この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。
安田
エンジャパンが35〜59歳の転職者数と転職前後の賃金変動について発表しました。
久野
安田
ここ数年で5倍増だそうです。しかも賃金も上がっている。50代は転職出来ないと言われてきたのに。
久野
安田
やはり人不足がここまで影響しているということでしょうね。
久野
安田
だけど50代の転職だけがこんなに伸びたのはなぜでしょう。
久野
安田
なるほど。じつは50代にも転職希望者はいたってことですね。それにしても50代人材にこんなにニーズがあるんですね。
久野
50代を採る理由って、なんとなく分かる気がします。
安田
久野
雇用の流動化に対して日本企業はまだ準備が出来てないから。20代、30代を採ると回転していくじゃないですか。
安田
若い人は採用してもすぐに辞めてしまうと。50代は違いますか?
久野
50代の人って慎重にキャリアを選択している傾向があるので。
安田
久野
はい。そういうニーズから40〜50代人材に人気が集まっていると思います。
安田
40代と50代はだいぶ違う気がしますけど。採る側からしたら一括りですか?40代と50代は。
久野
いや違いますね。僕らも40代前半がギリギリという感じ。50代はちょっと厳しい。
安田
40代前半ってバリバリの働き盛りじゃないですか。ちゃんとスキルアップしてきた人だったら30代より仕事が出来ますよ。
久野
安田
久野
安田
間違いなく落ちてきます。でも社労士さんの仕事に体力って必要なんですか。
久野
これから時代が変わるじゃないですか。激変していくと思うんですよ。
安田
久野
変化に付いていくには気力と体力が必要だと思っていて。あと好奇心みたいなもの。全員そうだとは言わないですけど、どうしても落ちてきますよね。
安田
久野
元気がなくなると変化を受容出来なくなってくる。同世代でもめちゃくちゃ老け込んでる人とか体力が落ちてる人って多い。
安田
久野
安田
44歳ですか。自社で採用しているギリギリラインですね。
久野
もう危ないです(笑)今放り出されたら就職先がない。
安田
久野
本当ですね。もうこれからは移動するのが当たり前なんでしょうね。
安田
久野
50代で転職して給料が増えるって、今まではなかったんですけど。
安田
50代は二極化していくんじゃないですか。転職して給料が上がる人と逆に下がってしまう人。下がる人は転職しなくても下がっていきそう。
久野
そうあるべきでしょうね。出来ない人には辞めてもらうか、給与を下げていくか。今の法律では難しいですけど。
安田
国の対応も変わっていくんじゃないですか。そこを認めないと世界的な競争に勝てなくなっていくので。
久野
そうですね。実際に大手は黒字でもどんどんリストラをやっています。
安田
「リストラ出来ない」って思い込みだと思うんですよ。やろうと思えばできちゃう。
久野
業績のいい大企業ではそれが当たり前になってきています。リストラと評価制度を混ぜながら会社も変わっていくしかないでしょうね。
安田
やはり儲かっている時にやった方がいいんでしょうか?
久野
業績が悪い時に労務トラブルが起きると、もう浮上出来なくなります。だから最近のトレンドとしては業績が良い時にやります。
安田
業績が悪い時にやると「いい人材」から抜けていきますからね。赤字人材を整理しつつ、残って欲しい人には「給与アップ」を打診して。
久野
はい。報酬を上げないと良い人材は他社に移ってしまうので。そのためには出来ない人を整理していくしかない。それをやらずに悪いフェーズに入ると本当にきつくなります。
安田
今の50代って今何歳ぐらいまで働くつもりなんでしょう。
久野
安田
70から75歳って感じですよね。50年ローンを組む時代ですから。
久野
晩婚化しているので60過ぎて子供の大学が終わる人も多いです。だから自分たちの老後資金が残ってないんです。転職してでも稼いでいくほかないのが現実でしょうね。
この対談の他の記事を見る
安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。