けた人にいうと心が解き放たれたような笑顔になりました。子供だったらどれほど大きな影響があるでしょか。
もしも、身の回りに子供がいて、一見不思議な色で描いていたら、「それが描きたいのだね」とまず受け入れるのをお勧めします。
もしも、あなたが人とは違う色を選びたくなったら、「それが必要なのだね」同じように受け入れる。
人でも自分でも、自分を表す気持ちが湧き上がっているとき、大切に扱うのです。
オーダー絵画でも、もちろん、色は大切。
クライアントの気持ちに寄り添いながら、表現を考えます。例えば、赤色を、2010年ごろに描いた作品のように温かく穏やかにするのか、それとも、高校の頃に描いたリンゴのように現実のかたちにするのか?
赤色一つでも、グラデーションを柔らかく描くのと、静物画で描くのでは、全く違います。色と色との響き合いの効果、色の持つ機能など、あれこれと考えて実際に試行錯誤して、作品に落とし込んでいきます。
想像力を働かせながらどのように組み立てればいいのか?など考えていくのです。
<色一つにも、どんな意味があるのか>を特に大切にします。美術大学の在学中、教授に質問されては、「なぜ自分はこれを使っているのだろうか?」と自問自答したものです。プロならば、言葉にできるようになりなさい!と言われたことが、今、仕事に活かされています。
オーダー絵画、自分だけの絵を手にするのは、自分を認めて心を解き放つ場を創るのと一緒。「他ではこうだったから」は、ない。大切な誰かと見た夕陽や、自分が褒められて幸せだった子供の頃の記憶。こう在りたい、という願い。
文化や決まり事よりも、感動や愛や喜びが優先です。そうすれば、絵を見ると幸せな気持ちになります。
でも、なぜかなかなか難しい。「太陽は赤い」などの常識の下に、本当に純粋なものが隠れていることが多いのです。大切なものほど「子供のときは緑の太陽がいいと思っていたけど、批判されたから忘れてしまおう」と無意識に押し込まれていたりします。表面上は忘れていることが多いのです。それでも、いくつになっても、本当は忘れていないのです。
「ここだったら大丈夫!」と思うと浮かび上がってきます。
そうやって浮かび上がってきたものは、本当に独創的です。何千何万という絵を見て、いろんな可能性をイメージしながら聞いているのですが、ときに「私こそ常識に囚われていた」ドキッとします。もしも経営や科学の分野も学ばず、絵の業界だけに接していたら、【私も赤い太陽を描きなさいと言う人】だったかもと思うときもあります。
そうした思いから、今年は、学術の一分野にさらに足を踏み入れることになるのですが、それはまた別の機会に書きたいと思います。
今回は、心の深いところを表現する描き下ろしの作品より
今回完成した作品 ≫「ただ 灯りを掲げ 響きを高らかに(2010)』
著者の自己紹介
ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。
今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。
人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。
人生
の節目には様々なテーマが訪れます。
経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。
こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。
でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。