この記事について
自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。
『「融合:構想4→5」マニュアルでは知り得ない人間関係づくりに役立つ《自分の神話》づくり|会社のリブランディングのために依頼したOさんの場合』
人が鳥に見えてくる、とは、きっとOさんも予想していなかったでしょう。
また、それは<Oさんだけの神話>が生まれた瞬間でした。
Oさんのオーダー絵画を創る上で、最初から重要なキーワードは【人】でした。活躍する社員さんをセッションで聞きましたし、社員さんたちの載っているHPも見ました。
会社のリブランディングのためのオーダー絵画であり、社長であるOさん自身、社員やその家族の話がたくさんあったのです。
だから、私は人が入った作品が完成すると考えていました。
Oさんも人が入るイメージを考えていました。
しかし。
セッションを繰り返していくと、予想とは全く違うところに‥‥!
「門間さん、今回描いてもらった構想画を見ていたら、
人が、鳥のように見えてきました」
Oさんのこの一言で、人が鳥に変わりました。
鳥‥‥???
正直、私は驚きました。
でも、クライアントが見えてきたものを、そのまま作品に取り込む。
私が一番大事にしていることです。
特殊なオーダー絵画の【対話できる絵画】は、
やっぱり、予想がつかない。
マニュアルがない。
改めて私自身感じた瞬間でした。
「すぐできる」「誰でもできる」「科学的に検証された手法」などマニュアルに、本やインターネット等を開く。それは、私も含めて誰でもあると思います。
科学と結びついたテクノロジーの発展で
誰でも同じにできるように
科学的に
数字で測って
マニュアル化、システム化でいろんなことができるようになりました。
とても便利です。
一方で、一人ひとりが違う以上、真の部分は数では測れない。
例えば、あなたを
良い社員
良い社長
良い夫
良い友達
良い社会人
などだけで測っていたら、苦しくなってしまいます。
与えられた環境。
個性。
国や時代などなど‥‥。
vol.123で今注目されている多様性(ダイバーシティ)について触れたように、それぞれが違うのですから。
マニュアル通りでピッタリ合う人、
マニュアルとは真逆の方がピッタリ来る人、
その間の人‥‥、
がいるのです。
特殊なオーダー絵画【対話できる絵画】を創る中でも、様々な試行錯誤をしながら、一人ひとりの多様性に合わせた対応をするようになりました。
例えば、たくさんの構想画を描いて見せた方が欲しいイメージが浮かぶクライアントがいるし、一枚からじっくりイメージを浮かべたい人もいるので、それに合わせるのです。
私たち、人と人との関係性は、違いを丁寧に感じて行動することから生まれる、と感じます。
心理学者の河合隼雄は、マニュアル化、システム化を親密な人間関係には適応できない部分があることを述べています。
『神話と日本人の心』の中で、河合隼雄のところに問題があって相談に来る親子が「自分たちは子供のためにできる限りのことをした、と言うことが多い。それに対して子供は、自分の親は「何もしてくれなかった」と言う。この著しいギャップはどこから来るのか。親が、子供のために何を買ったのか、どこに行ったのかなどと、それに費やした費用や労力など、つまり、数量化可能なことを考えて発言している時、子供は自分と親との間でのみ生じるはずの人間としての関係、-それは数量化できないーについて述べているのだ」
良い子育て
良い子
良い親
などのマニュアルは、いろんな人が一緒に生きていくのに必要ではあります。
でも、生まれてから死ぬまでの一瞬一瞬は、みな違う。
一般的な「良い」からこぼれ落ちてしまう部分があるのです。
自分の子供は、数量化できない特別なものとして接する。
それが、相手を唯一無二のものとして考えるのが、親子関係の核心だ、と述べているのです。
数で測れない唯一のものとして考えることを、河合隼雄は『神話』と述べています。
神話とは、なんだろう?
精選版 日本国語大辞典によると、「原始人・古代人・未開社会人などによって、口伝や筆記体で伝えられた、多少とも神聖さを帯びた物語で、宇宙の起源、超自然の存在の系譜、民族の太古の歴史物語を含むもの。その起源は、自然現象を擬人的に解釈しようとしたことや、人類に共通な無意識・下意識の欲求を投影したことにある」
意識していなかった部分にある神聖さを帯びたストーリー。それが、神話‥‥。
Oさんが最初に人の話しかしていないのに、鳥のイメージが湧いてきた。
それは、意識していなかった聖なるストーリーが見えてきた兆しでした。
鳥は、その後、ワシになり、そして、最後に鳳凰という神聖なものになっていきました。
その過程で、手前の人も龍に変わっていってしまうのですが、
それはまた別の物語です。
神話が生まれてくる前のオーダー絵画のプロセスは、
vol.113では、何かモヤモヤするなどの違和感が出発点であること、
vol.123では、今注目されている(多様性ダイバーシティ)について触れ、わかりにくい、しかし大切な多様性から、考え方や価値観といった個人の内面的な特徴の「深層的多様性(深層的ダイバーシティ)」をお話ししましたので、興味のある方は合わせてお読みください。
著者の自己紹介
ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。
今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。
人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。
人生
の節目には様々なテーマが訪れます。
経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。
こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。
でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。