本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 |
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。 |
3ヶ月ほど前からでしょうか。
私はあるソフトの勉強を始めました。
このソフトは今すぐ仕事の成果に直結する訳ではないので、家に帰ってからの時間を使って勉強しているのですが、これが非常に楽しくいつまでも勉強し続けられるのです。
正に「時が経つのを忘れる」とはこういう事なのだと実感します。
でも、こんな事を書くと、こう感じる方もいらっしゃると思います。
「そんな時間があるのなら、もっと本業の役に立つことに時間を使った方が良いんじゃないの」と。
確かに私が勉強している時間というものは、本業の役には立っていないですし、今後役に立つのかどうかも分かりません。そう考えれば、私はお金にならないことに対して時間を投資していると言える訳であり、もっと効率の良さそうな時間の投資もあるだろう、と自分でも思います。
そんな事は頭で分かっている一方で、こうも思うのです。
「一見、本業の役にも立たず、お金にならない時間投資の積み重ねこそが、今後の自分の強みになる可能性もあるのではないか」と。
もちろん、私がやっている勉強が結局は商売の役に立たず、お金を稼ぐという視点だけで考えるのであれば、ただの時間の無駄となる可能性は否定できません。
ただ逆に、すぐに商売の役に立ちそうなもので、かつ確実にお金を稼げそうなものを探して取り組んだとしても、その選択は結局のところ自ら競争に飛び込む選択になってしまい、結果的に期待した売上も上がらず、時間の無駄となってしまう可能性も否定できないと思うのです。
つまり、すぐにはお金にならない時間の投資も、すぐにお金になりそうな時間の投資も、同じような結果になる可能性があるということ。
そう考えるのであれば、すぐにお金になりそうな話に振り回されて、あれこれと分散した時間の投資を続けるよりも、たとえすぐにはお金にならなかったとしても自らが時間が経つのも忘れるくらい没頭できる取り組みに時間の投資を続けた方が、長期の視点で見ればはるかに自分の強みも生まれやすいと言えるのではないでしょうか。
商売は自分の期待通りにならない事の方が多いというのが私の印象ですが、期待通りにならない事の方が多いからこそ、安易に稼げそうな方法ばかりに走るよりも自らの好奇心に従った方が結果に対する後悔も少なく、苦労も感じず没頭したことから生まれた強みが意外なところで成果に結びつく可能性もあるのではないか、と私は思うのです。
著者/辻本 誠(つじもと まこと)
<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/