vol.157 【表裏を見る|隠れた日本世界ナンバーワンの指標とジャポニズムが教えてくれること】

 この記事について 

自分の絵を描いてもらう。そう聞くと肖像画しか思い浮かびませんよね。門間由佳は肖像画ではない“私の絵”を描いてくれる人。人はひとりひとり違います。違った長所があり、違った短所があり、違うテーマをもって生きています。でも人は自分のことがよく分かりません。だからせっかくの長所を活かせない。同じ失敗ばかり繰り返してしまう。いつの間にか目的からズレていってしまう。そんな時、私が立ち返る場所。私が私に向き合える時間。それが門間由佳の描く“私の絵”なのです。一体どうやってストーリーを掘り起こすのか。どのようにして絵を紡いでいくのか。そのプロセスをこのコンテンツで紹介していきます。

表裏を見る|隠れた日本世界ナンバーワンの指標とジャポニズムが教えてくれること

 

沈む日本、沈む円、など言われることが多いですが、2000年以降、日本が世界1位であり続けている経済指標があります。

「経済複雑性指標」(ECI)。

マサチューセッツ工科大学、セザー・ヒダルゴ准教授(当時)が提唱した「技術の擦り合わせによって複雑なモノを生み出す能力」の高さを示すもの。
ECIは1998年以降のデータが開示されており、98年は、スウェーデン、ドイツ、スイスに次いで日本は4位、99年は3位。そして2000年以降、日本は1位をキープし続けています。

過去に複雑な高度な技術で、世界を席巻した美術の例としては、「ジャポニスム」があります。
ジャポニズムとは、西欧美術における日本美術の影響。19世紀半ば以降、着物や絵本などの日常から印象派の絵画やアールヌーボーの工芸などの美術品まで幅広いブームがわき起こりました。当時の精密な超絶技巧の工芸品などは、「技術の擦り合わせによって複雑なモノを生み出す能力」が、日本人のDNAであることを感じさせます。

1867年にフランスで開かれた万国博覧会で、日本の展示は流行の先端として高く評価され、ジャポニズムとしてヨーロッパ、アメリカへと広がっていきました。「全てのアジア諸国の中で最も完成されており、最も輝きを放っている展示は、異論の余地もなく日本のものである」と称えられました。
当時、ヨーロッパから見てアジアの中に埋没していた日本は、「伝統の保持」や「創意工夫」といった独自の芸術的価値が認められることで、はっきりとしたかたちで認識されていったのです。

これには、裏話があり、現代で「経済複雑性指標」(ECI)第一位、と言われる私たちは、裏から眺めたジャポニズムにも深く学ぶ必要があります。

裏、とは、万国博覧会を開いたフランスから見た日本です。

フランスは、フランスのために博覧会を開いたのです。フランスのためになるから日本を褒め称えたのです。

フランスは、「産業芸術」を改善することを目指し、それによる経済発展に期待を寄せていました。イギリスと競り合いながら、フランスの輸出増加を目指して、ヨーロッパにはない<改善モデル>を探していたのです。そして、フランス政府が見つけたのが日本の産業芸術でした。

フランス政府は、自国のために戦略的にパリ万国博において日本の工芸品を絶賛したのです。そして、フランス国内に「ジャポニスム」として広めることで、フランスは自国の隅々まで<改善モデル>を教育、展開していきました。それは、「日本の単純な模倣をせず、我々の用法に適用させ、発展させ、改良させて、我がものにすること」という注意喚起を伴った、用意周到なものでした。

その結果、印象派やアールヌーボーといった、新しい「産業芸術」が生まれていったのです。
私たちは、ジャポニズムの歴史から西欧の人々の持つ、好奇心と創意工夫、素晴らしい創造性をも学ぶことができます。

2000年以降、日本が世界1位であり続けている経済指標がある、「経済複雑性指標」(ECI)は、日本がダントツなのだ、すごいのだ、と、単純に喜んではいられません。

最近では、「シン・日本の経営 悲観バイアスを排す」ウリケ・シェーデ著が、ベストセラーとなっていると聞きます。
西欧の学者が、日本人が日本は沈んでいると悲観している間にも日本の素晴らしいところを科学的に取り出して、彼らの血肉として学ぼうとしています。

現代の日本人こそ、日本人が脈々と受け継いできた創意工夫の精神で、今までの日本や世界の叡智を「単純な模倣をせず、今の日本人の用法に適用させ、発展させ、改良させて、我がものにすること」が求められていると感じます。

19世紀、ヨーロッパ第一の芸術国として誇り高いフランスの美術批評家エルネスト・シェノーは、「日本人が、動物や植物といった自然を取り上げ、精彩に富む表現を習得し、これが日本の産業芸術に想像力にあふれたスタイルを与えている」と言いました。

自然、には<人>も入ります。
世界中の多様な人々の文化知識を取り入れ、それを習得し、独自のスタイルを作り上げることは、私たち一人ひとりに託された、日本の未来でもあります。

絵と言葉によって、クライアントと一緒にオーダーメイド絵画を作り上げていく特殊な仕事を通じて、私はいつも、誰もが持つ素晴らしいクリエイティビティに感動します。

表裏をしっかりと受け止め、自分の頭をフル回転させ、受け継いだ創意工夫の精神で、一人ひとりが新たな未来を作り上げることができると私は信じています。

そんな想いをメディテーション絵画に込めました。

 

今回完成した作品 ≫『メディテーション絵画「表裏を見る」』

 

 

 

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 著者の自己紹介 

ビジョンクリエイター/画家の門間由佳です。
私にはたまたま経営者のお客さんが多くいらっしゃいます。大好きな絵を仕事にしようと思ったら、自然にそうなりました。

今、画廊を通さないで直接お客様と出会い、つながるスタイルで【深層ビジョナリープログラム】というオーダー絵画を届けています。
そして絵を見続けたお客様から「収益が増えた」「支店を出せた」「事業の多角化に成功した」「夫婦仲が良くなった」「ずっと伝えられなかった気持ちを家族に伝えられた」「存在意義を噛み締められた」など声をいただいています。

人はテーマを意識することで強みをより生かせるようになります。でも多くの人は自分のテーマに気がついていません。ふと気づいても、すぐに忘れてしまいます。

人生

の節目には様々なテーマが訪れます。

経営に迷った時、ネガティブになりそうな時、新たなステージに向かう時などは、自分のテーマを意識することが大切です。
また、社会人として旅立つ我が子や、やがて大人になって壁にぶつかる孫に、想いと愛情を伝えると、その後の人生の指針となるでしょう。引退した父や母の今までを振り返ることは、ファミリーヒストリーの貴重な機会となります。そして、最も身近な夫や妻へずっと伝えられなかった感謝を伝えることは、絆を強めます。そしてまた、亡くなった親兄弟を、残された家族や友人と偲び語らうことでみなの気持ちが再生されます。

こういった人生の起点となる重要なテーマほど、大切に心の中にしまいこまれてカタチにしづらいものです。

でも、絵にしてあげることで立ち返る場所を手に入れることができます。

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