本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 |
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。 |
前回のコラムで私は「お客さんがいない時間をどう捉えるかがお店の業績を左右する」といった内容を書かせていただきました。
そんなコラムを書きながら、繁盛していなかった頃のお店の様子を思い出していた訳ですが、その振り返りの途中で私の中に「ある気づき」があったので、今回はその気付きについて書いてみようと思います。
店内にお客さんがおらず、ダラダラとした時間を過ごしてしまっていた頃、私は毎日を惰性で過ごしてしまっていたように思います。
「毎日休まずお店を開けてさえいれば、いつかは売れるようになる」と考え、前日と同じ準備をして、前日と同じ営業をして、前日と同じ締め作業をして家に帰る。
こうした日々を過ごしていた頃の私に欠けていたもの。
それは「自分の商売に対するワクワク感」。
今から振り返って、なぜ当時の私は自分の商売にワクワクしていなかったのかと考えてみると、その答えは「新しいことを試してみる」という姿勢の欠如であり、前日と変わらない行動の繰り返しをしている限り大きな失敗はないものの、今までとは違った結果が出ないことも分かっている分、自分の商売にワクワク感も持てなくなってしまっていた訳です。
これは逆に考えるのであれば、新しいことを試してみれば失敗する可能性もあるけれど、今までとは違った結果が出る可能性にワクワクできるようになる、ということではないでしょうか。
つまり、失敗する可能性とワクワク感はセットだということ。
そして、失敗する可能性とワクワク感がセットであるならば、新しいことを試さずに毎日を過ごしていた私は、失敗する可能性を避けると同時に、商売のワクワク感も自ら捨ててしまっていたということ。
何かを試そうと思った時、私達は失敗した時のことばかりを考えてしまいがちです。
ただ結果がどうあれ、何かを新しく試してみることこそが、自分の商売をワクワクしたものにしてくれると思えれば、次の一手に向けて動き出す行動に対しても、もっと前向きになれる気がするのです。
著者/辻本 誠(つじもと まこと)
<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/