// 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 // |
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。 |
先週、連載100回を迎えたこのコラム。
折角のタイミングなので、今週からコラムのスタイルを変えてみようと思います。
その新しいスタイルというのが「ひとりお悩み相談室」。
今の私が過去の私の店舗経営に関するお悩みに答えるという、ちょっと変わった企画。
そんな企画の第一回ゲストに、起業したばかりの辻本くんが来てくれたようです。
どうやら起業する前に立てた事業計画とは程遠い集客の現実に直面し、商品ラインナップの見直しを検討中の様子。そんな彼の様子を見て、今の辻本が思うこととは何なのでしょう?
「お客さんが来ない。だから商品を変えてみる。」
こう考えたくなる気持ち、よく分かります。まぁ、過去の自分なので当然ですが、笑。
確かに商売に欠かせない要素が「集客」と「商品」であるならば、「集客」の不振をもう一方の要素である「商品」を改善することで、集客アップを期待したくなるのは自然な流れなのかも知れません。
ただ、実際に「商品を変えたら集客は増えるのか」と考えると、そうはならないと思うのです。その理由というのが、今回のタイトルにも挙げた「来ない」と「来れない」では、原因が異なるからです。
「何度かお店を使ったことがある。」
「たまに使っているけど、頻度は減った。」
こうしたお客さんが既にたくさんいるのであれば、商品を変えることで集客を増やすことはできるかも知れません。ただ、開業間もない頃の集客不足の原因は、「来ない」のではなく、「来れない」お客さんが多いということです。
「そもそもお店の存在を知らない。」
「どこかで見た記憶があるけど、使ったことはない。」
当然ですが、存在を知らないお店には行けませんし、存在を聞いたことがあっても場所が分からないお店にも行くことはできません。
当時、お客さんに来てもらえなかった原因は、商品が悪いのではなく、単純にお店を知ってる人が少なすぎたからだということ。そして、当時の私と同じことを考え、本来ならばお店の認知に注ぐべき力を商品の改善に向けてしまっている、開業間もないお店は多いような気がするのです。
自分のお店は、お客さんが知ってて「来ない」のか、お客さんが知らないから「来れない」のか。この違いを考える。
存在を知られていないお店がどんなに商品を改善したとしても、その商品もまたお客さんに知られることはないと、私は彼に伝えたいのです。
著者/辻本 誠(つじもと まこと)
<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/