// 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 // |
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。 |
《第22回》暇な時間の集客をどうするか?
「ハッピーアワーやろうと思うんですけど、どう思います?」
集客に悩むオーナーさんと話をしていると時折出てくるこの言葉。
「ハッピーアワー」
お店の暇な時間帯の経費が勿体ないから、値引きをしてでも集客しようと考えること。
確かに、お客さんが全く来てくれない位だったら、ビールを半額にしてでもお客さんに来てもらい、ついでにお食事を1〜2品注文してくれればラッキーと考えるのは自然な流れかも知れません。
ただ、こんな時いつも思うのです。
「本当に値引きしか選択肢はないのか?」と。
「暇な時間の集客をどうするか?」
この悩みを持つ店舗オーナーは多いと思います。
ピークタイムは人手が足りないくらいなのに、アイドルタイム(暇な時間帯)は人手が余りがち。そんな状況を少しでも改善するために、多くのオーナーが思いつくのがハッピーアワーという名の値引き集客。
確かに、時間帯に応じて値引きをすれば、少しはお客さんが増えるかも知れません。
ただ、それよりも先にまだやれる事があるのではないかと思うのです。
そこで、私がいつも提案しているのが「ピークタイムをさらに売り上げる」方法を考えること。
これは私の経験上ですが、暇な時間の集客に悩んでいるお店の多くが、実はピークタイムも満席にはなっていない場合が多いのです。
つまり、ピークタイムにまだ改善の余地があるにも関わらず、アイドルタイムの集客を考えている訳です。
需要の多いピークタイムと需要の少ないアイドルタイム。
どちらの集客に手を打ったほうが効果的かは明らか。
だから、まずはピークタイムに最大限売り上げる事に力を注ぐのです。
そして、ピークタイムが混み始めると何が起きるのか?
お客さんがピークタイムを外してお店に来てくれるようになり、全体の売上が上がっていく事になります。
私が考えるアイドルタイムの集客。
それは、ピークタイムとアイドルタイムの集客を別々のものとして考えるのではなく、ピークタイムの延長線上にアイドルタイムの集客があると考えること。
アイドルタイムに集客できない原因は、ピークタイムにまだ改善の余地があるから。
だから、安易な値引きでアイドルタイムにお客さんを呼ぼうとするのではなく、お客さんの意思でアイドルタイムを選んでもらう状況を作り出す必要があるのです。
ピークタイムを最大限売り上げることをせず、アイドルタイムで値引きの集客を考えてしまうこと。
それは、お客さんに平均的に来店してもらおうというお店側の都合に因われた思考が生み出す、経営悪化への一歩のような気がしてならないのです。
著者/辻本 誠(つじもと まこと)
<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計28店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。