本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 |
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。 |
先日、最近できたという中華料理店へ家族で行きました。
お店は家から少し離れた距離にあり、歩いてお店へ向かっていたのですが、その途中でふと思ったのです。
「もっと家の近くにあるお店でも、行ったことのないお店は多いよな」と。
「近所にあるのに行ったことのないお店」と「家から離れていても行こうと思ったお店」。
この違いって何なのでしょう。
私はなぜ、近所にある飲食店に行ったことがないのか?
その理由を改めて自分に問いかけてみると、それは決して「どこか悪い印象があるから」といったマイナス感情ではないことに気づきます。
じゃあ、行ったことのないお店に私が持っている印象とは何なのだろうと掘り下げて考えてみると、それは「惹かれる何かがない」という答えにたどり着くのです。
つまり、「悪い点がある」のではなく「惹かれる点がない」ということ。
私たちはお店の改善を考えた時、「お店の何が悪いんだろう」という問いかけから思考してしまいがちです。こう考えてしまう原因というのが「マイナスをなくすほど売れるようになる」という思考であり、確かにマイナスは少ないに越したことはないかも知れません。
ただ一方で、自分がお客さんの立場になってお店を選ぶことを考えてみると、お店を選ぶ優先順位において、「どれだけマイナス点が少ないか」という要素はそれほど重要ではなく、それよりも「どれだけ自分を惹きつけるプラスの点があるのか」という要素の方が重要であるという事実を考えれば、「お店の何が悪いのか」という問いかけ自体を見直す必要があるのではないでしょうか。
「お店の何が悪いのか」という自分への問いかけを、「お店の何が強みなのか」に変えることで改善の内容も変わり、改善の内容が変わった結果としてよりお客さんを惹きつける魅力が作られる。
選ばれるお店とは「マイナス点が少ないお店」ではなく、「プラス点が明確なお店」なのだろうと改めて感じたのです。
著者/辻本 誠(つじもと まこと)
<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/