この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。
安田
久野
安田
今までの労働環境がかなり過酷だったみたいで。ドライバーさんが事故起こしたり、バスで眠っちゃったり、運転中に病気で倒れたり。
久野
なので1日何時間まで、月何時間以上は働いちゃダメ、と規制が厳しくなります。結果的にどんどんドライバーさんが足りなくなっていく。
安田
まあ当然といえば当然ですけどね。ただ物理的にもう荷物が運べない状態になるらしくて。
久野
そうなんですよ。現場のドライバーさんが稼ぎたくても、一定以上働けないようになってます。
安田
ドライバーさんの報酬も上げていかざるを得ないですよね。
久野
上がっていくと思うんですけど。それでもやっぱりドライバーが足りない。
安田
久野
運送系の顧問も多いですし、物流と携わってない会社ってないですから。
安田
確かにそうですよね。家にいながら生活できるのも物流のおかげで。
久野
皆さん意外とイメージしてないけど物流がなかったらモノを作れない。
安田
久野
安田
確かに。どうしても宅急便のイメージが強いですけど。
久野
それも困るんですけど全体量で言えば1割以下なんです。企業間の物流の方が圧倒的に多い。
安田
久野
はい。ものが作れなくなって末端に商品が供給されなくなる。今までのような物流システムはおそらく崩壊すると思います。
安田
大変じゃないですか!このままいったらどうなっちゃうんですか?
久野
まず配送がどんどん遅くなる。早く持ってきてほしいなら特急料金を払うという形になると思います。
安田
久野
今までが安すぎたんですよ。これから一気に物流コストが上がり給与が高くなる。
安田
久野
これまでの物流業界って、残業代はあまり払われないし、拘束時間は長いし、座り続けるから健康を害するし。時間帯も融通が利かないから不人気業種なんですよ。
安田
時間帯とか、座り続けるとか、変えようがない部分もありますよね。
久野
なので労働環境が悪いから報酬はどんどん高くなる。そういう構造に変わっていかざるを得なくて。
安田
それが正しいですよ。社会にとって必要な仕事をやってくれているわけですから。
久野
そうなんです。「人がやりたくないけど必要不可欠な仕事は高い」という社会になる。健全な社会になっていくわけです。
安田
久野
良いことなんですけど、めちゃくちゃ業界コストが上がるし、安いとまったく人が集まらなくなる。人が離れていく会社もどんどん出てくる。
安田
優良ドライバーとそうじゃないドライバーで差をつけたらどうでしょう。これまではそんなに大きな差はなかったと思うんですけど。
久野
そうなっていくと思います。良いサービスをしようと思ったら良い人材が必要なわけで当然採用にもお金がかかる。だから良いサービスは高くなるという流れですね。
安田
丁寧で、時間も厳守して、ちゃんとコミュニケーションもできるドライバー。そういう人に頼みたいなら高い料金を払ってくださいと。
久野
そうですね。仕事を頼む側も今までのようにはいかないと思います。
安田
記事にありましたけど、荷物を取りに行っても半日ぐらい待たされるそうです。すごく忙しいのにそれが当たり前になってるみたいで。
久野
安田
いつ荷物を出すかわからないから「ずっとトラックに乗ってろ」って言われるらしいです。下請け業者ってやっぱり立場が弱いから。
久野
安田
立場が逆転して「だったら御社の荷物は運びません」とか。
久野
優良な物流会社ほど顧客を選ぶようになると思います。そうしないと優秀なドライバーを確保できなくなる。
安田
久野
5分ごとに課金していくとか。そうなっていくと思いますよ。
安田
そう言えば「30分カット」ですごく流行ってる美容室があるんです。早いけどすごく丁寧に綺麗に仕上げてくれるんです。
久野
安田
30分で必ず終わらせるという約束の店で、その代わりに10分遅刻したらもう断るそうです。
久野
そうせざるを得ないですよ。ワガママなお客さんがいると他の優良顧客が離れていってしまうので。
安田
そうなんです。ワガママな人は来なくなって。みんな遅刻せず来るのでお店もちゃんと約束を守れる。いま大人気だそうです。
久野
安田
久野
安田
物流も発注する側が時間までに準備しておかなくちゃいけない。ちゃんと揃えておかないと運んでもらえない。
久野
これからは下請けではなくパートナーという発想で考えなきゃダメ。待つってことはコストがかかるわけなので、相手に損をさせる会社は付き合う価値がないです。
安田
だけど日本社会は「上には弱いけど下には強い」という連鎖があるじゃないですか。
久野
そういう発想だと厳しくなっていきます。下請けを大事にしてくれるところにいい下請けが集まるので、会社の付加価値も上がっていく。
安田
みんなが下請けを大事にするようになるとは思えませんけど。
久野
二極化するでしょうね。大事にする会社と今まで通り下請け扱いし続ける会社と。
安田
2チームに分かれそうですよね。パートナーチームと下請けを使い倒すチームと。
久野
頑張って前者のチームに入らないと、後者のチームはいずれ淘汰されます。
安田
久野
はい。そうならないために「自分たちの仲間なんだ」と思えるかどうかですね。発注者が偉いと思い込んでいる人が多いので。
安田
ドライバーを大切にする会社に良いドライバーが集まり、物流会社を大切にする会社に良い物流パートナーが集まってくると。
久野
そういうチームには「高くても発注したい」と思うじゃないですか。そうじゃないチームはとことん安く売るしかない。未来がないですよ。
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安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。