《最終回》言語化のススメ

 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

2019年の9月から始まったこのコラムも今回の連載で丸5年。
そんな節目ということもあって、私の連載は今回で終了となります。

これまで読んでいただいていた皆様、ありがとうございます!

さて、今から振り返ってみると、連載をしてきた2019年から2024年までの5年間は、私が商売を続けてきた22年間の中でも一番環境の変化が大きかった時期と言えます。

こんな事を書くと、もしかしたら「そんな変化の大きい時期ならコラムを書くより、もっとやらなきゃいけないことがあっただろう」と感じる方もいらっしゃるかも知れません。

私自身、確かに他にもやれることはあっただろうと思う反面、こうも思うのです。
「文章を書き続けていたからこそ、変化の大きい時期に行動し続けることができたのではないか」と。


「文章書くのって苦手なんだよな。」
こう感じているのは、商売を始めた頃の私だけではないでしょう。

ただ、これまで文章を書いてきて改めて感じているのは、文章を書くことのメリットは「商品が売れやすくなる」という直接的なメリットよりも、文章を書く過程において「自分の思考が整理されていく」という間接的なメリットの方が大きいのではないか、ということ。

そして、文章を書くことにより思考が整理されるから、次の行動も明確になっているように感じるのです。

つまり、思考が整理されているから文章が書けるのではなく、文章に書き出すから思考が整理され、行動にも移しやすくなる、ということ。

私自身、この5年間は「本当に自分の商売が進もうとしている選択は正しいのか?」という不安もありましたが、そんな答えが分からない時期にコラムを書くという言語化をしていたから行動し続けることができたのではないかと感じます。

そう考えると、文章を書くという言語化は売上を伸ばすという目的からすると一見遠回りのように見えるものの、実は長期で考えれば言語化こそが売上を伸ばす大きな要因となっている気がしてなりません。

この連載の話をいただいた2019年当時は、まさかその先の5年間にこんな変化の大きい時期が待っているとは思いも寄りませんでした。それでも結果的に今から振り返ってみれば、このコラムを書いてきたことが変化の大きな時期に行動し続けられた原因の1つとなっているのであれば、この事実こそが言語化の重要性を表す事例であると同時に、このコラムのタイトル「原因はいつも後付け」を表す良い例の1つでもあるように今は思えるのです。

改めまして、コラムを読んでいただいた皆様、ありがとうございました。

Reefletでの連載は終了しますが、今後は自身のウェブサイト(https://tsujimotomakoto.com)にて発信を続けていきますので、こちらも時折確認しに来てもらえたら嬉しいです。

 

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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