本当に儲けは増えるのか?
「投資と回収」が、いつの間にか「回収と投資」になってしまう訳。
それは、儲けを増やしてから投資をした方が安全そうだから。
お店を開業して数年は資金的に余裕のない状態が続くもの。
だから、できるだけ手元のお金は使わずに、増えた儲けを投資に回したい。
こう考えてしまうのは当然かも知れません。
ただ、問題なのは「本当に儲けは増えるのか?」ということ。
商品も接客も内装も変わらずに、儲けだけが増えていく。
こんな事が本当にできるのであれば、それに越したことはありません。
ただ、現実的にそんな事が起こり得るでしょうか?
商品の開発に投資をし続けなければお客さんに飽きられ、仮にお客さんが増えたとしても、人が足りない状態ではリピートしてもらえるだけの接客をすることもできません。
「もう少し儲かったら投資をしようと思う。」
これは会社員に例えるなら「給料が上がったらスキルアップをしようと思う。」と言っているのと同じで、何もしないで儲けが増やせるなら、そもそも投資をする必要もなくなってしまうのです。
飲食業は数年で9割が廃業する業界と言われています。
つまり、ほとんどのお店が損益ギリギリ、もしくは赤字で営業を続けている状態。
そんな時、手元のお金を使って投資をするという決断は勇気が要ります。
ただ、「儲けが増える」という結果を出すためには、「投資をする」という原因を先に作らなければ儲けは増えないというのも事実。
生き残る1割のお店と、廃業する9割のお店の違い。
それは、投資と回収の「結果の違い」ではなく、投資と回収の「順序の違い」なのかも知れません。
「もう少し儲かったら投資をしようと思う。」
この言葉の矛盾に気づかない限り、お店の儲けが増えることはなく、投資のタイミングはいつまで経っても来ないのだと思います。
著者/辻本 誠(つじもと まこと)
<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計28店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。