vol.113【融合:構想2→3|絵やイメージを通じて価値観を明確にできるポイントとは】

 この記事について 

自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。

『融合:構想2→3|絵やイメージを通じて価値観を明確にできるポイントとは』

 

自分の価値観をはっきり掴むと、生きるのも会社の経営もラクになる。

「何に価値を見出すか」は、日常の人間関係からビジネス、経営戦略の意思決定まで、方向性を決めるのに関係しているからです。価値観は、美しい・正しい・心地よい・理想的である・優先するべきだ、といった「価値判断の基準や捉え方」です。どんな絵を美しいと思うか、どんな人といると心地よいのかという個人的なことから、経営者であればどんな社風を創るか、どのような戦略を立てるかなどの企業の在り方まで及びます。

自分の価値観を自覚して、それに沿って決断して行動していくと、目の前の風景が変わっていきます。

私は画家として特殊なオーダー絵画を依頼される中で、

「親から弁護士を目指すようにレールを引かれて司法試験をうけたけれど、どうしても馴染めなくて、憧れのコーチのサポートから初めてコーチになる」と決断した人や、

「会社を引き継いだら取引先で水をかけられるといった理不尽な扱いを受けて、自分の代では、対等の関係性を築けるように会社の全てを見直そう、それでも理不尽が続くなら切り捨てて、新しい取引先を開拓した。年月をへて取引先から顧問のように頼られる関係性を築いた」社長の話も聞きました。

オーダー絵画を始めた頃から、価値観をよりはっきりさせたい人から依頼を受けることが何度もありました。しかも、「門間さんの絵に惹かれて来た」「絵がなんだか気になって紹介してもらった」という人たちで、美術に詳しくない人の依頼もあったので、本当に不思議でした。

確かに、私はずっと【存在、エネルギー】をテーマに描いているので、自分のための絵を私に描いてもらう中で、自分の在り方や価値観がはっきりしてきます。

そのことから、私は、「絵を見る人に専門知識がなくても直観で伝わる」ことを改めて気づきました。

そもそも、色やかたちや構図を使って写実絵画や浮世絵のようにいろいろな表現が生まれるのは、土台になる価値観が違うからです。西洋で発達した写実絵画は神、人、自然の順番のある価値観を表し、浮世絵は自然と神を一体に見て、人と動物も分け隔てない日本人の価値観を表しています。

印象派は、浮世絵の土台となる日本人の価値観を切り離して表現方法を西洋絵画に取り入れ、当時の最先端である【学術知識の細分化】の流れに対応する【色かたち構図の細分化】の表現として西洋的価値観で再定義しています。

このように、「価値観」は、個人だけでなく、国・地域・組織などの共同体で育まれた文化などにも、密接に関連しています。

価値観はそれぞれ、千差万別なのです。「あらゆる物事について価値観が完璧に一致する他者」の存在などは、いないと考える方が自然なのです。だから、私たち一人一人は、ユニークで独自の存在です。

ビジョン、ミッションが固まり、会社のリ・ブランディングに取り組んでいるタイミングでオーダー絵画を依頼したOさん。彼も、自分の価値観をより明確にして次元を上げるために、画家の視点から自分や会社を再発見しようとしていました。

オーダー絵画のための、最初のセッションで、「一人ひとりが主人公として自分を発揮している世界を、事業を通じて実現したい。その想いと虹が重なっている」のに気づいたので、私はセッションの後にアトリエでその想いを虹の構想画に表現しました。

最初のセッションは、マインドマップを使いながら言葉だけでやりとりしますが、2回目以降は、構想画をセッションの場に持っていき、絵と言葉を使ってやりとりします。Oさんが自由に話す言葉を、私が【絵と言葉で整理】していくことで、価値観と欲しい絵のイメージが同時にはっきりとしていくのです。

虹の絵の構想画を何枚も眺めながらセッションを重ねるうちに、Oさんに虹の下に人がいるイメージが浮かんできました。会社で大切にしている「明日を拓く人」のイメージです。会社で大切にしている価値観である多様性の原点として家族像を描くことに決まりました。

その後、私はアトリエで、さまざまな習作をへて新しい構想画を描きました。

そして、習作や構想画を見せると、Oさんに違和感があるのがわかりました。

絵にする前は、「このイメージがいい」と感じていたものが、実際に絵になると「何かが違う」と感じる。確かにイメージに合っていていいけれど、でも、ちょっと違う気がする。

ちょっとだけだし、もともと「いい」といっていたのだから、これで完成!

とすることもできます。クライアントのいった通り、注文通りに描くオーダー絵画であれば、完成、で良いのかもしれません。

でも、Oさんは、「会社の社長として、深い部分にある自分が乗り越えるべき課題やテーマや囚われているものなどが見えたりすると嬉しい」という動機で依頼しています。

心の深い部分にあるものは、わずかな違和感の中に隠れていることがよくあります。そして、絵は、言葉では気が付かないような微細な違和感を捉えることができます。この違和感を捉えて言葉や絵に表現するのが、私のビジョンクリエイターとしての役割です。深い部分に眠った価値観やイメージを言葉と絵に表せるようにセッションするのが、普通の画家とは違うとよく言われます。

Oさんの中に、個人で立つイメージが新たに浮かんできました。
違和感から、多様性に対する明確な価値観が浮かび上がってきたのです。

この続きはまた別の機会に紹介します。

今回完成した作品 ≫『融合:構想2→3』|人間関係への価値観からあるべき姿を知る

 

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 著者の自己紹介 

ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。

今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。

人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。

人生

の節目には様々なテーマが訪れます。

経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。

こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。

でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。

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