vol.88【『ある秋の日に』|オーダー画家だから伝える人生を豊かにする絵の鑑賞法】

 この記事について 

自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。

『ある秋の日に』|オーダー画家だから伝える人生を豊かにする絵の鑑賞法

 

これを読んでいる人なら、絵が好きかもしれませんね。だとしたら、子ども時代も、美術が好きだったか、得意だったかと思います。

あ‥‥、「美術が好き」だけど、「美術の成績が悪くって。<美術の授業>は嫌いだった」という場合は、気にしないでください。
私が月に一回主催するイベントでも、そういう人が訪れるのですが、ちょっとしたきっかけで、成績が悪くなり、授業が嫌いになってしまうことがあります。例えば、絵の鑑賞もその原因になってしまうことがあります。

そこで、先日イベントで「人生を豊かにする絵の鑑賞法」を伝えたら、

「そうだったのか!頭が整理されました。
子供や友人に伝えたい」

好評だったので、そこで紹介した3つの絵の鑑賞法を書きます。

一つ目は、一般的な鑑賞法。
二つ目は、ここ10年ほど注目されている鑑賞法。
最後が、オーダー画家だから伝える絵の鑑賞法です。

 

一つ目の一般的な鑑賞法は、学校で習ってきた絵との接し方です。今は、【探究型鑑賞】と呼ばれることが多いようです。

授業で教科書を開いて、「レオナルド・ダ・ヴィンチは、いつの時代の人?『ひまわり』で有名なゴッホは、いつの時代?」など有名な絵をみたり調べたりします。
この鑑賞法の特徴は、
作品の描かれた時代背景や、作家の人柄、人生、技法などあらゆる角度から作品を探究します。また、その作品だけでなく、作家の交友関係、世界史、宗教史、時代背景や世界情勢まで、いろんな知識が必要になります。
‥‥なので、「ダ・ビンチは嫌いなのだけどな」「ゴッホは苦手」と思っている人は、調べるのが苦痛になってしまいます。そして、鑑賞自体が「どうも面倒だな」頭に刷り込まれてしまい、美術が嫌いになる時もあるのです。

でも、これからあと二つの絵の鑑賞方法を伝えるように、これは絵の見方や楽しみ方の一つです。

本来、美術や絵の鑑賞に正解はありません。
だから、ただぼーっと眺めるだけでも良いのです。

一方、この探究型鑑賞法が好きな人は、美術館で展覧会を見ている間にわからないことは、その場で携帯電話を使ってググって調べてみるのもオススメ。音を出すなど、マナー違反しなければ大丈夫です。それでも足りない時は、カタログなどを買ってさらにググって調べれば、心ゆくまで満足できます。

 

二つ目が、対話型鑑賞法です。これは、近年いろんな形が出ています。
代表的なのが、ビジュアル・シンキング・ストラテジーズ(Visual Thinking Strategies)。
これは、基本的に3つの質問から作品をじっくり見ます。

Q1:絵の中で何が起こっていますか?
Q2:どこからそう思いましたか?
Q3:新しい発見はありますか?

作家の名前は?いつの時代?など聞かれないので、誰でも答えられます。むしろ、絵を手がかりに自由な発想を広げるのがこの鑑賞法の特徴です。想像力や創造性を育むと注目されています。だから、欧米では経営者や幹部の研修にも使われています。

研修しないし、一人で美術館に行くのだけどな、という人でも、これを応用できます。美術館での対話型鑑賞のポイントは、キャプションや音声ガイドを見ないこと。自分なりに好きなものを好きなだけ見て自由に想像するのです。端から端まで同じように絵を見ても、ほとんど覚えていないのが普通です。時がたてば、ほとんど忘れてしまいます。それよりも、自分が心から興味をもった作品を味わうように眺め尽くす方が、おすすめです。例え頭で忘れても、そのようにして見たものは身体感覚の一部として刻み込まれます。

こうすると、美術史からの視点が欠けるので、時代背景から作品を位置付けられないという欠点はあります。でも、興味を持った作品だけ、ググったりして調べれば良いのです。
実は、探求型鑑賞法と対話型鑑賞法は相補関係にあります。
気分や状況によって、自由に使い分ければいいのです。

 

さて、最後にお伝えするのが、オーダー画家だから伝える絵の鑑賞法です。
鑑賞や飾りとしてみるのではない、
自分を知る
自分に気づく
つまり、自分を一生アップデートするための絵の見方や楽しみ方です。

ちょっとコツを掴めば、誰でもできます。
それは、絵と自分を結びつける見方です。
この見方は、オーダー絵画のクライアントやイベントを続ける中で、見つけました。のべ何百人もの人たちから第3の絵の見方を教わったと言えるかもしれません。

【自分がどう感じ、考えた】かに、焦点を当てるのです。
その時、感じたことだけを掘り下げればいい
何でもいいのです。たった一つでもいいのです。
例えば、
あるクライアントが、自分のテーマの再発見をしたのは、たった一つの発見でした。

抽象的な絵からトンネルの形を見つけたのです。それが、「電車に乗って知らないところに行くのが好きだった」少年時代のワクワクを思い起こさせました。そして、【探索、探究を忘れない】気持ちを絵にしてほしい、と気がついたのです。

過去、現在、未来の自分と絵を結びつけ、掘り下げるのです。
時には、言葉にならない感じが無意識の自分へのヒントになります。嫌いという感情さえ、目標や理想、ビジョンに役立つ思考パターン、価値基準、人生観を知る手がかりになります。
【絵=自分】も見つける。これが、人生を豊かにする絵の見方楽しみ方です。

今回は、私自身、
自分に向き合って描いていたハガキ大の小さな作品を取り上げました。

 

今回完成した作品 ≫『ある秋の日に』

 

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 著者の自己紹介 

ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。

今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。

人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。

人生

の節目には様々なテーマが訪れます。

経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。

こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。

でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。

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