第279回 公務員の仕事が激変する未来

この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。

第279回「公務員の仕事が激変する未来」


安田

学校の現場には「みなし残業」がすごく多いみたいで。NHKで特集されていました。

久野

過酷な労働環境ですよ。だから若い人がどんどん辞めていきます。

安田

はい。それを取り上げた特集だったんですけど。文部科学省からクレームが入ったみたいで。

久野

どういう内容だったんですか?

安田

みなし残業手当がちょっとついているだけで、「実質的には無限に働かされて大変なことになっている」という内容だったんですね。

久野

はいはい。実際そうですよね。

安田

それに対して文科省が「そんなことを考えている教師ほんの一部だ。曲解した番組だ」みたいにクレームをつけた。

久野

へえ〜。

安田

そしたら、そのクレームに対してのブーイングがすごくて。「クレームを入れる立場じゃないだろ」「これは現実だろう」と。逆にクレームが入って。炎上してます。

久野

現場の先生はすごいストレスでしょうからね。

安田

そうなんですよ。「周りの先生はみんなそう言ってます」って。みなし残業手当ではなく「ちゃんと残業代を払え」と。

久野

そう言いたくもなりますよ。教育は国の根幹に関わるところですから。

安田

そもそもこれって違法じゃないんですか?少しばかりの手当を払って残業代を払わない。授業の準備、クラブの顧問、親の相手もしなくちゃいけない。残業だらけみたいです。

久野

これは法律で決まっていまして。昔から大問題になってるんですよ。

安田

そういう法律を変えていくのが政治家の仕事なのに。

久野

僕も変えた方がいいと思います。先生が不人気業種になっているので。昔は子供がなりたい仕事だったのに。

安田

先生は人気職種でしたよね。会社員より給料が高くて、年金も多くて、人から尊敬されて。

久野

今は地方公務員もどんどん辞めていっちゃうんですよ。

安田

そうみたいですね。沖縄県庁の職員が大量に辞めたってニュースになっていました。体調を崩して出て来られない人も大量にいるらしくて。

久野

昔は沖縄で1番の人気職種だったんです。今はカスハラとかストレスがすごいらしくて。

安田

増税と物価高でフラストレーション溜まってる国民が多いですから。窓口の人にぶつけちゃうんでしょうね。

久野

内定辞退率28%らしいです。

安田

そんなに!ちゃんと制度を見直した方がいいですよ。学校や役所から人がいなくなってしまいます。

久野

社会的地位もそんなに保証されていないし大変なんですよ。

安田

公務員って社会的地位が低いんですか?

久野

民間企業と違って「嫌ならもう来なくていい」とか言えないじゃないですか。どんな人が来ても平等にサービスしなきゃいけないから。

安田

確かに。昔はストレスも残業もない安定した仕事だったのに。今やストレスが溜まるしんどい仕事って感じですね。

久野

窓口の業務に関しては無人化したほうがいいのかもしれません。

安田

それがいいかもしれませんね。人件費も抑えられるし。印鑑証明や住民票はコンビニで受け取れる時代ですし。

久野

言いづらいですけど、システム化すれば半分以下の人数になると思います。

安田

転出届と転入届を両方出すとか。無駄でしかないですもん。そういう無駄をどんどん排除していけば5分の1ぐらいになるかも。

久野

窓口が無人化されたらカスハラもなくなるわけですし。

安田

学校の先生も減らしていった方がいいんでしょうか。

久野

先生は特殊だと思います。教育は国の根幹ですし。もっと給料を上げないといけない。

安田

授業は「もう人間がやらなくていい」なんて言われてますけど。オンライン授業で完結できんじゃないかと。

久野

N高が日本最大になりましたもんね。AIと少数のスペシャリストでできちゃうかもしれません。

安田

むしろクラブ活動とかを先生のメインの仕事にしたらどうかって。そうなると先生の仕事も求める人材もガラッと変わっていくわけですよ。サービス業みたいになっていく。

久野

そっちの方がいいような気がしますね。

安田

教えるのがすごく上手な先生だけがオンラインで授業をやって。生徒は好きな先生を選べて。

久野

オンラインなら1人の先生が10万人ぐらい教えられるから。質問だけ個別に受けるスタッフがいるとか。

安田

そこはAIでカバーできそうな気もしますよね。

久野

そうなったら報酬も爆発的に増やせるんですけど。まあ日本では難しいでしょうね。

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久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/  

安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

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