原因は「この街は難しい」から?
これまで店舗を出店してきて感じること。
「この街は難しい」という言葉。
これは間違っていないと思います。
これまで出店してきた中で、商売が楽だと感じた街なんてなかったから。
問題なのは「この街は難しい」という言葉を、お店の経営者自身が信じてしまうこと。
「この街は商売が難しいから、売上が上がらない」と考えてしまうこと。
確かにどの街で商売するのも難しく、どの街を取っても同じ環境など1つもなく、全ての街が「特殊」なのです。ただ、どの街も特殊という事は、言い方を変えれば「特殊である事が普通」な訳です。
自分の街が特殊ならば、なぜ同じ街に繁盛しているお店があるのか?
繁盛しているお店にあって、自分のお店にないものは何なのか?
これを考えずに、全てを環境のせいにしてしまう理由。
それは、繁盛しているお店の存在に目をつぶり、売上が上がらない原因を環境のせいにした方が自分の気持ちが楽だからかも知れません。
これは何も街に限った話ではないでしょう。
「自分の業界」
「自分の業態」
「自分の商品」
どの切り口でも「自分の環境は特殊である」と考えれば、売れない言い訳になります。
ただ、それを言っても当然、売上は上がりません。
お店の売上が上がらない、という結果。
この結果を招いている原因は、「この街で商売をするのは難しい」からではなく、売れない原因を環境のせいにして「売上を上げる方法を考えていない」から。
自分のお店だけが特殊なのではなく、全てのお店が特殊であると考える。
売上が上がらない説明を考えるのではなく、売上を上げる方法を考える。
「この街で飲食店をやるのは難しい」
決して間違ってはいないけど、正解でもない不思議な言葉。
そんな使い勝手の良い言葉だからこそ、お店の売上が上がらない時、つい経営者が使ってしまいたくなる「名セリフ」なのかも知れません。
著者/辻本 誠(つじもと まこと)
<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計28店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。