本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 |
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。 |
ここ数ヶ月、コロナ前のようにオーナーさんと直接会って話をする機会が増えてきました。
話の内容はもっぱらお店の取り組みに関することになる訳ですが、オーナーさん達の話を聞いていると、改めて感じさせられるのです。
「商売の成否とは、自分の商売の事をどれだけ考えて、どれだけ行動したかの総量に比例するのではないか」と。
商売が順調なオーナーさんは、お店に新しい取り組みをどんどん取り入れていきます。
細かいことまでは聞いていないため正解は分かりませんが、恐らくこうしたアイデアはお店の営業時間中にだけ考えたものではないように思うのです。
つまり、お店で営業するという仕事時間以外も、自分のお店の事を考えているのではないか、ということ。
休日も無意識に参考になりそうな情報をインプットしていたり、営業時間外も新しい商品のアイデアを思いついたり。こんな事を書くと、「四六時中仕事の事を考えなければいけないなんて堪らない」と感じる方もいらっしゃるかも知れません。
でも、商売が順調なオーナーさんは決して仕事に追われているといった印象ではなく、むしろ仕事を通じてお客さんに喜んでもらう方法を考えることを楽しんでいるように感じるのです。
私たちはよく「効率」という言葉を使います。
商売において、この効率の良さを、「稼いだ金額 ÷ 仕事に関わっていた時間」と捉えるならば、こうしたオーナーさん達は仕事に関わることを考えている時間が多いため非効率と言えます。ただ、この効率の良さばかりを優先する考え方は、見方を変えれば「できるだけ仕事に関わっている時間を減らして稼ぎたい」という思考であって、「仕事=好きではないもの」が前提になっている気がしてなりません。
確かに好きではないものならば、なるべく時間を減らして稼ぎたいと考えたくなるのも納得ですが、ここで私が思うのは、「果たして好きではないもので稼げる仕事なんてあるのだろうか」ということ。
自分にとって好きではなく、できるだけ関わる時間を減らしたい仕事だとしても、その仕事が好きで、ひたすら考えることを楽しんでいる人もいる訳であり、両者のどちらが結果的に稼げるのかと言えば、それは後者ではないでしょうか。
「仕事は量より質だ」と言えば聞こえは良いですが、私が見てきた限りで言うならば、自分の好きなことで、考えて行動し続けるといった量を苦もなくこなせる商売を選んだ人こそが成果に近づけるのであり、逆に考えれば、「量をできるだけ減らして稼ぎたい」といった効率の良さばかりを考えて量をこなそうとしない商売こそが、長い目で見た時の成果に近づかない非効率な選択ではないか、と私は思うのです。
著者/辻本 誠(つじもと まこと)
<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/