vol.142【龍】|本当にほしい龍と自分の中にある答えを見つけていったTさんの場合

 この記事について 

自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。

『【龍】|本当にほしい龍と自分の中にある答えを見つけていったTさんの場合』

 

「本当の自由は東洋にある」と、鈴木大拙(すずきだいせつ)が言いました。大拙は、禅を「ZEN」として世界に広めた人。奥様はアメリカ人で学者。国際結婚をして日々英語の会話もあったことでしょう。

大拙は、「自由」はlibertyやfreedomとは違うのだ、と繰り返し述べています。

libertyやfreedomは、他者からの解放や離脱。

でも、「自由」は、

自分の心の底から独りでにわき出るもの。
「自ら」つまり、自分が主役という意味で使われてきたというのです。

【心の底から湧き上がるもので、主役は自分自身】、という言葉に、絵のオーダーで起こることが浮かびました。
私が描くオーダー絵画では、クライアントが「なんだかイメージが湧いてきた」ということが多いのです。そして、その瞬間が、私は大好きです。東洋では、松は松のように、竹は竹のようにあればいいという言葉がありますが、まさに、「私はこういう主役になる!」という感じです。

そうして見つかった特別なイメージは、毎日まいにち、何年も眺め続けても飽きません。自分の心から湧き上がったものは、呼び水となって、その時そのとき生きるヒントを、与えてくれます。

生きていると、さまざまな問題にぶち当たります。その時、外からもらう答えで解決する時、解決しない時があります。日本から初めて外国に行くのに生き方がわからないような問題は、教えてもらえば解決できます。でも、家族が余命わずかになった時にどうやって最後の時を過ごすのかに、誰もが納得する答えはありません。ただ一つの正解もありません。誰かと比較して決めることでもありません。自分の内から湧き上がるものに耳を澄ませて答えを得るのです。

例えば、Tさんは、最初、「龍がほしいです。私を導いてくれる子を、門間さんと見つけ出したいです」と言いました。やさしい声で歌をうたう歌手で、笑顔も優しく、立ち振る舞いも人に癒しを与えます。

「今浮かぶのは、ほんわか優しい龍ですね」ほんわか優しいTさんは、ぴったりに思えました。
「嬉しいです!実は、柔らかいピンクからオレンジがいいです」色についても、ぴったりに思えました。

でも、完成した龍は、とっても力強くて、凛々しくなりました。
そして‥‥、完成してみたら、
とっても強くて凛々しい龍が、ぴったりに思えました。

ほんわか優しい龍と、強くて凛々しい龍の間にあったのは、セッションです。いろんな話をしました。話すのは、主にTさんです。
仕事のことから個人的なこと。子供時代から未来の夢まで‥‥。
密やかな打ち明け話も。

私は聴き役です。子供と接するのが好きとか、尊敬するお祖母さんがいたとか、お聴きしていると、この人の優しさの背後にある人生の流れが見えてきます。優しさを湛えたピック色やオレンジをどういうふうに描いたらいいかな‥‥というのが、話を聴きながら画像や映像に浮かんできます。

そうしている中で、「お祖母さんが、かっこよくて凛々しい人で、憧れだった」と話の中でしみじみ言いました。優しさから話が広がってきました。

人は、いろんな面を持っていますし、自覚していない自分も持っています。話が広がる時には、話題もあちこちに飛んでいきます。Tさんは、第一印象では外に現れていなかった「かっこよさ」「凛々しさ」「強さ」など、今までの行動や考えにあったのがキラキラと垣間見えました。

鈴木大拙が言うように、人には東洋の「自由」のように、底から湧き上がるものがあると感じます。論理的な話や、辻褄合わせのような、小さくまとまった対話では、これが出てこない。

でも、絵の話から入れば、話題は無限です。何を話してもいい。論理が破綻してもいい。変わってもいい。

松は松のように、竹は竹のようにあればいいという言葉がありますが、まさに、「私はこういう主役!」という龍を見出すのが、Tさんのオーダー絵画のプロセスでした。

「ほんわかした龍」から始まって、「強さがある龍」が見つかっていくとともに、Tさん自身も、新しいことに次々と挑戦する日々に変わっていきました。
「今振り返ると、コロナ禍の頃から、新たな兆しがあったと思います。その兆しを、よし、やろう!と覚悟を持って受け止められるようになりました」

 

今回完成した作品 ≫『龍』

 

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 著者の自己紹介 

ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。

今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。

人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。

人生

の節目には様々なテーマが訪れます。

経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。

こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。

でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。

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