vol.89【『ソウル・ローズ』|イメージの力を高めるために大切な言葉のチカラ 】

 この記事について 

自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。

『ソウル・ローズ』|イメージの力を高めるために大切な言葉のチカラ

 

私はイメージの力を、使う時。<言葉のチカラ>も使います。

イメージを引き出すのに言葉?
画家なのに言葉?

矛盾しています。
でも、イメージには言葉が必要なのです。体感に結びついた、生きた言葉です。頭の中の映像を伝えるような感じ。

たとえば、
「真っ青で雲一つない空に真っ白な富士山がぽっかり浮かんでいて、山頂をヘリコプターでブンブンと旋回している。光に反射したキラキラした雪が半透明に輝いている。その時、風が巻き起こって、小麦粉のような細かな粉雪が一つかみ、さーっとヘリコプターに飛んできた。あっと思ったら、窓に点々と水滴がついて、きらめいている。きれいだ‥‥」

こんなふうにイメージします。

イメージ力は、今、

クリエイティブな力を引き出す
商談やパフォーマンスでの成功につながる
人間関係の改善ができる

など‥‥、注目されています。

こんなふうになりたい!というときは、体感に結びつけるのがコツ。ポジティブな体感を生き生き思い浮かべるのです。
特に大事なのは、個人的なこと。力があるイメージは、自分と結びついたものです。

オーダー靴サロンを運営するOさんの絵をイメージした時も、そうでした。
「サロンに、大人の素敵な女性にたくさん来て欲しい。でも、どんな絵なら大人の女性にふさわしいのかわからないのです」

サロンを開くまで、ベンチャー企業で何年も修行してきたOさんです。どんなものが人に受け入れられるのかを調べて判断する仕事もしていました。サロンを開いてからも、順調に業績を伸ばしてきました。わからないはずありません。

もちろん、話しながら私のイメージもフル回転。無数の映像が浮かんでは消えていました。でも、私が「これ!」と決めませんでした。
「女性の顔があったらいいのかな。ドレスとかがいいのかな」迷いながらも考えるOさんから気持ちが伝わってきたからです。

想いを一つひとつ聴いて行くうちに、世の中にあふれるイメージの中で迷っているのがわかりました。どれも大人の女性のイメージにつながります。でも、ワクワクしているようには見えません。

ときめかないなら、絵にしない。これが私の信条です。こんなふうになりたい!生き生きポジティブなイメージが必要なのです。

話をゆっくりと聴いた後、質問を投げかけました。

「<Oさんにとって>はなんですか?」
「個人的でいいのですか?」
「いいのです」
と促すと
「子供の頃、母が真っ赤な口紅を鏡の前でつけているのを見て憧れました」
生き生きとした体験が、言葉になりました。

鏡をのぞいて口紅を塗る母。美しく彩られる口元。後ろからドキドキと眺める気落ち。
生き生きと伝わってきました。

「赤色が絵の主役にふさわしいと思いますよ。赤い服を着た女性が主役でも、口紅を絵にしてもオシャレですね」笑顔で答えると、扉が開いたようにイメージが溢れてきました。
「バラを主役にしたいです。緑の葉っぱもあると素敵‥‥。深い青色もあるといいな」

今まで迷っていたのが嘘のように、オーダー絵画のテーマが決まった瞬間でした。

Oさんの大人の女性のイメージは、子供時代にありました。でも、言葉にするまで、絵のテーマとしてまったく浮かんでいませんでした。

洪水のようにさまざまなイメージがあふれる時代、外に注意がむきがちです。大人の女性の美しいイメージも選び放題です。でも、ほんとうに自分に力を与えてくれるイメージは、外にはありません。内にあります。体感の言葉と結びついています。

内にあるといっても、たくさんある。
一体どれなのだろう?というときは、もっと探ってみる。

本当に自分に力を与えるものは、思い浮かべて言葉にしたとたん、他の全部を押しのけるくらいパワフルです。これこそ、生きたイメージです。

北京五輪フィギュアスケート男子で4位入賞した羽生結弦は9歳の自分が拠り所になったといいます。「技術的には今が間違いなく一番強いです。ただ、精神的にはあの頃が一番強くて輝いている」多くの指導者やアスリートたちの言葉や理論。全てを踏まえて、そして、最後の最後に、体感をチカラに自分らしい決断をしました。

自分と結びついたイメージは、人生の拠り所になるくらい、強い。
時間をかけて探す価値があります。

そして、探し出したイメージを、活かすのも絵に表現するのにも、言葉のチカラが大切になってきます。
これはまた、別の機会に書きたいと思います。

 

今回完成した作品 ≫『ソウル・ローズ』

 

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 著者の自己紹介 

ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。

今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。

人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。

人生

の節目には様々なテーマが訪れます。

経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。

こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。

でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。

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