第337回 コンビ二おにぎり200円時代

この記事について 税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。

第337回「コンビ二おにぎり200円時代」


安田

「コンビニのおにぎりが200円に!」ってニュースになってます。

久野

そうなんですか?

安田

「もうコンビニおにぎりは買えない」というニュース。米も海苔もすごく高くなっちゃって。

久野

海苔がないおにぎりが流行ってますよね。海苔なし。

安田

それも苦肉の策らしいですよ。海苔が高くて。そのうち米なしおにぎりとか出てきそう。

久野

おにぎりの概念が覆されてます(笑)

安田

でもどうなんでしょう。オーストラリアで昼飯を食べたら5000円かかる時代に。200円で「もう俺はおにぎり買えない」みたいな発想になる日本人って。

久野

コンビニおにぎりは「もうプチ贅沢」って書いてますね。そんなことないだろっていう(笑)

安田

もっと稼ごうよ!と言いたい。

久野

煽りすぎですよ。そもそもコンビニって一般化して安くなっちゃいましたけど、元々高かったですから。

安田

そうですよね。コンビニって高かったですよね。

久野

こんなに便利なコンビニに安さをそこまで求めちゃいけない。

安田

そもそも安さではなくコンビニエンスが売りですもんね。

久野

そうなんですよ。コンビニエンスであってディスカウントとは言ってない。コンビニも頑張りすぎてると思う。

安田

コンビニって昔ほど儲かってないんですか?

久野

物価が高くなってきてるので売上数字は悪くない。ただセブン-イレブンはちょっと苦戦していると聞きました。

安田

ニュースでも「これからはドラッグストアに行くしかない」って書かれていました。ドラッグストアだって限界があると思いますけど。

久野

安いものでなんとか凌ぐという発想をなんとかしないと。コンビニも便利なところに立地しているわけですから。コストのイメージが無さすぎますよ日本人は。

安田

自分の収入を増やしたいんだったら、支出が増えていくことも受け入れないと。みんなが安いものばかり買うから収入も増えないわけで。

久野

そうなんですよ。消費者は生産者でもあるので。給与を増やすためには高く買ってもらうしかない。なのに自分たちは絶対高く買わないっていう。

安田

いいものは「高くてもお金を払う価値がある」と思って欲しいですよね。その発想でいけば、自分も「稼ぎたいからいい仕事しよう」ってなるわけで。

久野

そうなんですよ。その発想がもう全く足りてないです。

安田

税金も払う話ばっかりで。道路とか信号とか教科書とか、無料で使っているものへの感謝が全くない。

久野

いかに税金を払わずより便利にしてくれるか、みたいなことばっかり考えてる。

安田

コンビニに頼りすぎですよね。便利さと安さに慣れすぎというか。

久野

ありがたいと思って買わないと。

安田

どうやったらこの発想は変わるんですかね。

久野

日本人の悪しき習慣だと思いますよ、本当に。テレビ番組も安くて量が多い店ばっかり取り上げるじゃないですか。

安田

それが美談になってますもんね。高くていい店を紹介すると「セレブの番組だ」って叩かれちゃうんでしょう。

久野

コスパが悪いとか言われて。

安田

足の引っ張り合いが経済を止めてる感じがします。

久野

そうなんですよ。クレジットカードの手数料も高いって言うし。その分乗っけりゃいいじゃんって思う。

安田

みんながお金を使わないから収入が増えない。そこをもう少し考えないと。なんでもっと真剣に自分の給料増やそうとしないのか。

久野

転職して給料を増やす人は増えてきましたけど。今いる会社で頑張って自分の給料を増やそうって人はレアですね。

安田

レアですか?

久野

上がったらいいなとは思ってますけど。どうやったら上がるかまでは考えない。

安田

利益に貢献すれば増えるんですけどね。単純な話で。

久野

そこまで考えたらもう十分優秀ですよ。

安田

え!それで優秀なんですか?

久野

そこに至らないんですよ。そんな人材は100人に1人くらいの逸材。

安田

100人に1人だとさすがに日本経済は厳しいですね。

久野

厳しい。他責が基本なんだと思います。会社で真面目に働けば給与が増えると思ってる。

安田

最低賃金が1500円とか2000円になったら増えるでしょうけど。その分パフォーマンスも上げてもらわないと会社は破綻します。

久野

やる気ランキングというのがありまして。世界から見ても日本人はやる気がないんです。静かな退職がどんどん増えていて。

安田

辞めないけど働く気はないっていう。それでいて報酬は増やして欲しいと。これ、もう詰んでますね。

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久野勝也 (くの まさや) 社会保険労務士法人とうかい 代表 人事労務の専門家として、未来の組織を中小企業経営者と一緒に描き成長を支援している。拠点は愛知県名古屋市。 事務所HP https://www.tokai-sr.jp/  

安田佳生 (やすだ よしお) 1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

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