vol.150 【『無限億の泉』| 渦巻や螺旋の絵には、人としての根源的な感覚にアプローチをする力が宿っている】

 この記事について 

自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。

『無限億の泉』| 渦巻や螺旋の絵には、人としての根源的な感覚にアプローチをする力が宿っている

 

「渦巻模様は、太古から続く美の原点なのでは」と思うようになったのは、自分自身が作品で渦巻を描くようになってからです。

自分で自分に向かい合い、イメージを思い浮かべ、その感触を描くことを繰り返して15年以上経って、自然に生まれてきた作品群に、渦巻きや螺旋があります。これは、今でも継続しているテーマです。

自分の内面から湧き上がるイメージに螺旋や渦巻があることがわかって、一体なぜ心象として感じるのだろうか、という興味が湧いてきました。

さらに、過去の画家たちが取り組んだ渦巻の構図にも、興味が掻き立てられました。例えば、葛飾北斎も渦巻の構図で圧巻の作品を描いています。86歳の葛飾北斎が長野県小布施で描いた、祭り屋台の天井絵「濤図」。激しく襲いかかる波頭とぐるぐる渦巻く波に心奪われます。

しかも渦巻は、はるか昔から取り上げられるテーマでした。北斎から遡ること1万5000年前。縄文人が土器に施した装飾には、ぐるぐるの渦巻き模様がたくさんあります。

さらに、渦巻は、日本から遠く離れたヨーロッパでも、古来から文様として扱われていました。「Gyre」(渦巻き、螺旋)、螺旋模様は、数千年にわたるケルト人の歴史の中でも、死滅と再生の循環、永遠の変容のシンボルとして描かれ続けているのです。

ケルト人とは、西ヨーロッパの歴史世界を構成する民族の一つです。ギリシア語でケルトイKeltoi,ラテン語ではケルタエCeltaeまたはガリGalliと呼ばれました。広域にわたる分布のため,人種的特性は一定しないと言われています(出典 小学館デジタル大辞泉 )。

紀元前500~200年にかけてケルト人たちは鉄製武器と馬車(戦車)を用いてヨーロッパ全土に広がっていき、隆盛を誇りました。しかし、紀元前1世紀ごろになるとゲルマン人が台頭し、次第にケルト人は西へと押しやられ、ローマ帝国の拡大などによって、すっかりヨーロッパの中心から追いやられてしまいましたが、今でもヨーロッパの文化全体に影響が残っており、近年では古代ケルトの再評価が高まっています。

日本、ヨーロッパの古代から渦巻が美術表現として取り上げられている‥‥。人の心の根源に渦巻のイメージがあるのではないか‥‥、と思うようになりました。

そして、オーダー絵画に取り組むようになってから、心象風景として渦巻を思い浮かべる人は、たくさんいるのだと、改めて気が付きました。

セッションをして、クライアントの話に耳を傾けていく中で、
さまざまな言葉と共にさまざまなバリエーションの渦巻き、螺旋のテーマが表れてくるのです。
セッションを通じて、
渦巻き、螺旋に対する解釈は、人の数だけあるのだなと感じるようになりました。

「何かが湧き上がる感じ」
「脱皮するイメージ」
「新しい次元にワープする」
「共にどこかに向かう」
「還っていくほっとする気持ちになる」

解釈はさまざまなのですが、どれも、
何かのかたちで人としての根源的な感覚にアプローチをしています。

今回完成した作品は、円の中に渦を巻く絵、オーダー絵画を描く前に取り組んでいた、
心の泉を描いた《無限億の泉》のシリーズから取り上げました。

 

今回完成した作品 ≫《無限億の泉》のシリーズ『取り出した 輝き 増す強さに』

 

 

著者他の記事見る


 著者の自己紹介 

ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。

今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。

人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。

人生

の節目には様々なテーマが訪れます。

経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。

こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。

でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。

>>著者へのお問合せはこちら

感想・著者への質問はこちらから